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ジョン王 埼玉公演 


ポストパフォーマンストークの日。

ジョン王は難産だった。  
終わりよければすべてよし、でいったん彩の国シェイクスピアシリーズは終わった。
それでもジョン王をやってないから終わってない。弾かれっ子。いわば、ジョン王の作品自体が私生児のようなもの。だから、育ちが違うから、正統派ではない(演出の)可愛がり方になった、みたいなことを鋼太郎さんが、仰ってた。
みんながいい、という作品より、賛否両論ある方が、してやったり!という気持ちになる。10年後に、ああ、こういうことが言いたかったのかなあ、と分かってくれる人がいたらいい。分かるやつだけ分かればいい。コンプライアンスとか気にしてたら芝居ができない。この芝居、嫌いな人は本当に嫌いだと思う。それでもいい、と。

純米さんによると、旬くんと白石くんは、自分の楽屋で自分の歌をよく歌っているらしい。あれは何で?って聞かれた旬くんは、「不安なんですよ!」と。 いまだに、あれ、なんでおれ歌ってるんだろう、天よ!とか言ったあとに、変わっていくなんて♪って歌ってるの、これで本当にいいの?って思ってる、って😂

あそこは、私生児が歌ってるんじゃなくて、小栗旬が歌ってる、という鋼太郎さんの設定、らしい。

でも、かなり細かく立ち位置も決めて、アンジェの門のところで、赤ちゃんにスポット当たるところ、ここではみんな動かない、って何度もやって決めたのに、演出自ら、自由に動き回るし、動くし、で、なに?これでいいの?って思ってる、と。そしたら鋼太郎さんは、
おれはもう64歳で、この先そんなにもう長く芝居できないから、いまは好きなように動きたいように動くんだ!と。この人、最近こんなことばっか言うんですよ、っていう旬くんの声音は、やれやれ、とそんなこと言われて寂しい、もっと一緒にやろうぜ的な含みを感じた。

大阪に観に来たみっちゃんは、「俺が真摯にジョン王を演じて来た(時間を?)返せ!」って言ってたらしい。本当にみっちゃんいないとやばい状況はあったみたいで、鋼太郎さんの、ばーんととかの言葉をミュージカル用語に変換して音楽の方たちに伝えるというところで、リーダーシップを発揮してくれたそう。

コアな見どころとして純米さんが挙げたのは、枢機卿の輿を運ぶメンバーが、60オーバーの方たちばかり、というとこ。若い奴らに最初やらせたけど、つまんないから、と鋼太郎さんがチェンジさせたそう。

旬くんが稽古から本番までで印象的だったのは、ラストの戦車のところ、途中は、ものすっっごい小さい戦車が出てきて対峙するシーンだったとか。でも、あまりに小さくて、シュール過ぎて、前方席からも見えないから却下になったらしい。そもそもがシュールな演出多いのに、ここまでシュールにする必要なし、とのこと。旬くんは、かなり面白がってた。

白のVネックのTシャツに薄めの色のダメージジーンズ。腕が太くて素敵だった❤️‍🔥後ろから手を回されたい←

旬くんと久しぶりに芝居した感想として、鋼太郎さんは、初めてシェイクスピアに来たときは、滑舌悪くて半分以上何言ってるかわからなくて、細くて吹けば飛んでいきそうでぐにゃぐにゃ?してて、でも、スターのオーラだけは、ばーんと溢れていて、芝居と全く関係ないところで、旬くんと向き合っていて涙が溢れた、と。そんな経験は初めてだった。それで、今回会ったら、軸が太くなっているし、シェイクスピアの台詞も90%は聞き取れるし(これができるのは、大したもの)あの長台詞を言えるし、声が太いし、ずっと声が枯れないし、、、とひとしきり褒め言葉を続けたあとに、こんなことができるのは俺くらい、と最終的に自分の褒め言葉に変えていったのが、すごく面白かった!

