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人口減少地域のはじめの一歩 ~宮城県大崎市の子育て世代の願いは流山市民と変わらなった~

住民の期待を受けて無事当選

「リアル子育て中の女性が議会にいない」と問題意識を感じた女性が宮城県市議会議員選挙で4/17無事当選(2,533票で第5位)しました。私も4/15選挙応援に行ってきました。慣れない選挙戦に対し不安を感じているだろうからと、心配で現地に足が向かっていました。

流山市の事例をご紹介するたびに「自分が住む田舎とは事情が違う。自分の自治体とは雲泥の差(で参考にならない)」とコメントを貰っていたので、どれだけ違うのかを肌で感じたかったということもあります。

宮城県大崎市の状況

宮城県大崎市は面積796.8 km²(流山市 35.28 km²の約23倍)、人口126,264人(令和4年4月)の都市です。2006年に古川市、松山町、三本木町、鹿島台町、岩出山町、鳴子町、田尻町の1市6町が合併。古川という地区に人口の約6割が集中しており(赤い部分)人口が集中している所が丁度流山市の面積と一緒くらいです。

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近くに仙台市があり、通常車両で1時間強、新幹線を使うと15分という立地に位置しています。

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大崎市の総合計画をチェック。将来像を以下としていたようですが、結果はあまり芳しくなかったことから、
①市民にとって ⇒ ずっと大崎に住み続けたい(愛着、誇り)
②市外の方にとって⇒住んでみたい(憧れ、魅力)
第2次大崎市総合計画・後期計画(中間案)の見直しでは、少子高齢化社会を見据え、多様な方のまちづくり参画機会の創出に重きを置かれた改定になっています「こちら」。

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RESUSで人口推計をチェックしてみると不安要因は沢山ありますね。

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社会増減について、一瞬伸びた年があったものの、減少傾向。

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5つの温泉地が集結する鳴子温泉郷や、県を代表する紅葉名所「鳴子峡(なるこきょう)」があることで知られる街とのことですが、コロナ禍で宿泊者数が減少しているようです。

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さて本題です。

大崎市の子育て世代の本当の願い

私が現地入りした理由は「宮城県大崎市の子育て世代の願いは何か、実現のためのハードルは高いのか?を知るためでしたが、大崎市の子育て世代の願いは流山市民と、あまり変わりませんでした。

それは、選挙応援にいらしていた女性の声に耳を傾けると明らかでした。4人の女性へのインタビューと近藤私見を記します。

〇Uターンしたかったけど断念した女性(「元大崎市民のほんね」)

おそらく大崎市が転入者として定めべきペルソナ(住民となる具体的なユーザ)になると思うので共有します。

〇Aさん:故郷に戻りたいと思ったが(大崎市ではなく)仙台市を選んだ。若かったたこともあるが、大崎市には(娯楽が少なく)華が感じられなかった。学びの場が多く、自分を高めてワクワク出来るような環境が仙台にはあった。一度県外(都市部)の環境を知りたくて大崎市を出たが合わなかった。仙台であれば娯楽も多いものの適度に田舎の部分も残っていて私にとっては丁度良い。親とも会いやすい距離感。

(近藤私見)
都心のような環境を求めているわけでは無い。両親との程よい距離感と自分が成長できるワクワクする環境は求めている

〇Bさん:田舎で子育てをするか悩み、結局東京を選んだ。長期休みは田舎に帰ってくるとゆっくりはするが、3日位で飽きる。帰省時に感じるのは、田舎なのに、田舎らしい遊びが出来ていないということ。東京の方が公園が充実していたり(例えばキャンプに連れて行ってくれる団体もあり)いろいろな遊びが出来る等、結果的に東京の方が自然に触れられる。田舎は自然は豊富だが、自分が連れて行かなければらない。

(近藤私見)
流山市も、都心から近いベットタウンです。ソフト事業は都心と比較すると少ないですが、公園を充実させたり、みどりを維持したり、駅降りてすぐ子どもを放し飼いにできるような歩車分離空間(駅前ひろば)を整備しています。その広場をショッピングセンターで囲むなど、子育てしやすい環境を、民間と一緒に、東京に対する優位性を作ることを意識して街をつくってきました。面白い市民もいてNPO活動、創業なども活発です。流山市のことをベンチャー企業のようだ、と表現する方もいらっしゃいますが「何かをやりたい」と思った時に背中を後押しする文化があり、私も継承していこうと思っています。
田舎の環境は、私達からすると、のどから手が出る程羨ましい広大な土地がございますが、それをうまく活用できるソフト事業の少なさが、課題なのだと感じました。

また「田舎の良さ=人のつながり、あったかさ」とすれば、子どもにあれダメこれダメいうのではなく「〇〇していいよ、〇〇してあげるよ」という寛容な環境なら魅力的だと思います。コロナ禍においては、感染対策には有利と思えた密な環境でない田舎の方が、むしろ非寛容の地域が多かったことは残念でした。手触り感のある地域のあたたかさを感じられなければ、手軽に便利サービスを買えれば良いので、都市部の方が魅力的となるのは当然だと思います

