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長くつ下のピッピ(集英社)

『長くつ下のピッピ』
作:アストリッド・リンドグレーン/訳:須藤出穂

幼い頃大好きだった名作。元気いっぱいで力持ちな赤毛の女の子ピッピが巻き起こす大騒動のお話。ピッピは大人の常識から見れば見た目も中身もへんてこだが、勇気があって優しくていつだって自分に真っ直ぐで、本当にたのもしく生き生きとした魅力的な女の子。ピッピの活躍はいつも痛快で、大人の狭い常識なんて吹き飛ばしてしまう程パワフルだ。人の気持ちや常識はあまりわからないが、自分の納得しないことを決してよしとせず、弱い者いじめも見過ごさない。読んでいるといつの間にかピッピが好きになってしまう。子どもたちは尚更だろう。
もっとも、大人の自分からするとヒヤヒヤしてしまうようなシーンも多い。母親を早くに亡くし父親も海難事故で行方不明のピッピはたった9歳で一人暮らしをしているし、「子どもの家」に入るよう勧めてきたおまわりさんはおちょくって追い返してしまうし、サーカスへいけば大人しく座ってみていられず飛び込んでしまうし、学校の勉強なんて要らないと豪語する姿には「いやいや」と諭したくなってしまったりもする。でも、思い出してみれば子どもの頃読んだには特に違和感なんてなかった。3歳の我が子にとっても9歳はとんでもないお姉さん。力持ちなのも、何事にも物怖じしない姿も、一人で何だって出来てしまうことも、「ピッピはお姉さんだから、すごいねえ」と感心して、自分もそうなれるかな、なんて楽しそうに夢想している。
ピッピみたいな女の子は素敵だけれども、勉強が要らないとは言ってほしくないなあ、なんて、純粋に楽しめなくなってしまった自分が少しばかり悲しい。

■初めて読み聞かせた年齢:3歳
■読んだきっかけ:実家にあった

□なんとなく評価(最大5)
・わかりやすい言葉づかい:☆☆☆
・理解しやすい物語:☆☆☆☆
・我が子にウケた:☆☆☆☆☆
・自分が面白かった:☆☆☆☆
・絵の多さ:☆☆☆
続編は未読なのでいずれ読んでみたい。

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