名古屋公演は、急遽の代役になって、稽古なしでスタート。ロビーや楽屋で練習していたそう。鋼太郎さん、櫻井さん、山本さんの3人が初日だったから、ちゃんとできるのかなあ、大丈夫かなあ、と旬くんは、かなり興奮したそう。鋼太郎さんは、2日目に、ジョン王とフランス王が混ざっちゃったり、出て行ったらダメな人に向かって「出て行け〜」って何回も言っちゃって、舞台袖で旬くんはそれを見て楽しんでいたらしい。

舞台袖といえば、旬くんは座長として気い遣いしい(純米さん談)だけど、それを気取られるのが嫌、ってことまでバレてた。舞台袖で、鋼太郎さんを剣でつんつんつついたり、人の着替えを邪魔したり。末っ子気質、かわいい。。
旬くんいわく、コミュニケーション、だそう。

旬くんは、弱みも見せる。そこが愛されてる所以だと感じた。オールメールで部活みたいで楽しかった、と。ただ、なぜオールメールなのか、女性差別なのではないか、という劇評には、鋼太郎さんは、なんて頓珍漢なことを、とご立腹のご様子だった。京蔵さんから、これだけは言ってくれ、と頼まれていたから、と前置きをされたうえで、いちばん差別されているのは、女方の役者だ、と。機会の多寡でいえば、まさしくそうだとおもう!

カンパニーの人数が少ないから戦争のシーンも大変で、舞台袖でさっきまでフランス軍だった人が着替えてイギリス軍になって、旬くんいわく「あれ、さっきまで味方だったよね?何回斬られてまた戻ってきてるの?」状態だったらしい。そんなこととは知らずに観ていたよ。びっくり。

あれ、なんでおれ赤いパーカーにジーンズなんだろう、とも思ってた、と。いろいろ言われるだろうけど、これまでやってきたことを貫いていこう!となったらしい。

あと、鋼太郎さんが、見どころは白石くんの歌、だと。あんなに酷いのに歌ってるのがいい、みたいな口の悪さだった。
純米さんは、下手なのに一生懸命歌おうとしてるから泣ける、とフォローされてたな、、

継ぎ足し、継ぎ足しで、少しずつ追記。

鋼太郎さんが、ベルトを持って努くんを追いかけ回すシーンは、あれは台詞からのインスピレーションを得てのもので、鋼太郎さんからしたら、至極当然の流れだったらしい。
「奴隷のように」の奴隷イコール鞭で叩かれる、と=で鋼太郎さん的にはつながっているので、あれはあれで意味があり、必然なんだそう。そうだったんだ、、大阪で飛び蹴り、張り手、と始まって、ウケがいいから、悪ふざけしたのだとばかり。。違うのね。

旬くんは「ぼくたちは、1200年を生きているので。2000年代にいるわけではない」と言っていた。だから、今の感覚や常識やコンプラからしたら、笑えなかったり微妙だったりすることも、それはそれでよしとすることにしたんだな、と思った。    

純米さんも、稽古場で涙そうそうを聞いた時には、びっくりした、と。BEGINと森山さんの曲ってかんじで新しいものだと思っていたけど、オリジナルは戦争中に、きっと疎開などを体験された84さいの方が作っただか歌っただかの曲。それで鋼太郎さんの中にすぱーんとピースがハマって、反戦の曲のひとつとして採用されたみたい。

旬くんの私利私慾のところの独白が鋼太郎さんは大好き。私利私慾の塊みたいな小栗が、まだ私利私慾を知らないみたいなところが、って言ってた。でも、そこは、わたしの感覚と違ってた。旬くんは昔からドラマの現場にじゃんがららーめんの屋台連れて来たりとか、スタッフ全員にお揃いのキャップやコート作ったり、とギャラの殆どを差し入れに使ったりしてる。それは私利私慾とは真逆で、心底人を楽しませるのが好きなんだろうなあと思ってる。根っからのエンターテイナー。



終始楽しそうで、純米さんの回しがうまくて、自然な笑顔の旬くんの楽しそうな様子と、旬くん自身がお客さんを楽しませようとしてくれてるのが伝わってきて、とてもとても幸せな空間と時間でした。

細かい言い回しや、記憶違いのところもあるかもしれませんが、様子が分かってもらえたら、うれしいです。

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