もういちど

ラッコをモチーフに木工品を作ってみた


1)ラッコをモチーフに木工品を計画

木材はそのほとんどが、薄い色と濃い色の部位でできていることは
ご存知のことと思います。

少し専門の用語になるが、中心近くの色の濃い部分は芯材と呼ばれ
その外側にある明るい色の辺材とに分けられる。

これはシャム柿というマメ科の木で、独特の縞模様が個性的だが
辺材の白太部分が極端に少ない樹種だ。
マメ科の樹木は、アカシア、ネムノキ、エンジュ、フジ類や最近
街路樹などにもなっているアメリカデイゴなどいろいろある。

この木何の木?気になる・・・のCMで知られるモンキーポッドも
同じマメ科で大木に育ち、概して比重は高くて硬い木質が多い。

このシャム柿の色の対比がはっきりしているところを利用し、
2トンカラーを生かした動物を作ることにした。

その動物とは、顔が白く体は黒いあの『ラッコ』。

以前スケッチしたラッコを引っ張りだして、加筆したり修正したり。
この中で使えそうな図柄は上下の色の区分がはっきりしているもの。
貼り付けたり色を塗ったりするのは無しで、木材の自然の色分けが
使えるのは限られてくる。3や6は埋木しない限り制作不可能。
という訳で、図柄はなるべくシンプルに色分けできるものにする。

2)ラッコのポーズはシンプルに !

この中でうまく切り抜けそうなものだけをピックアップ
することになる。
ところで完成時の用途をどうするかが決めていなかった。

全部同じ用途にするんじゃつまらない。さてどうするか?
トレーナーやバッグ、帽子に付けるいわゆるブローチや
カードスタンド(下の写真参照)のトップを作ることにした。

(カードスタンドとはハガキや名刺、メモなどのカード類を
 失くさないようにセットする、みひろうが 勝手に命名した文具)

3)ラッコ下絵作り

ポーズを少しずつ変えて、全部で5匹。
(私の場合、組デザインで1テーマ5個がまとまりが良く作り易い。
今回の場合は板の大きさから、ちょうど5匹がうまく収まった。)

イラストレーターで作った線データは、縮小拡大や微調整が簡単にできる。
スキャンした板材の画像の上に別レイヤーを作り線データを乗せて微調整。

ちなみに白い線は、ひび割れの可能性ありと思われる線を避けるための印。

下絵が完成したら他のレイヤーは消して、線描きだけを普通紙にプリントし
ボードの予定位置にのりで貼付けて、乾かしてから糸鋸で抜き出す。

切り出したラッコの角はそのままでは直角なので、ヤスリで丸みをつけ
目の位置にドリルで穴をあける。

残念ながらこのあたりの写真は撮っていないので、次の画像ははいきなり
完成品に近い状態になってしまう。


4)ラッコの旅立ち

目には黒のオニキスビーズを使っている。
鼻には適当なタイガーアイの平たい石をボンドづけする。 

手の線を糸鋸で入れた2匹は明るい色のウッドパテを充填して
手の線が分かるようにしている。
最後にウレタン系工芸うるしを二回塗り。
切り抜き後、完成したラッコ5匹をもといた場所にもどして
記念撮影。これはこれで額装して飾ったら面白いかも。

ちなみに一番右の一匹だけ赤い鼻にしてみた。
石の名前はタイガーアイではない。なんだったかな?

この材は5匹のラッコたちが旅立ったあとの寂しい風景。
でも残った部分でまた何か作れそうなので、できたらまた別の機会に。

5)ラッコのブローチ

できたラッコ5匹はこんな感じ(上)。
計画どおり3匹はブローチ、残りの2匹はカードスタンドにする。
ブローチピンは小さめの日本製(中・小)を使用。図柄により二つのピンを使い分ける。

ビスはステンレスのタッピングタイプで2x4mm極小サイズ。

網状のシートに取り付けてみた(下)。 
サイズは見てのとおり。
ラッコは、英語ではsea otter。
『rakko』はアイヌ語だそうだ。

Racco のほうがラッコらしいのでこちらで表記した。

6)ラッコのカードスタンド

残る2匹はカードスタンドのトップに起用。
カードスタンドとは名刺やカード(ハガキは横サイズまで)をセットできる
オリジナルデザイン・ステーショナリー。

デスク上での大切なメモや一日の予定などをいつでも見れるようにしておける便利グッズ。
薄い紙のレシートなどをカードケースに入れて立てておくのも得意。

足元は木製の円錐型ベース(30∅x26H)に着色。
支柱は超硬質で錆びないステンレス線 (SUS304/1.2mm∅)を使用。

同じ一枚の板からほぼ同時に生まれた5匹のラッコが
この先どんな運命をたどるのか、知る由もありませんが
行った先々で出会った人に可愛がってもらえたら
作者としてそれ以上の喜びはありません。
                           みひ郎

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