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わたしは「こう読んだ!」vol.7 ちょっと一息・絵本の紹介

現象学の本ばかり続いたので、少し違った本も紹介します。
2021年4月のFBから
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今年から増えたわたしの担当授業の1つに、「子どもの理解と援助」というものがあります。去年のうちから、教科書をいろいろと見てはみたものの、しっくりとこず・・・。それは、わたし自身の実感から来たものではないからなのだろうと思い、教科書類はわたしの参考程度にとどめ、毎回、絵本や自分の論文を使って授業をしていくことにしました。
 子どもを理解するってどういうことなのか・・・『わたしようちえんにいくの』では、子どもの揺れる思いと、保育者がそれを慮ってしていることは何かを読み解いていきました。『おこだでませんように』では、言葉にできない子どもの思いと、先生(保育者に当てはめても・・・)の思いを、『おとなってじぶんでばっかりハンドルをにぎってる』では、子ども主体とはどういうことなのかを、学生たちと一緒に考えていきました。

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以下、授業について書いているので、そこは割愛します。
もう少しそれぞれの絵本のことについて、紹介しますね。

『わたしようちえんにいくの』
この本を読むと、保育者の細やかな心遣いがとてもよくわかるのです。たとえば、幼稚園に行く前に靴を一人で履けないことを心配していたアンナに、先生は「よくきたわね。まあかわいいくつ。さ、はかせてあげましょうね」と言います。これ、偶然じゃないですよね。保護者との連携があってこそ。そして、子どもの今そのものを、丸ごと大事にしようとするからこそできること。子どもの安心感は、こうした些細なことの積み重ねです。こんなふうに見ていくと、本当に随所に細やかな心遣いがわかります。そして、迎えにきたお母さんに、アンナが幼稚園でできたものは何か答える、その瞬間が、私はとても好きです。

『おこだでませんように』
これはほんとに・・・読んでいくうちに胸が苦しくなって、学生に読みながら声が詰まってしまう本です。学生の中には、泣いてしまう子もいました。大事件ではなくて、日常の中でよくあることと思いますが、こんなふうに周りが気づいてあげられる子ばかりじゃないと思うから・・・。子どもの気持ちに戻れる本です。

『おとなってじぶんでばっかりハンドルをにぎってる』
ウイリアムスタイグの本、面白すぎます。全くその通り!とおもうことばかり。たとえば、「おとなって、なんでも はかりたがるんだ。」「おとなって、こどもが礼儀正しいとうれしがる。そのくせ おとなって、無作法。」大人でいる自分の中に、子どもの自分を思い出したいときにはぴったりの本です。

他に授業の中で学生と読んだものがもう一冊あったので、紹介します。
『いっちゃんはね、おしゃべりがしたいのにね』
大好きな灰谷健次郎さんの絵本。
立派な先生だから子どもと心が通じるわけではなくて、未熟で一生懸命な人だからこそ、子どもと通じ合えることがあると気づかせてくれます。いっちゃんの、いくこせんせいへの想いが伝わってきて、子どもと先生の関係について考えさせられます。これから先生になる人に特に、読んでほしいな。ありのままの自分、伸びようとする自分、そのどちらも大事にしてほしいなと思います。



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