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今月の絵はがき

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毎月、新しい絵はがきと詩をかいています。絵本のような詩のような。
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記事一覧

絵はがき・2024年5月

あるくとちゅうに  木のえだいっぽん ある日みつけた 木のえだいっぽん ひろいあげたら と・と・と・と じめんをたたいて と・と・と・と おやすみ入れて と・と・ん・と やすみがかんじん ん・と・ん・と ととんと とんとと とととん とんとと とんとと んととと んとんと とととん わたしのからだに ととんが 入る わたしのからだに ととんと 入る わたしのあしを ととんが うごかす わたしのあしを ととんと うごかす ある日みつけた 木のえだいっぽん あたまをこえ

絵はがき・2024年4月

やわらかき芽吹きに立ち止まり あわき色の空を見上げ 鳥の声に春をおもう 君 意気あふれ 突進する群衆に 黒い雑踏に 君は 力なく かすかに はかなく けれど どうか そのまま 君ひとりでも どうか そのまま かすかに はかなきまま 立ち止まり 空を見上げて どうか そのまま この春を 美しいままに

絵はがき・2024年3月

ぽつ と すわりこむ 世界の指先に 春あふれ そのいのちの選択は         秒単位 そのいのちの長さも         秒単位 まもなく春 もう春       さよなら春 「時間がないので    置いて行きます」 わたし 世界から   ぽつ と はぐれて   ぽつ と 考えこみ   ぽつ と ひとり   ぽつ と もりに      すわりこむ   ぽつ と ぽつ と   ぽつ と ぽつ と ぽつ と いつしか ぽつ と おと ぽつ と あるく もりの あしおと

絵はがき・2024年2月

きこえたかい きみの耳にも きこえてる わたしの耳にも 雪の下 はるを待つ ちいさな呼吸 きいている 彼も きっと 耳をすまして はるを待つ わたしたちの呼吸

絵はがき・2024年1月

ぽぅ と みえました びゅうびゅうと風のふく さむいさむいある日 わたくしは わたくしというところに まあるい あかりが ぽぅ と あるのを びゅうびゅうと風のふく さむいさむいある日 わたくしは それでも そこに 立っておりました 風の音を ききながら あかりをぽぅと ともしながら わたくしは わたくしを ほぅ と かくにんいたしました びゅうびゅうとふく さむいさむい風の中で 少し遅くなりました。 今年も毎月、 絵はがきと詩を、 かいていこうと思っています。

絵はがき・2017年12月

いまここに とおりかかり いまここに ひとひら ゆきのふる そらのした わたしのいる そらのした ぐうぜんのひつようの ひつようのぐうぜんの あいのある そらのした こちらは、 絵本詩集「かぜのえはがき」の 最後のページの絵はがきです。 本には絵だけを載せていますが、 2017年12月に、 こんな詩を書いて、 描いていました。 今年の始まり、 私にとって12月は、 はるか遠く… 何も見えませんでした。 笑う、泣く、話す、 座る、飲む、眺める、 拾う、聞く、会う、 編

絵はがき・2023年12月

かなしさ ひとつ さびしさ ひとつ せつなさ ひとつ いつか 花に 変わるまで ひとつ ひとつ みじかい ながい じかんを かけて ひとつ ひとつ 花にして ゆきます いつか 持ちきれなくなった日 それは 美しい花束に 君にわたせる日には やさしい花束に (人間は つくりだす つくりすぎる 花に変えようのない かなしみを) ……………………………… 2022年4月の絵はがきを描いた時も、 花に変えようのないかなしみが、 日々つくり出されていました。 それは、

絵はがき・2023年11月

空に うかびます わたしを地上に おいて ふわり 地上のわたし いま すこしのあいだ ぬけがら です いま すこしのあいだ だしゅつ しています いま すこしのあいだ れんらく とれません ふわり わたしを とおく はなれて ふわり ふわり いま すこしのあいだ 地上のわたし わたしになるため 空におります 2020年頃から2022年頃に描いた 約3年分の絵はがきと詩が、 一冊の本になっています。 絵本詩集「かぜのえはがき」 もしもご興味わきましたら… 毎月の

絵はがき・2023年10月

歩きます 右足を出して 左足を出して 右足を出して 左足を出して こんなのは どうでしょう 右足 右足 そして 左足 左足 こんなのも いかがでしょう 左足 右足 そして 左足 左足 右足 とまって…かんがえます 左 左 左 右 右 右 いろんな歩き方が  ありますから きみは なんばあるきが 得意 わたしは 今は ゆっくりと いろいろと かんがえてみることに したのです 小学1年生の頃、 運動会の練習で、行進をしました。 わたしは、 手と足が一緒に出て… 笑わ

絵はがき・2023年9月

ある日 風の中に みつけた これから先 どれくらいのひとたちが みつけるだろう きっと  みつけようとしなければ みつからないだろう ちいさな ちいさな たからもの ぼくは みつけた ほかの みんなは まだ みつけていない きっと ぼくが いちばん 季節がかわる この時。 ちいさな おおきな たからもの 風の中に… 「みつけようとしているぼく、と  みつけたぼく」 毎月かく絵はがきと詩を、 noteに載せるようになったのは、 今年の4月から。 まだ新米です。

絵はがき・2023年8月

てふてふ きみは 昔 声をかけられないまま さよならした  あの人のように 昨日 あんなにおしゃべりして 今朝 おはようを言う前に いなくなってしまった  あなたのように 初めて会った日 虹を一緒に見上げていた  あのこのように わたしの夏に いてくれます 木と木の間を 葉と葉の間を 光と影の間を この夏のつかの間を かろやかに すこうし とおくの わたしの ところに てふてふ

絵はがき・2023年7月

ゼンリャク ドウカオネガイデス コノソラニ フンソウノタネヲ トバサナイデクダサイ ココハ タンポポノタネヲ トバストコロデス ココハ オトナガ コドモタチヤ ウマタチノヨウニ ハダシデカケラレル ユイイツノトコロデス ドウカオネガイデス ココヲ アケテオイテ イタダケマセンカ ハダシデカケラレルヨウニ シテオイテ イタダケマセンカ コノソラヲ ソラノママニ ソットシテオイテ イタダケマセンカ ドウカオネガイデス

絵はがき・2023年6月

あめがふる あめがふる あいまいな  あくびに めざましの  めらんこりーに あなたへの  ありがとうに めくばせした めるしーに あきらめた  あまのじゃくに めづらかな  めっけもんに あめがふる あめがふる きょうのわたしに あめがふる きょうはわたしも あめになろう そうすれば きっと きみの背丈を 1ミリ のばせるね

絵はがき・2023年5月

あるところに おおきな ちいさな木が ちいさな おおきな木が ありました ここは ほかのだれも知らない わたしも 気がつかないほど おくのおくの それよりまたおくの わたしのこころというところ せかいに あおばがしげり うきうき きらきら ひとびとも うきうき きらきらな きせつ だという けれど すこしばかり わたしのこころは せつなく さびしいのです このきせつ それならば すこしのあいだ ひとりしずかに ここで お茶でもいただきましょう ここには おおきな ちい