見出し画像

Mamiya C3 レビューなど

先日我が家に仲間入りした中判6x6の二眼レフカメラ、Mamiya C3。

画像16

こちらは1962年(昭和37年)に発売されたカメラで、

・色々な焦点距離のレンズに交換できる
・蛇腹を使ったピント調整で、かなり寄って撮影できる

という、二眼レフとしてはかなり珍しい特徴を持ったカメラです。
特にレンズ交換ができる、というのは相当珍しい特徴で、広角は65mmなどから望遠は250mmなど、色々な種類のレンズがあるようです。

現在ヤフオクなどの中古市場で手に入れやすいのは80mm、135mm、180mmあたりで、よくヤフオクで見かけます。
ただ、シャッターが全速切れてもレンズに曇りが生じている、というものが多いようで、我が家に来た子に着いていたレンズもカビと曇りが盛大についてる状況。

そんなカメラの修理と調整、クリーニングが終わり、実際にいろいろ使ってみましたので、その感想などをまとめてみました。

二眼レフカメラについて

二眼レフについて簡単にその特徴を触れると、その名前の通り「レンズが二つある」というカメラです。

画像2

二つのレンズはそれぞれ役割に応じて

・上段:ビューレンズ
…構図を決めるためのレンズで、光を90度反射させてファインダー内のフォーカシンググラスに像を投影するもの

・下段:テイクレンズ
…フィルムに光を届ける際に使用するレンズ。

となっています。
なので、厳密には「ファインダーに写る像と実際にフィルムに投影される像は別モノ」となります。
遠くを写す際には上段と下段のレンズが写す像には大きな差はありませんが、近接撮影の際などはその差が大きくなります。
(この差のことを『パララックス』と呼ぶそうです)

ただ、シャッターを切る際にもファインダー内の像が途切れなかったり、構図やピントをファインダー内で作り込んでから撮影ができる、という大きなメリットもあります。

使用するフィルムは120フィルム、ブローニーフィルムとも呼ばれるもので、縦約56mm、横約56mmという真四角写真が撮れます。
これは6x6フォーマットと呼ばれるもので、二眼レフのカメラではこのサイズの写真を撮れる事が多いようです。

ちなみに、レンズの焦点距離についてですが、実際にこのカメラで使うフィルムは6x6フォーマットになりますので、実際に写る像としては
・65mm…35mm換算で実質35mm
・80mm…35mm換算で実質45mm
・135mm…35mm換算で実質75mm
・180mm…35mm換算で実質100mm
と言った具合になります。

我が家に来た子には135mmのレンズが付いていましたが、これは「35mmフィルムを使ったカメラに75mmレンズをつけた時と同じ範囲が写せるよ」というものになります。

画像3

さて二眼レフについてはとりあえずこの辺にしておいて、Mamiya C3を実際に修理して使ってみた感想を。

重い

はい、重いです。
135mmレンズをつけて、フィルムを入れない状態で重さを測ったら、1.9kgくらいありましたw。
マミヤのカメラって、なんかこう全体に重い気がするんですよね。Mamiya Universal Pressもそうだし、Mamiya M645もそうだし。
手に持った感じはかなりズッシリしていて、もう「金属の塊」な印象です。

その分、堅牢性というか「頑丈さ」はプラスチックや樹脂部品を多用したものとは一線を画するものがあります。
もちろん、精密機器ですので大事に扱いますが。

ただ、他にも持っている二眼レフのRICOHFLEX6と比べると、もう倍以上の重さです。デカさもこの通り。

画像4

画像5

これは外に持ち出して撮るときにはストラップ必須です。
しかも幅広で、できれば柔らかめの素材でできたストラップがいいかもしれません。細いストラップだと多分首に食い込みます。


フィルム交換も特に難しいところは特に無し

フィルムは、本体後ろ側のカバーを開けて入れます。フィルム室下部分に新しいフィルムを入れ、上部分に入れてある空スプールに巻き取っていく、と言った具合です。
最初、カメラ本体側のスタートマーク(赤い点)にフィルムのスタート矢印を合わせてからカバーを閉め、クランクを何度か時計回りに回してコマ数窓に「1」が表示されるまで回します。

画像1

コマ数窓に「1」が表示されたら、自動的にクランクは回らなくなりますので、反時計回りに半回転させてハンドルを折りたたみます。

RICOHFLEX6のように、本体を横から見てL字型にフィルムがセットされるのではなく、フィルムは一直線に配置されます。
おそらくですが、フィルムにも余計な力が掛からずネガに傷がつく、なんてことも少ないんじゃないかなーと思います。

この機種で注意しないといけないのは、「フィルム巻き上げとシャッターチャージは別動作」という点です。

画像6

シャッターチャージはレンズシャッター側でやる必要がありますので、レンズ側でチャージしないとシャッターを切ることはできません。


レンズ交換出来るのでメンテナンスも楽

おそらくMamiya Cシリーズの二眼レフ最大の特徴、レンズを取り外せるという機能のおかげで、レンズのクリーニングがものすごく楽です。
後ろ玉のレンズとかはそうしょっちゅうクリーニングするようなものでもないのかもしれませんが、RICOHFLEX6と比べるとレンズのメンテナンスのしやすさは別次元でした。

レンズを取り外す際は、まず本体レンズ面向かって右側にあるロックダイヤルを「LOCK」から「UNLOCK」に切り替えて、ダイヤル上部にあるスライドを本体背面側から前面側へスライドさせます。
これでレンズを固定するレバーを動かせますので、先端を一度下にグッと押し込んでから本体レンズ面側に起こしてやると、レンズを取り外す事が出来ます。

