スウェット1枚で、街にでる
季節の変わり目の中で、街が特に浮き足だつのが春だと思う。
札幌にいた時は、それを顕著に感じた。
連れそう人と話す声色からは、あたたかい季節へのよろこびがダダ漏れで、地下歩道はパステルカラーの吐息で満ちていた。
しかし春への油断は、禁物だった。
少し強く吹いた風が、肌寒くないとする。
「あ、これは、もしや、春が………」
と期待した翌日に、強烈なビンタのように響く寒さがくるのは、よくあることだったから。
だから、先方の様子をおそるおそる伺うのだ。
「My寒さチェックリスト」に慎重に、ひとつずつ、丸をつける。そして全部が丸になり、ようやく訪れるのが、春だった。
今夜はコートを着ず、スウェット一枚で家を飛びだした。
私のリストにひとつ、◯がつく。
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