お一人で暮らすYさんからのSOS

さて、今回は前回とはちょっと変わったパターンのお話をさせて頂こうと思います。

今回お話しさせて頂くお話はYさん80代、ご本人様のお話です。

Yさんご本人はPCや携帯メールといった物は使いませんので直接ご本人様とお会いしお話をさせて頂いて掲載の許可を頂きました。

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Yさんは白内障を放ってしまっていたため視界が悪くなり転倒してしまった事による骨折で私の働く病院に運ばれていらっしゃいました。

Yさんは80代になったばかり。

旦那様は10年以上前に他界しておりお子さんもそれぞれ独立されお一人で暮らしていらっしゃいました。

旦那様のご遺族年金とご自身の年金で特段、不自由に思うことなく暮らしていたそうです。

また白内障の事も今日も見え方が悪いな程度の認識で病院に行かなくても寝て起きれば治っているだろうとお考えだったようです。

そんなおり、足元の段差に気付かずに転倒してしまい足を骨折し病院に運ばれてきました。

ここでご家族様に連絡を取るのですがご家族様の連絡先を知らないと言うのです。

お嬢様とご子息様がいらっしゃるようなのですがお嬢様とは折り合いが悪く旦那様が他界された10年前からお会いしておらず住んでいる所も連絡先も分からないと..

ご子息様は携帯の番号は分かるとの事でしたが掛けても一向にお出になりません。

驚くかもしれませんが実際こういった子供と連絡がとれない高齢者の方の独り暮らしは私がこの職についてからも何人かいらっしゃり決して珍しい事ではありませんでした。

そこでご本人様とお話をさせて頂き今後どうしていきたいかヒアリングから始める事に致しました。

ご本人様は自分はしっかりしており目が見にくいが足が治れば生活には何の問題もないとおっしゃっておいででしたがお話をしていくうちにご自身がお話をした内容を忘れてしまい短時間に同じ事をお話されたり時間を勘違いされたりと認知症の初期症状がみられました。

その事を踏まえご本人様にお話をしたのですが認めて頂けず私はとても嫌われてしまいました。

拒絶されてしまい介護や支援など必要ないと強くおっしゃり誰の世話にもならずにお一人で生活したいとの事でした。

時間が必要だと思いました。

その後、骨折してしまった足と白内障の治療のために病院に通院して頂く度にお声をかけていたのですが白内障の手術も終わり足の骨も良くなった頃にYさんから先日お茶を飲もうとお湯を沸かしていたらお湯を沸かした事を忘れて出かけてしまい大事にはならなかったが怖かったと。

お風呂を沸かした事を忘れてしまったりトイレを流し忘れたり些細な物忘れは今までもあったが今回は火を付けた事を忘れ危うく大事にしてしまう所だった。このままこのような事が増えていってしまったらとても不安だと相談してくださいました。

Yさんは白内障を放っておいてしまった事による少しの視力障害と物忘れこそしてしまうものの生活に困るという事はなく、ただ毎日をお一人でお過ごしのようでした。

そこでまず老人会への参加をおすすめしてみました。

外に出て誰かと話したりする事で元気になり物忘れなどの症状を抑えられた事例は沢山あります。

Yさんも老人会でお友達が出来たようで刺激になり物忘れすることが少なくなった事、何より誰かとお話をすることをとても楽しんでいらっしゃってます。

お一人で暮らしてらっしゃる年配の方が多い時代です。

ご家族様と連絡を取れずに、あるいは取らずに孤独を感じながら暮らしている方も沢山いらっしゃるように思います。

ご近所さんや職場などでお一人で暮らす年配の方をほんの少しでかまいませんので見守ってくれるような優しい社会でありますようにと願っております。


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