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【大阪】静寂を楽しむカフェ|清浄 shojo

あなたは音のデトックスをしたことがありますか?2024年4月、静寂を楽しむカフェが大阪・中崎町にオープンしました。

清浄 shojo

このカフェで働くのは、耳が不自由な方ばかり。なので注文は声ではなく、筆談やメニューの指さしで行います。友人同士で訪れたとしても、店内ではできるだけ音は出さずに、筆談やジェスチャーなどでの会話がベターだそう。

「silent」という音のない世界を描いたドラマが話題を呼んだのは記憶に新しいですが、まさにあの世界観を味わえるのでは......という淡い期待もあり、今回はお邪魔することに。

いざ入店

店内は和風で、ほっこりとした雰囲気。大きな丸い照明がお花形の影を落としていて印象的でした。

まずは「ひとりです」と人差し指を立てるジェスチャーをしながら入店。着席するとスタッフさんがメニューを持ってきてくれました。そしてフリップのようにラミネートされた紙をめくって、スタッフさんが耳が不自由だということなど、お店のコンセプトの説明が。少し考えて、私は自分で点てる抹茶と和菓子を指差しで注文しました。

抹茶の点て方をジェスチャーで教わっていたところ、途中で茶筅がないことが発覚。「あっ、どうやって伝えよう」と思った瞬間にスタッフさんが手話を。手話は「ありがとう」しかわからないのですが、きっとあの状況的に「少しお待ちください」という意味の手話だったのかなと。

各テーブルにはこんな札も。希望すれば、スタッフさんと手話や筆談ができるようです。スタッフさんとお客さんや、複数人で来店した方々の筆談用としてノートとペンが置いてありました。

今回私はそんなに時間がなかったので、こちらを選択。

店内はコンセプト通り本当に静寂で、お客さんが手首につけている数珠の音が響くほど。「キッチンからずっとジャラジャラ音がしているけど、一体何の音?」と不思議に思っていたところ、あるお客さんがスタッフさんに手話で話しかけているのを見てようやく気づきました。

私のいた席からは死角になっていて見えなかったけれど、たぶんその方はずっと手話でお連れさんとお話をされていたのかなと。手話ってその名の通り、手を結構動かすんだな......と、あらためて実感。

音のない世界

なんだか本当に異世界にいるみたいだな、と思いながら静寂を味わい、お会計を済ませてスタッフさんたちに渾身の「ありがとう」を繰り出しながらお店を後に。

その帰り道は、電車のアナウンスを聞いて「このアナウンスが聞こえない世界......」と想像してみたり、カラオケの前を通って「あのスタッフさんたちは、一生カラオケに行くことはないのか......?」と思ってみたりと、いつもの世界が少し違って見えました。

お喋り禁止のカフェは他にもあれど、同じコンセプトでもスタッフさんの耳が不自由というお店はかなり珍しいのでは?オープン直後ということもあり取材もいくつか受けているそうですが、オーナーさんいわく、スタッフさんの安定した雇用のためにも、ただのトレンドで終わらせるつもりはないとのこと。

そして浮かんできたのは、Instagram投稿で見た「憧れだった接客をすることができて嬉しいです!」というスタッフさんの笑顔。そうか、耳が不自由だと普通の接客はハードルが高すぎるよね......。と少し胸がキュっとしたのと同時に、応援したいなと。

こちらのお店は、カフェ運営以外にも交流会などのイベントを開催されたりとアクティブに活動されています。ご興味のある方はぜひ。

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