見出し画像

超強引な修理

先日、ヤフオクでPentax6x7用、300mmF4のレンズを購入しました。
その金額、なんと1,000円。当然ジャンクです。

手元に届いてから動作を確認してみたら、
・ヘリコイドの動きは正常
・レンズは軽いカビがあるだけで、簡単なクリーニングでイケそう
・無限遠も問題なさそう

という状態でしたが、致命的なことに

・マニュアルモードで絞り環を動かしても、絞り羽根が動かない
・絞り羽根を動かすピンが曲がっている
・絞り羽根を動かすピンを動かしても、羽根が全く動かない

という症状。
つまり絞りの調節が全くできない状態でした。

新年早々テンションが上がるブツを手に入れましたので、早速分解して中を見てみます。

絞り羽を動かすピンは、恐らく強い衝撃が加わったために曲がってしまったんだと思います。こちらはラジオペンチで修正。

そしてマウント部と後玉を外してみると

この状態で、絞りを動かすピンを指で軽く動かすと、わずかに羽根が動きます。が、絞り環を動かしても、絞り羽根の開き加減が全く調整できません。

よーーーーく観察してみたら、

金属製の「C」の時になっているパーツの内側に小さな穴がありますが、本来はここに太さ2mm程度、長さ28~30mm程度の金属のピンが立っているはず。それがありません。

恐らくですが、このレンズは
・何らかのきっかけで落下し、絞りを動かすためのピンが曲がった
・落下の衝撃で、絞り環の動きを絞り羽根の調整機構に伝えるための連動ピンが外れてしまった
・何らかの事情でこの連動品を取り除いて、そのままマウントを着け直した
という事情でジャンクだったようです。

単純な物理破損だけならまだしも、部品欠損ともなるとちょっと手強いなぁと思っていましたが、このまま金属ゴミになってしまうくらいなら、強引に蘇らせてしまおう、というワケでゴリ押し修理です。

内部をもうちょい分解して、ピンが外れてしまった金属製の輪っかを取り出します。

連動ピンの代わりにしたのは、M2で25mmの長さのネジ。
ネジ頭を下にして輪っかに載せて強引に取り付けます。

最初は金属用接着剤を試しましたが、強度が全く足りずダメでした。
絞り環をチョットでも動かしたら即外れてしまう有様でしたので、ハンダ溶接でくっつけます。

環状のパーツの黒い塗装をヤスリで軽く落として、フラックスを塗布してからハンダ+バーナーで簡易的な溶接。
他のパーツと干渉するハンダは精密ヤスリで削り落として、最後に綿棒で丁寧に拭いて仕上げます。

強引に取り付けた連動ピンと、絞り環の動きを伝えるパーツを取り付けてみたところです。
ハンダ溶接は、金属をくっつける強度としては弱い方ですので、繰り返し絞り環を動かすと金属疲労を起こしてまた破断するかもしれません。
が、今回は原因も対処法もわかりましたので、
「取れたらまたくっつけりゃ良いや」
と、考えることにしました。

なにより、接着剤ではまったくダメだったものが、この方法であればちゃんと絞り環の動きをレンズ内部に伝えられるように出来ました。

ただ、レンズを最も長く繰り出した状態=最短焦点距離だと、連動ピンがわずかにしなるような動きを見せてしまい、開放F4と最も絞った状態F45まで動かない、という後遺症が残りました。

回避方法としては、一旦レンズの繰り出しを短くして絞りを調整してからピント調節、というようにすればイケますので、ひとまず現状で使ってみようと思います。

事もあろうにレンズ内で溶接をしてしまう、という言語道断な修理(というか改造)を施した300mm砲、とりあえず絞り羽根の動きも回復して、撮影に使える状態になりました。

この子はもうどうしようもない加工を施しちゃいましたので、スクラップになるまで責任持って使い倒そうと思います。

…ただ、このレンズ重くて出番がそこまで多いかって言うと…
微妙かもしれませんww




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?