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キマらない日も同じように

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「毎日書くこと」を目標に、友人とその日のテーマを決めて書いてます。
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2018年12月の記事一覧

「もう1回行く」と決意した2018年旅先まとめ

今年最後の旅行は、箱根のブックホテル「箱根本箱」だった。 1万冊以上の本から好きなものを次々手に取りつまみ読みしたり、気になったものはカプチーノとナッツをいただきながら読みふける。気晴らしに温泉へ浸かることもできるし、夜は地場産の食材を使ったイタリアンが楽しめる。チェックアウトの時は後ろ髪惹かれる思いだったので、いつか連泊して読書合宿したい。 * 2018年はプライベートと仕事を合わせると、10回ほどの遠地滞在が出来た。プライベート旅行は最高のリフレッシュ方法だし、遠方

身を滅ぼす愛し方について

「国を滅ぼすくらいの美しさがあったらいいのに」と、楊貴妃の超簡略エピソードを聞いてそう考えたのは、たぶん中学か高校の頃。「美しい」は正義。誰もが優しくしてくれるし、仕事の幅だって広がる。もって生まれたパーツでほぼ勝敗が分かれてしまう、その美しさをうらやましく思っていたことがあった。 * 大正時代の私小説・谷崎潤一郎「痴人の愛」には、“美しさ”に人生を狂わされた男の話が書いてある。15歳の娘「ナオミ」を、28歳の主人公「譲治」が見惚れてしまうところから話は始まった。何回かデ

「止める」方法より、「受け止める」方法

「小学校の教科で1教科加えるとしたら?」 に対して 「上手ないじめられ方」と、谷川俊太郎さんの質問箱に回答があった。 学校でも、メディアでも、あらゆるところでいじめに対する“悪”の報道が流れ、いじめは“するな”と誰もが止めるにも関わらず、結局人間関係があるところには、大小さまざまないじめが存在してしまっているものだ。 どんなに注意しても、関わった人のその時の虫の居所やタイミングによって、自分が被害者になる日がやってくるかもしれない。それならいっそ、もしもの時に備えて「

車の窓越しに東京タワー

真っ暗な空ににょきっと生えたスカイツリーを横切りタクシーは走った。カラオケの時間と引き換えに終電は無くなったが朝まで歌う体力は残っていない。明日を考えるとここはタクシーに乗るのが一番いい手段だ。 スカイツリーを過ぎ、高速道路に入ると、周りを高い建物が囲む。"夜景"なんてもんじゃない。まるで荷物の積みあがった倉庫の中をさまよっているみたいだ。このタイミングでnoteを書いてしまおうと画面を見たら、だんだん気持ち悪さが止まらなくなってきた。酔うまで飲んでないし、なんならさっき水

今へ向かう電車にて

電車に乗ると四隅の椅子が全て埋まっていた。最終電車には疲れて眠る人、ぽーっと窓の外を眺める人、スマホをいじる人。優先席に目をやると、サラリーマンがお弁当を食べている。お昼が食べられないほど忙しかったのだろうか、それとも、夜食で作ってもらっていたのに、同僚に誘われて飲みに行ってしまった?そして、奥さんに怒られないようにしっかり食べておいているのかもしれない。何にせよ、みんな疲れているように見えるのは終電特有の雰囲気だろうか。 窓の外を見ると、真っ暗闇の多摩川が広がっていた。夜

口内炎とカボチャと。応急処置のチョコラBB

口内炎が痛くなって3日が経つ。こいつの厄介なところは、生活できるくらいの地味な痛さであるところ。起きてられないくらい痛かったり、四六時中考えてしまうほど洗脳されたりしてしまえば治療に専念できるはずだけど、時には忘れてしまうくらいの痛さでは、ほかの優先事項に押されて治療に集中できなくなってしまう。それなのに、やっぱり日常のテンションは上がらないのだから面倒くさい。 * 実家にいる時、口内炎ができるといつも、母がカボチャの煮物を作ってくれた。「ビタミンBをとれば治るよ」と、彼

クリスマスの思い出

待ち合わせに現れた友人は大きな赤い靴下を元気よく振りながら歩いてきた。中には白い動物のぬいぐるみ。熊なのか、犬なのか、はたまたバクなのか(口先がすごく長いのだ)よくわからない。 「これ見た時、もりやさんだと思って」と言って渡してくれたそれは、確かにゆるキャラ系の、私の好きなタイプだった。 * そういえば数年前、一緒にクリスマスを過ごした時も、彼女の家にいったらクリスマスプレゼントをもらった。丸々とした羊のぬいぐるみは、ほよん、っととろけた顔をしていてすごく癒し系。ありが

