ある晴れた日に美容院でトイレに行きたくなることについて

美容院とはオシャな場所である。
美を求めに行く場所だから当然といえば当然だ。店内は清潔に保たれており、インテリアや照明、雑誌がそれを彩る。もちろん店員さんも髪型にしろ服装にしろオシャである。
そんな場所なので、ズボラな僕も美容院に行く時は流石に見た目に気を使う。田舎者が来たと舐められたくないものだからね。
で、予約をして行くのだけれど、いっつも困ったことが起きる。
トイレに行きたくなってしまうのである。
何故なんだろう。家を出る前にも行っておくんだけれどな。オシャレな空間が緊張を促すのであろうか。我慢しようかと迷いもするのだが、途中でトイレに行くことは出来ない。カッパみたいなのを着けたまま強行突破すれば切られた髪のカケラが落ちてトイレまでの道標を作ってしまう。キショいヘンゼルとグレーテルみたいになる。しかも中途半端な髪型で。そういう考えが余計トイレに行かなくてはという強迫観念を生み出してしまうのか。

排泄というものはオシャレさとは対極にある行為である。それでいて人間である限りは避けられないことだ。だからと言って一世一代のオシャレ舞台の時に催さないでほしい。
どんな人間でもトイレは行くし、髪も切るものだが、オシャレな奴が髪を切られる前にトイレに行くとはどうも思えない。そもそもトイレに行くとすら思えない。これに関しては服屋でもそうだ。オシャレな奴はトイレなど要らないのだ。ルイヴィトンに行く人がトイレ行きますか?いいえ、行きません。
なのに僕ときたら美容院でトイレに行ってしまうのだ。少なくともコイツはオシャレマンではないなと察されてしまっているはずだ。ルイヴィトンなんて一生行けそうにない。申し訳ない。来て早々トイレ挟む奴の髪を切る店員さんに申し訳ない。

でも美容院のトイレは往々にしてオシャレである。めっちゃいい匂いもする。トイレまでオシャレだったら、トイレに行くことはセーフですか?
ダメだ、そんな事考えるからまたトイレに行きたくなる。

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