〇地元で女性の起業支援をされているパートナー

〇Cさん:PTA組織がかなり疲弊している。親の求めるあり方と今のPTA組織のあり方がリンクしなくなってきている。
加川さんとはPTA活動を3年やってきて、PTAの中枢に入って仕事をしてきた。元気なおじいちゃん、おばあちゃんの力をうまくお借りして、地域のつながりの中で子育てをしたいと思っていたが、コロナ禍で希薄になった。不要不急の外出はNGとなり、外であそべなくなった。
人と人のつながり、を結び直していきたいという子育て世代代表としての想いを加川さんから聞かせて頂き、私が手伝わないとダメでしょと思った。

(近藤私見)普通、選挙に立候補することは考えません。私も自分が議員になるなんて思いもしませんでした。でも加川さんがPTA活動をされる中で立候補を決断されたのは、きっと彼女は政治家になりたいわけじゃないくて、地域をつくりたいと思ったのだと思います。コロナでコミュニティが寸断され、子育てはより一層孤独になりました。子育ては思い通りに行かない。日本は便利社会だから、サービスを買ったりして済むものは沢山あるけれど、子育てには、自分が踏ん張っても出来ないことが沢山あります。だから、うまくいかないときに「大丈夫だよ」と言ってくれる人が1人より2人、2人より3人、3人より4人、さらに「私も手伝うよ」って言ってくれる人が増えたら、子育ては豊かになるのだと思います。
私は「子育てが楽しい」というフレーズに違和感を持っています。うまくいかないことも多くて苦しく時もあるけど、だからこそ豊かな経験になるんじゃないかなと思う時があります。苦しい時に、子どもを介して、つながって一緒に子育てして豊かになる。子どもってそんな存在だと思います。でも今は社会が子どもに目を向けていない。そこに加川さんは光を当てて、地域をつないでいきたいのだと思うんです。

〇Uターンして一緒に活動している女性

〇Dさん:加川さんとは中学校の時の同級生。中学校を卒業後、5年前に開催された中学校の同期会で再開して仲良くなった。横浜市から夫の仕事の関係で、Uターンをしてきた。
最近の大崎市は、お店など増えて不便はなかったが、学校だったり子育てだったり何か足りないというのが積み上がってきていた。先日、授業参観に参加して、教育環境30年前と変わってないと危機感を感じてしまった。
自分は子どもの時、息苦しい思いをしてたが、子どもも同じ思いをするのではないか?と心配になった。

(近藤私見)
学校は集団生活。集団生活に合わせなければならないため「あれだめ、これだめ」言われ息苦しさを感じる場合もあるでしょう。これまでのように「これだけやったらこれだけ稼げる」という予想が出来た時代は良かったかもしれませんが、これからはそうではない時代です。きめられた仕事は機械にどんどん置き換わる中、子ども達がどうやって生き方を選択していけばいいんだろう、ということを自ら考える機会をつくるため、加川さんは子ども哲学を立ち上げたのだと思います。

都市部であれば、探せば学びの場あります。でも大崎市では残念ながら見つからなかった。自分で何ができるだろうということで、子ども哲学を学んで、始めたのが2年前。でも、もうすこし大きく動かしたいということで、市議選にチャレンジすることにされたのだと思います。

子ども哲学は答えが無いことを考え続ける、知力が付きます。今の学校教育に足りない「答えが無いこと」を考え続ける取り組みです。学校現場ではこれを教えるのが中々難しいし、これが日本の教育の課題なのだろうと思います。「なければつくる」という力が、地方の活力になるでしょうし、子ども哲学なんかは都市部でにニーズがあるので、もし大崎市に需要が無ければ流山市で実施したいくらいです。

人口減少で悩んでいる自治体は、まず何をすべきなのか

人口減少で悩んでいる自治体が何をすべきなのか。上記インタビューの内容は自治体に寄らない普遍的な話だったりします。具体的な事業ヒントもありましたが、それを拙速に開始してもうまくいかないと私は見ています。環境や風土が整っていない中で事業だけやっても細部で勘違い運営になりがちだからです。まずは大崎市に愛着のある女性の声を吸い上げ、まちの力にしていくために、女性が周りを憚ることなく意見が言える、まちづくりに参画できる環境整備をしましょう。当事者が行動できるようにしましょう。そのために、関わろうとする女性を育てていく事業も必要です。流山市では、この人材育成について、重層的な取り組みが存在します。その中でも一番重要なのは男女共同参画事業です。

社会人になって経済活動に従事される方は、学ばざるを得ない環境に置かれます。自分の意見をまとめ、発信し、コトづくりに参画し、時には責任を負ったり、人をまとめたり、成功も時には失敗を仕事で経験することで人は成長します。しかしご家庭を中心に従事されている方は、子どものため、パートナーのための生活が主となり、主体的な学びの機会が減少します。だからこそ女性の声にならない声を=潜在ニーズとしてまちの力にするには、性的役割分業が残っている地方ほど、女性に生涯学習の機会と経験の場を行政が後押するために、男女共同参画という計画を作り、推進する必要があるのです。

「第2次大崎市総合計画・後期計画(中間案)」では、既に問題点としてはあげられているようです「こちら」。これを絵餅とすることなく、しっかり実現するためには、リアル子育て世代の声を知っている、加川さんの存在をがとても大切になってくるでしょう。加川さん、がんばれ!

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