花篭③ / 自作小説
「行きましょう」
美那子に肩を抱かれ軽く押されるままに、恐る恐ると足を進める。
脇に触れる女の膨らみの柔らかさが想像を刺激し、いきり立てながら自由を委ねる不安。また自分の姿を想像して羞恥に包まれる。
軽い引き戸の音と共に押し寄せる濃い蒸気の気配、ハーブの薫り。
「ゆっくりと腰を降ろして。大丈夫。そのままゆっくり。」
美那子に抱かれたまま、ゆっくり腰を降ろすと小さな椅子のようだ。自分がどんなに情けない恰好をしているか想像すると、羞恥がさらに押し寄せて来る。
見られ、ゆだねるだけの、受動。
女の、初めての時の感情を想像する。
耳の側でシャワーの音が響く。熱い水の流れが肩に浴びせられ、敏感になった肌から全身に電流が走る。
美那子は腰を落としているのか体に膨らみが時々触れる。柔らかさが一層感じられ、手で触れたい欲望が増していく。
「触れちゃだめ。」
心を見透かすような甘い命令。
「私に委ねて」
そう囁きかける美那子の手が、水流と共に、首筋、肩、背中、そして胸の肌をなまめかしく這い纏わり、そして、
どうしようもなくそそり立つ先に、指先が軽く。
「うぅ、はぁ」
思わず吐息をもらす。
「君を見たい」
「まだ駄目よ」
その言葉の終わりと同時に、そそり立つ物の先が柔らかな粘膜に包まれる。
そして口内の柔らかな熱を感じる、うごめく舌
熱いシャワーの水流が全身を叩く。蠢く舌のもてなしに包まれながら、美那子の柔らかな膨らみの先の少し固い部分を指で触れた。
時に深く、そして浅く前後して膨脹に纏わり付く女の舌。
両腿をなぞる美那子の指。
快楽が暗闇と水音の静けさに混じり穏やかな愛おしさが脳裡の奥から立ち上る。
「強いのね」
不意に離れた美那子の口許から声が洩れる。
「もう少し包んでいて」
「ふふっ。ダメよ。さあ立って。」
手を引かれ、水音のする方へといざなわれる。
目を覆われたまま、手を引かれながら美那子の指示に恐る恐る従い浴槽の縁で足をあげ、湯に差し入れる恐怖。
必然、美那子に体を預け、その度に、まだ目にしていない女の躯の線と柔らかさに触れ、どうしようもなくいきり立つ。感覚と感情の奇妙な交錯。
バスタブの底に両足を付け、さらに腰を下ろして安心した矢先に、美那子の背中がもたれかかり、薄い水の膜を隔てて軽く胸を圧迫する。
「少しこのままでお話しましょう。ここを手で優しく触れていて」
甘い美那子の声と口づけ、そして少し開かれた両足。
その奥の、湯とは異なる別のぬめりを感じる場所へ、右手が誘われる。
「どうして、君は…」
美那子に出会ってまだ2時間も経っていない。ほとんど彼女の事を知らない。
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②はこちらより
①は、こちらより
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