悪食(1) FF7二次創作小説
──彼らは一対の翼を分け合って生まれるという。両の翼を備えるは、選ばれし者のみ。その者は全ての軛から解放され、真の自由を得る──
どんどん胎動の間隔が速くなる細長く巨大な卵を大写しにする画面を、僕は呼吸も忘れて凝視していた。卵のすぐそばに映る靴の大きさからすると、卵の長径は90cmを下回ることはないだろう。
薄暗い部屋で僕が画面の中の光景に釘付けになっている間、教授は革張りの椅子に浅く腰掛け、僕の古い学位論文のコピーに目を落としていた。年代物のエアコンが、死にかけの牛の呼