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#069 『プリシラ』(1994)

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(069/365)
『プリシラ』(1994)(108分)
原題:『The Adventures of Priscilla, Queen of the Desert』

前情報抜きで見始めて、結構な衝撃をうける。

原題の直訳だと、『砂漠の女王、プリシラの冒険』

物語はドラァグクイーンのバーナデット、ミッチ、フェリシアの3人がシドニーから2週間の移動を経て田舎のアリススプリングでショーを行う物語。

今回のレビューはネタバレ要素が多いけど構わないと思う。この映画の醍醐味は絵面のインパクトや、音楽やオーストラリアという大地を楽しめる映画なので、内容を知っていたとしても、興味が湧いたのであればぜひ見てもらいたいのだ。

『プリシラ』は移動に使ったバスに命名したもの。道中、エンジントラブルや出会い、ドラァグクイーンへの偏見など色々ある。それでも彼女たちの職業はドラァグクイーンである。歌い、西へ進む。

プリシラ号の門出に流れるのは『GO WEST』であり、これは彼らにとっては象徴的な楽曲である。
(アメリカ西海岸はかなりそちら方面に開放的で、サンフランシスコは聖地なのである) くしくもシドニーからアリススプリングは西方面なのだ。

本作はロードミュージカル映画であり、様々な楽曲が楽しめる。洋楽が詳しくない僕でもABBAくらい知ってる。彼らは「女の格好をして口パクをするの」という。街々でショーをするが反応はそれぞれなのだ。

シドニーからアリススプリングはなんと2800キロの行程だ。(いまGoogle マップで"最短距離"で調べたからもしかしたらプリシラ号の行程はもう少し長いかも。)

先進的な都会であるシドニーは彼らの存在を守る場所であり、保守的な田舎では彼らは完全な異物であり、迫害の対象である。何度も何度もつらい場面にでくわす。

3人のセクシャリティは三者三様で、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーである。そのあたりを楽しむのもこの映画の見所である。

この物語はミッチが別れた妻のマリオンの誘いで、ホテルのショーをしに行きそこで息子と出会う物語である。

父親として息子と向き合うことが大きなテーマなのかもしれない。これは子ども側ではなく、父親側の心情としてだ。

正直どうして別れたのかわからないくらい、夫婦仲はいい。
(それは6年という歳月を経たからなのかもしれないけど)
子どもに内緒にしてたと思っていたミッチの正体をマリオンはしっかりと伝えていたし、息子のベンジーはすごーく素直に受け止めていた。

マリオンは少しのお休みをもらうためにベンジーをミッチに預けるために呼んだのだ。

フェリシアもベンジーに「お父さんのこと知ってたの?」と聞く。ベンジーは"的確"に答え、呆気に取られてるのがわかる。

都会と田舎という隔絶とした世界をみせる反面、子どもに正しく伝えるということが、未来を見せる物語でもある。これが1994年の映画というのがとてもとても、先進的だ。

ジェンダーについてはデリケートだし人によって捉え方が大きく違う。

僕個人、ジェンダーについての僕の捉え方を誤解されたことがあり、話も聞いてもらえずに疎遠になってしまった人がいるので、難しいなぁと思ってる。

まぁ、弁明するのも変な気もしてるのだけど、仕事柄一方的なシャットダウンというのは最終手段であると思ってるので、今でもこのことについては悲しみが付きまとっている。

僕は個人の"好き"については最大限に尊重すべきだと思っていて、無理に対立したり、押しつけたりすることはNGだと思っている。踏み込むことをそこでやめればいいだけなんだよな。

映画のレビューからだいぶ逸れてしまったけど、まぁそんな感じだ。

月並みな言葉でしめるけど、ラストカットを見れば、元気がもらえる映画なのである。

ちなみに何個かの謎がこの映画にはある。
砂漠で見かけたあの宇宙人みたいな人(?)とか
エンディング終わりにドラァグクイーン凧がたどりつくワンシーン、あれとかは謎である。

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