負のエネルギーは、お風呂とハーブでせき止めて

いじめられた……!と同居人がリビングに入っていた。よろよろと浴室に向かい、お風呂にお湯を溜め始めた。いつもおだやかな雰囲気の彼女。けれど今日は違う。“怒り”よりも“疲れ”の色を濃くさせながらリビングに戻り、壁に寄りかかっていた。 “いじめられた“の内容は、仕事で理不尽な拒絶にあったという。理由はわからない。周りからは、「あなたのせいじゃない。あの人の気持ちの問題だ」と言われ、自分では改善できないことにもどがしさも感じているようだ。 余裕がない人の周りにいると、思わず飛び火

0時を過ぎた個別LINE

女子が集まると8割は恋愛の話になる。共感が好きな私たちは、うんうん、と頷き、「そうだよね」を言い合い、特に具体的な方針や解決策が見えないまま、なんとなく話しは別の人に移る。それで、いい。それが、いいのだろう。 * Aちゃんはいつも、ちょっと不思議な好かれ方をする。誰でも受け入れるようなやわらかい雰囲気と、おだやかにほほ笑むその表情で、「こんな僕でも大丈夫」と自信をもった厄介者たちの的になることが多い。 最近また、彼女は困っているようだった。数か月前から、花金が終わる0時

日々の中に“プレゼント”の余白をつくる

数年前から、誰かにちょっとした贈り物をしたいな、と思ってちょこちょこ買うようにしている。 きっかけは、素敵な年上の女性と続けて食事をしたこと。ある時は一口サイズのチョコレートが1つ、宝石箱のように包まれて入っていたり、ある時は手のひらサイズのクマのぬいぐるみが、入浴剤を持っていたり。両手に収まるくらいの上品なプレゼントを、食事の最後に必ず渡してくれた。 その人の振る舞いに憧れて、プレゼントをもっと誰かに渡していこうと決めたけれど、意外とこれが難しい。その人にぴったりのお店

旅行メディアを運営して行きたくなった/ オススメしたいスポット10選(2018)

普段働いている訪日観光客向けメディアMATCHAでは、記事編集、ライティング、運営全般を行っています。実は毎日、結構な観光情報に触れているんじゃないか……と通勤途中で考えました。せっかくだから、今年自分が心動かされた観光スポット「MATCHAでオススメの記事10選」をやってみます。 訪日観光客向けとはいえ、日本を旅行する日本人でも読んでて楽しいと思うので、気になった記事はぜひ見てみてください。 MATCHAでオススメの記事10選 目次 1.取材に行った中で特にオススメ

過ごした時間と、寄り添った量

小さい頃によく聞いていた声を聴くとどこか懐かしく、ほっとする。 風邪をひいた時、眠れなくてずっと聞いてた時のこと、落ち込んだ時に一緒に、声に合わせて歌った日のこと、途方にくれながら、イヤホンで流れてくる声を聴いて春を待った日のこと。 今はあまり聞くことが無くなったとしても、ふと耳に入ると過去の記憶がしっかりよみがえってくる。ずっと一緒にいた声はいつの間にか、いつでもそばについていてくれるような気持ちになるから、今でも聞くと落ち着くのだろう。 そんな声の主は、私にとって歌

不愛想で通いたくなるお医者さん

いつも行く病院の先生は、愛想が悪い。 大柄で、無表情で、ぎょろりとした目をしていて、一問一答形式でバンバン聞いてくる。 いつから?--土曜の朝からです。 鼻水は?--ないです。 咳は?--ないです。 頭痛は?--ひどいです。 吐き気は?ーーないです。 といった具合。答えた内容に相槌はうたず、矢継ぎ早に聞いてくるのでこちらもテンポよく答えることに必死になってしまう。 そんなプレッシャー満点の病院になぜわざわざ通っているかというと、やっぱり理由は先生。 めまいが

同居人との関係性(12/16)

シェアハウスのリビングにいたら、寝起きの同居人が降りてきた。 私のテーブルには買ってきたばかりのレモネード、のどぬ~るスプレー、のど飴と葛根湯、そしてパソコンが置いてある。湯たんぽを抱えてぽーっとしていたら「風邪ですか?」と同居人の声が聞こえた。 頷いてつらい、と返すと、「ここじゃなくてベッドでゆっくりしてたらいいのに」と返事が来た。 ベッドに行きたくない理由はふたつある。ひとつは、今日中納期の原稿がふたつあること、もうひとつは、風邪をひくと孤独がきらいになることだ。前