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国家試験の保育士資格試験を受けて保育士になった先のこと〜勉強中の方、先輩方に伝えたい事

保育士資格試験は、筆記試験の科目が9科目あり、全てマークシートで、それぞれ6割以上で合格となります。その全てを合格した後に、実技試験があります。

待機児童を減らすため、保育園の増設、保育士の確保に伴って、数年前から保育士資格試験に特例制度が適用されています。

ホームページより↓

幼稚園教諭免許状所有者(臨時免許を除く)が対象の制度で、幼稚園等における「実務経験」により、通常の「保育の心理学」・「教育原理」・「実技試験」に加え「保育実習理論」も免除されます。

また、指定保育士養成施設における「学び」を行うことにより該当の試験科目が免除されます。
幼稚園等における「実務経験」と指定保育士養成施設における「学び」の順番(前後関係)は問いません。通常3年間の合格科目の有効期間を、対象施設において対象期間内に一定の勤務期間及び勤務時間、児童等の保護に従事した場合、最長5年まで延長できる制度です。
 令和2年の試験では、平成28年及び平成29年の合格科目の免除期間を延長申請することができます。


また、以前は試験日が一年に一回のみでしたが、二回に増えています。合格科目については5年間の免除期間があるので、令和2年の試験では、5年以内に全科目を合格すると実技試験を受験出来ると言うものです。

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私が受験した時は、特例制度が出来たばかりの頃で、免除期間は3年間でしたが、幼稚園教諭資格を持っているので、筆記2科目と実技試験も免除になり、今がチャンスと思い受験しました。そして、3回の筆記試験を経て、平成30年に資格を取得しました。

どれ程の喜びであったか!45歳も過ぎて受験することになるとは思いもしませんでしたが、私がやりたい仕事にはいつも保育士資格が必要とあったので、短大の時に取っておけば良かったと後悔し続けた日々でした。


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そして、ここからが私の伝えたい事です・・・。

私の保育士資格が欲しかった最大の目的は、社会的養護のお仕事に就くことだったのですが、ひとまず一般の保育園に就職。一般家庭の子育て支援がどんなものなのか学びのつもりで保育園フリーパート保育士になりました。

保育園にもよるとは思いますが、まず、保育士資格を持っているパートと無資格のパートが居ます。正規の保育士さんが朝7時から夜8時までの保育時間をシフト交代で早番、遅番、大遅、のように時間帯をずらして勤務する中、どうしても人手が足りないところをパートが埋めたりします。いわゆる保育補助のような形になりますが、フルタイムで入る保育士も居て、その動きは様々です。

保育園側にとっては、この保育士資格を持ったパートが喜ばれます。何故なら、保育士の数にカウント出来るからです。無資格のパートは、その部屋に居てもカウントされません。保育園としては、法律で定められた配置基準を満たしたいので、園の中に「保育士資格を持つ人」が居て欲しいのです。それは、正規であってもパートであっても・・・。

保育現場では、新しいパートが入るとなると、保育士資格があるかないかに関心を持たれます。そして、資格ありは保育経験あり、と思われてしまいます。年齢が年齢ですから。恐らく、試験を受けて合格した経験のない保育士がパートに入るのは、その園でもまだ珍しかったと思います。

私は言いました。「職場経験はありません。」

途端にその場の空気が変わりました。

(え、一から教えないといけないの?)という空気・・・。

急に周囲の態度が冷たく感じました。そして厳しい口調に変わりました。私はその瞬間の事を今でも覚えています。(HSPと言う特性上・・・?)

保育経験がないばかりか、その職場でも新人です。まず教えられたのが、

挨拶をちゃんとするように、挨拶は基本!

・・・はい。(え?それは言われなくても大丈夫)

6年は黙って言われた仕事をしてればいい。

・・・はい。(え?長くない??)

ここでは気が強くないと続けられないよ。

・・・はい。(どう言うことだ??)


半年以上は、何だかな、と思いながらも必死でその園での仕事を覚え、子ども達の保育に携わりながら学びました。実際、即戦力にならないので、期待外れだったかと、申し訳ない気持ちにもなりました。

保育中に人を育てると言うのは、かなり難しい事です。うちは大規模保育園で、子どもの数が多いので、目を離している暇もありません。保育の現場の基本みたいなものを見よう見まねで学んだように思います。経験値は少ないので、毎日毎日気を張りながら、先輩達を参考にしながら保育をしました。


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保育の試験を受ける人、言葉は悪いですが、”わざわざ”この歳でお金をかけて勉強してチャレンジする人には、何か訳があると思います。私もそうでした。


子どもの最善の利益を守りたい。

不必要な悲しみを増やしたくない。


私は、度重なる児童虐待のニュースに深く傷付き、元々子どもが好きだった私には、今後の仕事として子どもと関わる仕事を考えました。若い頃から気になっていた児童養護施設の指導員を目指しました。そして、経験しました。(小学校教諭免許で指導員になれます。)

私は、子どもの心に寄り添うこと弱い立場の人に目を向け耳を傾けること、それが私の一番求める自分の姿です。ですので、保育に関しても経験はないにしてもある程度の理想がありました。


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一日目、目にしたのは、泣いている女の子でした。ちなみに2歳児クラスです。私はとても気になりました。何で泣いてるのかな。。。?

