見出し画像

社会派バービー

体調を崩していたため、9月の初めに母と観に行く予定が、1週遅れて11日に独り鑑賞となり、昼上映している映画館がもう博多駅のシネコンではなく、昔ながらの名画座的な中洲の大洋となり、もともとレトロチックな小ぢんまりとした好きな所ではあるのだけれど、ことこのいかにもハリウッドらしいピンク満載のカラフルなアートビジュアルは大画面でこそ味わいたかった。主演の二人の演技には定評があり、その点では裏切られることなく、いかにも人形らしく素晴らしかった。

昨今はエンタメにも社会性、多様性の介入が顕著な米国、挟み込まれるドタバタ古典的とも思われるアメリカンジョークとの落差割合がはなはだしく、日本人としてはやや感情が落ち着かない。実物大の人形になって自我が芽生えると結局、争いになるなんて皮肉なもの、とはいえ武器はおもちゃに代わり可愛らしいものではあったけれど、、、じゃあ、プレ上映の白熱PRやSNS上のミーム(オッペンハイマーとの炎上合戦)もああなっても仕方無かった、必然の一般認識、もともとそういう潜在意識なんだね、と感じてしまった。

あまり社会性を盛り込み過ぎると忖度エンタメになってしまい、つまらなく感じてしまう。恋愛ハッピーエンドに収めなかったバービーの結末は私には、そう来たかと面白かったのだが。

帰りの沈黙の狭いエレベーターの中で、後ろの若いカップルの会話が響き渡った。
「なんか、最後ムズくない?よく、わからんかった」
「あー、そうだな。なんで婦人科なんやろって」
思わず振り向いて解答したくなったが、わかってかわからずか誰も無言のまま、日の当たる通りへと消えて行った。

ほんの気持ちで構いません、サポートいただけたら嬉しいです。文字通り書く糧となります。心から、ありがとうございます。