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『FESTIVAL de FRUE 2019』ライブレポート

 ご無沙汰しております。2020年に突入し、正月も終わろうかというタイミングで2019年11月頭に開催されたフェスの感想を書きたいと思います。そう、めちゃくちゃ今更なのです。

『FRUE』=『震え』。
 つまりは『魂の震える音楽体験を!』というコンセンプトのもと、静岡県は掛川市・つま恋リゾートという奥地で3年目を迎えるキャンプ型フェス。アクトの傾向として、ブラジル音楽のレジェンド、トン・ゼーをヘッドライナーに据えるなど、昼はワールドミュージックを中心に、DJやエレクトロで締めていく感じ。cero以外見たことも聴いたこともないラインナップだな、というのが正直なところでしたが「知らない音楽に飛び込まないと勉強にならん」という一種修行的な気持ちで参加を決め込みました。

 キャンプ道具一式が用意されており、設営・片付け不要のキャンプチケットなるものがあったため、今回はこちらで参加(Colemanが共催だったかな?)。三連休で高速道路は地獄のように混んでおり、複数ある会場入り口にも惑わされて、遅れて到着。駐車場についてからも、フェスあるあるの駐車場→会場までの道のりが果てしない。 
 駐車場から場内バス乗り場までせっせと歩くと、つま恋リゾート内のホテル近くにある会場につきます。油断してると30分ぐらいかかりますので、来年行く方は御気をつけください(つま恋リゾート自体が、様々なアクティビティができるよう尋常じゃない広さのため、歩くと迷ってめちゃくちゃ時間喰います。)

 
 メインステージはバッチリ体育館を使用。2階席では座って鑑賞する方も(というか、がっつく人もいないためみんな座ったり寝てたりしています)。このステージは昼間は暗く、夜はさらに暗い。この暗さが「廃墟を使って違法に開催されているイベント」感があって、私はとても好きでした。ちなみに音響も好み。会場外では屋台やトイレ、喫煙所もあるので、そこらへんは困りません。特に飲食は静岡の特色を生かしたラインナップも。

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暗い。人は少なめ。体育館。

 体育館から歩いて10分ぐらいのところにキャンプステージとDJエリア。ゴルフ場がキャンプエリアとなっているため、傾斜がエグかったりバンカーとかもあり、場所によっては会場から結構遠くなっちゃうテントもありますが、キャンプ上級者っぽいこなれたテントが多い印象(ちなみに私のキャンプチケットで用意されたテントはキャンプエリアの一番奥にあり、急勾配をゴリゴリに歩かなければなりませんでした。忘れ物などするとマジで厳しかったです!)。
 夜道はかなり暗いのでしっかりしたライトは用意した方がいいです。また、スケボーで場内を移動してる人がいましたが、それで釣り合いがとれるぐらい会場内で歩きますので、どうか歩きやすい靴で。アップダウンと曲がり道がとにかく多い!

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手前がBar。天気が崩れなくてよかった

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子供向けテント図書館がかわいい。お子さん連れもたくさんいましたよ。


 以上がフェスの全体についてでしたので、特に刺激的だったアーティストをいくつか抜き出してみたいと思います。
・Marco benevento
 ざっくり予習していたなかで一番楽しみだったアーティスト。というか、単純にロックバンドの編成だったため耳馴染みがよかった。NYを中心にジャズシーンで活躍するピアノ/キーボード奏者との触れ込みでしたが、歪んだベースからはパワーポップ的な受け取り方もできるし、鍵盤の音色は、極彩色のサイケでスペーシーな感触もあるし…といった、簡単にジャンル分けさせてくれないところが面白かったため楽しみにしていましたが、ライブは期待を超えてきました。ベースはめちゃめちゃ歪んでおり、ドラムも力強く、3ピース編成であそこまでがっつり迫力ある演奏にもってこれるのは感動でした。かわいい曲やコールレスポンスなどもあったためフェスを通したアクトの中ではトップクラスに分かりやすかったのですが、それを差し引きしてもピアノのスリーピースでここまで骨太になるのかと…
そう、「サイケであり骨太である」というのがキーワードに思われます。


・vessel & Pedro maia
 私は普段エレクトロをたしなまないのですが、vessel & Pedro maiaは深夜のシチュエーションも相まって相当刺さりました。ダンス・エレクトロは大きい音で聞いてなんぼですね。
 vesselはイギリス・ブリストルのシーンで活躍されている方だそうで、ダークテクノっぽい、Arcaなどを想起させる美しさと恐ろさが同居している電子音楽。で、padro maiaの方がVJなのですが、これが最高にカッコいい。モードとエロス、そしてほんのりゴアがまじったような最高に刺激的な映像でした。aphex twinのMVなど携わってたChris Cunninghamをもっと上品にしたような、美しいものに気持ち悪さを流し込むバランス感覚がとても優れている。実際のライブではポケモンショック(伝わらない?)の配慮がまったくない怒涛の照明とvesselの感情むき出しのサウンドが相まって、酒が入ってたら完全にトんでたと思います。これは是非リンクを見て頂きたい!



「laraaji -yoga set-」
 これは番外編的な位置付けなのですが、かのアンビエント先駆者、Brian Enoにその才能を見出されたアンビエント系ミュージシャンlaraajiと朝ヨガ、というのも大変面白かったです。来日ライブも寺院で行なっていたりなど、東洋的な思想・音楽とも関係が深いであろう氏のレクチャーのもと、靴を脱いで草っ原でヨガが気持ち良い。ヨガの実践として、深い呼吸も兼ねて朝から集団で「あっはっはっは」と笑いあい、最後には見ず知らず同士で大きな円になって、お互いの背中にオーラを送り合う?というスピりっぷり。
(ちなみに、タイムテーブルにはないゲリラ的な催しだと思うのですがカポエイラもやっておりました。音楽以外のイベントも国際的でなんかいい)


 『頂』『fuji &sun』『朝霧jam』『FEVER OF SHIZUOKA』『マグロック』など静岡のフェスシーンが近年熱くなっているなかで、あのceroでも会場が5〜6割程度しか埋まらなかったことから、アクトも客も攻め攻めのイベントであることは疑いようもなく、ミュージックラバー向けのフェスとして是非とも成長していただきたいと思いました。3年目ということで良くも悪くもゆる〜い部分が多く、そこも含めて手垢のついていない領域・音楽に興味を持って飛び込める方なら確実に楽しいフェスだと思います!
 
 最後まで読んでいただきありがとうございました!

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