レンズの取り付けは、取り外し手順を逆にやれば問題なし。
ちなみに、ロックダイヤルが「UNLOCK」の状態だと、ファインダー内に赤い線が表示されて、レンズがロックされてないよーという事を知らせてくれるのが便利です。


蛇腹でのピント合わせって凄い寄れる

そしてこれも、Mamiya Cシリーズ大きな特徴の一つ、蛇腹を使ったピント合わせです。
実質中間リングをかませるようなイメージになるのかもしれないですが、最大でなんと6cm近くレンズを前に出す事が出来ます。
そのおかげで、135mmのレンズでも最短で60~70cmくらいまで寄って撮影することもできます。
ほぼマクロ撮影ができる、と言っても過言じゃないんじゃないかと思うくらい(※個人の感想です)、被写体に寄って撮影できるのはこのカメラの強みの一つかと思います。

ピントを合わせる際はウェストレベルファインダーを覗きながら、本体下部の左右両端にあるダイヤルを回して、蛇腹を伸び縮みさせて調整します。
ファインダーに写る像は「すごく明るい」と言えるほどのものではありませんが、日中の屋外や明るい室内なら特に問題なくピントを合わせられるレベルです。

ファインダー内にはルーペも内蔵されており、細かなピント調節も問題なく出来ます。

ちなみに、65mm広角のレンズの場合

画像7

この状態まで寄ってもピントは合わせられます。
ただし、上下のレンズでの移す範囲の差=パララックスが相当大きくなるので、フレーミングは相当難しそうです。

撮影時の手順

撮影時のお作法というか、大まかな手順は
1 ファインダーを構図を決め、
2 蛇腹を前後させてピントを合わせ
3 レンズシャッター側でシャッタースピードと絞りを調整し
4 シャッターチャージをしてから
5 本体のシャッターレバーを押す
6 撮り終えたらクランクを回してフィルムを1枚分巻き上げ
と言った具合です。
古いカメラということもあって、手順は多いですが、写真を撮るために必要な操作を全部自分の手で行える楽しみがあります。
ちなみに、1枚目〜12枚目まで、フィルム巻き上げクランクを回す際には1コマ分巻き上げたら自動的にクランクが止まります。
そのままの状態でも撮影はできますが、クランクレバーが絶妙に邪魔な場所で止まりますので、半回転戻して、レバーを折り畳んでおくと撮影しやすいです。

撮り終えたら

このカメラは6x6フォーマットでの撮影になりますので、フィルム1本で撮れるのは12枚。
12枚目を撮り終えたのち、フィルム巻き上げクランクを時計回りに回すと、12枚目表示までの動作とは異なり、1コマ分巻き上げ後に自動ロックはかかりません。
そのままグルグルとクランクを回してフィルムを巻き取ってしまいます。
完全に巻き終えてから、フィルム室の蓋を開けて撮影ずみフィルムを取り出します。
この辺の操作は、他の中判フィルムと全く同じです。


実際に撮影した写真の皆さん

実際に撮影した写真ですが、率直な印象としては
・精緻な写り
・遠近感の描写がすごく生々しい
・ボケが自然で美しい
と言ったところです。

画像8

画像9

画像10

画像11


まとめ

最初このC3はジャンクとして購入して、修理パーツ用の部品取りドナーとして使う予定でした。
が、届いた個体をよくよく見ると、レンズのクリーニングや軽い調整でカメラとしての機能は取り戻せそうな状態でしたので、ダメもとで修理してみたところ運よく復活した、というものです。
特にレンズについてはかなり強引なクリーニングをしましたので、写りにどんな影響があるかわからな買ったのが不安ではありましたが、実際に現像した結果を見るに、大きな問題もなく使えそうでほっとしています。

この記事を書いている時点では、レンズは135mm、180mm、65mmの3種類ですが、正直なところこれだけでも十分かなと感じています。
あとできれば105mmか80mmがあれば万全かもです。

追記・こんな症状、ありませんか?

我が家のC3、しばらく使ってるうちに、
フィルムを1コマ分だけ巻き上げたいのに、ストッパーがかからず、数コマ分フィルムを巻き上げてしまう(か、数コマ分巻いても止まらない)という症状が、まれにですが確認されました。

さてこれはどうした事かといろいろ調べてみた結果、原因は

シャッターレバーが完全に戻ってない状態だと、連動するストッパーが所定の位置にセットされず、結果巻き上げレバーが回り続けてしまう

というものだと判明しました。
具体的には、特に蛇腹を伸ばした状態で起きやすいんですが、この写真の状態だとストッパーが働きません。

画像12

本来、シャッターレバーを押した後に戻るべき位置はここ。

画像13

この状態だと、ちゃんとストッパーが働くようで、過剰巻き上げは起こらなくなりました。

追記2・こんな症状、ありませんか?(その2)

実際にMamiya C3をカメラバッグに入れて撮影していたとき、親指がフィルム室のストッパーレバーを動かしてしまい、蓋が少しだけ開いて感光してしまったことが1度あります。

実はフィルム室蓋のストッパーにもロック機構があるようでした。

ストッパーOFF

これはストッパーがOFFの状態。レバーを右にズラせば、フィルムの蓋を開けられます。
指差しているダイヤル状のパーツの赤いマークが上に来ています。このパーツを反時計回りに回して、

ストッパーON

この状態、時計でいうと12時から9時の位置に回すことで、このレバー自体にロックをかけることが出来ます。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?