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息子がクギを飲み込んだ日


育児していると
必ず出てくる言葉
「幼児の誤飲に気を付けましょう」

妊娠してからは出産の本を数冊
出産したらしたで育児本や雑誌など
皆さんもそうだと思いますが
いろいろ読み尽くしていましたよ

誤飲、転倒、転落、飛び出しなどなど
注意することは尽きません

夫は育児には全く協力しない人で
子供3人いますが
おむつを変えたのなんて
上の子の時に
一回あったような.....

夜中に高熱を出しても
酔っ払って起きず

そんな感じです

それでも立派に成長してくれました
大好きな子供たち3人
宝物です

そんな長男(現在29歳)は小さい頃
とにかく落ち着きのない子でした
落ち着きがなさ過ぎるので
いろいろ調べたりして
私の中では多動症だと思って心配していました
そしてなんでも口に入れる癖がありました
おまけになんでもかじるのです

例えば
お風呂に入った時に
立って入っていると
ちょうど風呂釜の縁が息子の口の高さだった時
チュウチュウと音がすると思ったら
縁についている水滴を吸っている!!!
やめてっ!!!!

窓もちょうど立った時に口の高さだった時には
窓枠の木をガシガシとかじっている!!!!
きゃああ!!!!
今もその歯跡が残っています

本屋さんに行くと
児童書売り場に
時々絵本を探せる回転式の立っている台がありますよね(説明が下手)
グルグルグルグル回しすぎて倒して本を散らかしてしまって大恥をかきました
あれ倒す人いる?

家で
洗面所の前で何か嬉しそうに
キャッキャ騒いでいて
なんか楽しそうだなあと見に行ったら
なんといつのまにかごま油の瓶を持ち出して
廊下いっぱいに撒いてくれていました
その後しばらく我が家はごま油の香ばしい匂いに包まれていました

流しの上で
溶き卵をボールに入れていて
そのボールの中身を見たかったんでしょうね
だーっと走ってきて自分の方に力強く引き寄せて
全部浴びる......
(遠くにいると思って油断した....)

私のペンケースのファスナーの持ち手をかじりすぎて
乳歯の前歯が欠けました




今思うと長男は
何にでも興味がありすぎて
エネルギーが有り余っていたのではないかと
思うのです



子供達が小さい頃

実家で子供を見ながら
お米作りを手伝うという
幸せな毎日でした

実家の父は農家をしながら
電気工事屋さんも営んでいました
手先が器用な人で
自宅回りや作業小屋などの大工仕事なども
なんでもこなす人です
腰に道具を下げて仕事をしたりしていたので
息子が興味を持たないわけがありません

父は小さい子でも
興味ある事は何でもやらせてくれました
危ない事も初めはそばで見ながら

クギと金づちで
木に打ちつける事も大好きになりました
そういうオモチャも買いました
そのうちオモチャでは満足しなくなり
クギと金づちで私のそばで遊んでいました



長男が2歳の時に
私は第2子である娘を妊娠して
予定日は8月7日でした
もうまもなく産まれるよね〜
なんてのんきに構えていた8月3日
事件は起こりました

その時私は座って妹と電話で話していました
長男は小さなクギを持っていました
クギを口にくわえるのと
私の膝に横になるのと同時でした
横になった瞬間
指からクギが口にこぼれ落ちたようでした
運悪く舌の上ではなく
喉の方に落ちてしまったらしく
すぐに体を起こしたけれど
ゴクンと飲み込んでしまったようでした
一言「痛い」という言葉を発して

その後は胃に落ちたからだったのでしょう
ケロッとして何事もなかったような顔の息子

私はパニックになりながらも
外で農作業をしていた母を呼び
すぐに病院に電話をして向かいました

本当に飲み込んだのか?
気のせいじゃないのか?
これは悪い夢じゃないだろうか?

でも確かに手に持っていたはずのクギが見当たらないのです

すぐに病院でレントゲンを撮り
小さな胃の中にクッキリとクギの影を見た時には
めまいがして涙が出ました

私はなんてひどい親なんだろう

麻酔をかけて
内視鏡で取ろうということになり
麻酔が効いた頃に
処置室から私と母は出されて
廊下の椅子で待つように言われました

珍しい症例だったからか
研修医みたいな若い人たちが何人も囲んでいたようです
一人置かれて
たくさんの人に囲まれた息子は
麻酔がかかって朦朧としていたのに
ずっと叫んでいました
廊下までその声が聞こえていて
今思い出しても泣けてきます

そしてしばらく経った頃
小児科医が出てきて言いました
「腸の方に落ちてしまっていて残念ながら取れませんでした」
そのあと看護師が何やら先生に怒られていました
どうやら腸の方に落ちないように消化を遅らせる薬を飲ませるタイミングを間違えたらしい


そのまま入院となりました

でも私は出産予定日が近いため付き添えず
実家の母が付き添って泊まってくれることになりました

私はショックで出産するかと思いましたが
全く産まれる気配はありませんでした

落ち着きのない息子です
痛みも全く感じなかったことが救いでしたが
安静にしてと言ってもするわけがないのです
絶食してずっと点滴していたため
目を離せない状況でした
母には本当に難儀を掛けました

2歳の子供の腸です
細くてグニャグニャと曲がっています
1ヶ所目のカーブでクギが止まったまま動かなくなりました
確か二日目の事です
無理をすると腸壁に刺さる危険があります

「思い切って何か食べさせてみよう」
という先生の言葉で
ご飯を食べたら
やっと細い腸をクギが進んでいきました

まだ幼いので
1日に何回もレントゲンを撮れませんでしたが

少しずつ進んでいったようです

そして入院して4日目
病室でおまるにウンチして
母が箸で探していたら
「カチン」と音がしました

無事に出て来てくれました
4日間ツラかった.....

母と抱き合って泣きました

あとで聞いた話ですが
小児科病棟では
腸壁に刺さった時にはすぐに手術が出来るように
ずっとスタンバイしてくれていたそうです


その後
娘は予定日をずっと過ぎて
8月20日に産まれました
もともとお腹が大きめで
妊婦健診では
「双子なんですか?」
なんて声を掛けられていましたが
さらにお腹の中で成長したのか
4,356gもありました

落ち着きのない兄に
多少踏まれても大丈夫なように
大きく産まれたんだと思います
(冗談ですがまんざらでもないです)


今息子は落ち着きのある
普通の大人になりました
(いや、ちょっと変わり者かも)


余談ですが
私も幼かった頃
とても落ち着きがない子供でした

母の実家で
ドライバーを見つけて
掃除機を分解してしまったことがあります

私に似ただけだったんですね!


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