リーダーは笑って私に言いました。「ちょっと気にしないで放っておいて下さい。」

みんなその子を置いて、園庭に出てしまいました。その子は大きな声で、テラスから外に出られないまま泣き続けていました。

私にとってその光景は、苦しいものでした。リーダーは何か意味があってそうしているのでしょうが、私にはその説明もありません。見て見ぬ振りをするしかなかったです。苦しかったです。今でも覚えています。

かなり長い間、その子は放置されていました。ようやくリーダーが何か話をして、その子はやっと外に出る事が出来ました。(余談ですが、その子は少しこだわりがあって泣く事がよくありました。泣くと言っても涙がこぼれない時がありました。他の保育士達は、「涙、出てないよ」と言って相手にしませんでした。でも3歳を過ぎ、少しずつ成長して行ったその子は、泣く度に相変わらず放置されてた中、私は歩み寄る姿勢を保っていたので、大丈夫?と尋ねると、「なみだ・・なみだ・・」と言って、ティッシュを取って、自分で拭いて、気持ちを切り替える。それが泣きやむ儀式となりました。とてもいじらしく可愛かったです。一言聞いてあげたらいいのに・・・。見捨てられたように感じさせるのは、私にはどうしても出来ません。)

また、別の10年以上勤務の保育士も、ある泣き虫の男の子に向かって、「ねー!何の涙???」と冷たく言い放ち背を向けました。イラッと来てるそのままの感情が見えました。それも初日の出来事だったと思います。


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保育園に勤務してたった数日でも、子どもに対する対応が、全く理解出来ないことがよくありました。そしてそれは、その次の年になっても変わりませんでした。言い出したらキリがないほどです。

私は色々と悩みました。今、私はどう対応するべきかな。泣いて私の元に来る子をそのまま受け止めていいのかな?誰か別の保育士に叱られて、泣いてるのかな?それならばその保育士に対してどう応えるべきかな?

保育士にも色々なタイプがあって、私とは違うタイプであっても、それはそれで考え方の相違ややり方の相違があると思うので、これで良いのだと思うようにしました。社会に出たら色んな人がいて、共存していかなくてはならない。甘いばかりではない、厳しさも理不尽も学ぶのが集団生活なのかも、と。でもどうしても私のような保育士は、フォロー側に回ってしまいます。誰かがフォローしなければ、その子どもの心は枯れたままだからです。

意図がある叱りは、別です。私も必要に応じて叱ることはあります。ですが、それは決して感情的なものであってはなりません。保育士ですから。


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偉そうなことを並べていますが、私が現場の保育士の先輩達に伝えたいのはここからです。

きっとこれから私のように筆記試験で保育士資格を取って、保育所での仕事は初めてだ、と言う人が増えると思います。特例制度でその門が少し広がっているからか、受験してる人も多いです。受験会場には、私と同じような年代の人も見かけました。そのような人達は、何かしらの目標を持って努力して夢を持って保育士になろうとする人たちです。

その人達を社会人1年目を見るように見ないで欲しい。経験年数だけでその人の資質を図らないで欲しい。その人の保育観に耳を傾けて欲しい。経験値が少ないために未熟なところは、先輩として教えてあげて欲しい。そして、子どもの心と身体の安全を見守る仲間として受け入れて欲しい。

試験に合格して保育士になった人は、保育実習の経験もありません。だから、一定の年齢に達している人でも頭でっかちで学ぶことも多いです。でもせっかく保育の道を目指して努力して来た人なのだから、仲間として受け入れて、育てて欲しいです。


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私は、2年の勤務を経て、周りの保育士との保育のやり方の違いから、ストレスが絶大になり限界を感じ、この春、別の保育園に転職することにしました。一人の保育士として受け入れられたと実感した事は一度もありません。その為、この記事を書いています。

こんな風に接したい、こんな事を考えている、と言ったような私の思いを話す機会はありませんでした。むしろ、子ども目線で接する私の周りに集まる子どもを引き離されるような時もありました。甘やかしたつもりはありませんが、甘えさせるのが、そこでの私の役割と思っていました。他にそう言った思いで保育士をされている方が居る時は、安心して居られましたが。みんながそれぞれ楽しい思いで過ごし、笑顔で保護者の元に返したい。それに尽力していました。


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次の保育園選びはとても慎重に考えましたが、入ってみないと実際には分かりません。けれど、保育経験がある保育士になったので、少しはラクになれるような気がします。大規模ゆえの保育士の余裕のなさなのかな、とも思い、今度は中規模保育園にすることにしました。期待通りになるかどうかは、春以降のお楽しみ。

私は自分の着地点がどこにあるかまだ分かりませんが、もう少し保育園で保育の現場の学びをする事を通して、子育て支援を続けて行きます。


虐待のない社会になるように

自分に何が出来るかを追求して行きます。


長くなりましたが、最後まで読んで頂いてありがとうございました。

読んで下さってありがとうございます! 励みになります。