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【My Story#17】まさかのバリ島移住

2008年11月、ついに家の改築工事が終わり、それを祝って、家族3人でバリ島旅行に行きました。

最初の1週間はウブドに滞在したのですが、初日から、夫はすっかりウブドに魅了されてしまいました。ウブドはビーチエリアから小一時間ほど内陸に入った、のどかな田園エリアです。標高が高いので比較的涼しく、緑が濃く、景色の素晴らしい場所がたくさんあります。また、バリの伝統芸術・芸能の中心地で、バリ絵画、バリ舞踊、ガムラン音楽などでも有名で、なんとも言えない雰囲気があるのです。

社交的な夫は、あちこちで人に声をかけ、色々な情報を仕入れてきました。欧米人が大勢住んでいること。生活費が安いこと。治安がいいこと。英語だけでも生活に困らないこと。インターナショナルスクールがいくつもあること。ビジネスをしている欧米人も多く、賃料や人件費が安いことなどがわかりました。

実は、夫は単調なオーストラリアのライフスタイルに退屈し、常々、どこかに引越したいと言っていました。そして、このバリ旅行の後、どうしてもウブドに住んでみたいと言い出したのです。

私は子育てしやすいオーストラリアの生活が、とても気に入っていました。家の改修工事も終わって、これから楽しもうというときでした。昔、両親がインドネシアに住んでいた経験から、観光で行くバリと、住むバリはかなり違うことも知っていました。そして、私は暑い気候が大の苦手です。ですから、バリ島移住の話は、あまり乗り気ではなかったのです。

でも夫の気持ちは変わりません。オーストラリアの家を貸せば、バリでの生活費はまかなえると言います。私は、働かなくてもいいなら育児に専念できるし、緑豊かな自然の中で育つのは、息子にとっていいかもしれない と思い直し、行くことに同意しました。

バリ旅行からたったの半年後、改築が完成して間もない家を人に貸し、1〜2年のつもりでバリ島に住み始めました。当時、息子は2歳だったので、小学校入学までにオーストラリアに戻ればいいと思ったのです。

しばらく住んでいるうちに、夫はオーストラリアの家を売り、それを元手にバリに家を建てたいと言い出しました。バリ島には欧米人が所有する素敵なヴィラがたくさんあるのですが、それに触発され、夫は自分のドリームハウスを建ててみたくなったのです。

正直、発展途上国に本格的に移住することには、教育や医療の面で大きな不安がありました。でも、その頃までには、私もウブドでの暮らしが好きになっていましたし、息子が通う幼稚園も国際色が豊かで素敵でした。車で南へ45分行けば日本語補習校もあり、絵本がたくさんある図書館もあり、日本語教育の環境も整っていました。そして何より、たくさんの在住日本人のママ友ができていたのです。 

そういうわけで、バリに住み始めて2年目にオーストラリアの家を売り、それを元手に土地を買って、夫がデザインしたドリームハウスを建てました。田んぼに囲まれた、床面積350平方メートル、プール付きのヴィラです。リビング&ダイニングは私が東京で住んでいた1LKDのアパートが2つ半入るほどの大きさでした。

10年以上前に、ブリスベンで衝撃を受けて憧れたライフスタイルが、バリで現実になったのです。

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