2023年に読んだ漫画あれこれ

なんだかんだ色々あった2023年も終わるので、読んだ漫画の中からおすすめをピックアップして宣伝する。
URLリンクはなるべく公式サイトからの引用に徹する。
チマチマ書き溜めていたものを放出するので文章のテンションがジェットコースター並みに変動している場合があるがご容赦を。

もしこの記事を読んで少しでも関心が出た方はぜひ試し読みを!

※所謂百合作品が多めだが、そういうジャンルに興味がなくても楽しめる作品が多い…はず。
※あとこの投稿は某フォロワーのパクリです。許せ!!!




読み始めた作品


「恋より青く」

夢や目標を無くした主人公が、偶然下校中に出会った他校の生徒と小説を通じて心を通わせるという王道なあらすじだが、透明感ある著者ならではの筆致が唯一無二な作風を生み出している。
好きなこと、夢中になれることがなかなか分からないのは案外普遍的なこと。
一つの出会いが少しずつ人生を変えていく、その過程を見守っていきたい。
個人的に一番期待している漫画。

「破滅の恋人」

これも著者の画風が最大の魅力。
まるで童話の世界のキャラクターのようでいて、どこか人間臭さも感じられる人物設定。
妄想と現実が入り乱れるコマ割りも上手い。ネームから緻密に計算しているんだろうな。
タイトルの意味するものがまだ見えてこないが、雰囲気最高なので続刊に期待。
(惜しむらくは連載ペースが遅く刊行までの日数が空いてしまうことか…。)

「恋文と13歳の女優」

今流行(?)の芸能事務所ものだ!と思わせておいて、中身は健全な所謂おにロリもの。
主人公のアラサーならではの悩みや人生観に共感するところが多く、軽い気持ちで読み始めたらハマってしまった。
というか思考回路が自分にドンハマりなんだよな…ドッペルゲンガーか?俺はこんなイケメンじゃないけど。
勿論ヒロインも可愛いのでそういう楽しみ方もアリ。
主人公の過去も気になるしまだまだ目が離せない…!

「スクールバック」

SNSでプロモを見かけて何気なく一話を読んでみたらメッセージ性の強さに驚いて購入。
主人公が魅力的なのは勿論、各話ごとに登場する生徒たちの悩みやテーマがどれもハッとさせられるものばかりで、なまじ大人になってしまった自分にとっても考えさせられることが多かった。
主人公も悩みながら真剣に向き合っていて、等身大のキャラクター設定が良いと思う。

「おじくんとめいちゃん」

超・ポジティブな姪っ子とネガティブな中年漫画家の組み合わせ、読むだけで元気が湧いてくる作品。
主人公もダメ人間というわけではなく、大人としてしっかり振る舞っているし、兄家族の世話も昔からしているし、この関係性が醸成される上での説得力もある。
(…俺も姪には優しくしよう…)
四コマの延長な構成がテンポの良さを引き立てていると思うが、一般的なコマ割りにしてもいいんじゃなかろうかな、とも思ったり。

「この恋を星には願わない」

確か偶然pixivで見かけた?ので知った作品。女二人男一人の幼馴染関係が徐々に変わってゆく様子が描かれる。
男キャラが当て馬すぎたり、芯がなく軸がぶれている幼馴染が個人的に好きになれない一方、主人公の病的なまでの一途さのもたらす行方が気になる。
この作品も画風が独特で、特に繊細な印象を与える輪郭が印象的。
まだ一巻しか刊行していないので、とりあえず最後まで読んでみたい。

「最果てに惑う」

妹に性的加害を加えた教師を誅殺した主人公が出所早々その娘と邂逅するというエロゲみたいな展開(比喩がおかしい)。
これまた癖が強い作画だが、著者が元々成年漫画出身ということもあり、自分はすんなり受け入れられた。
謎が多すぎて物語そのものを評するに至らないが、とりあえず続刊を購入して注視したい。

「この百合はフィクションです」

これまた最近流行り?の”百合営業”をテーマにした作品だが、とにかく終始テンションMAXで圧倒されるギャグ漫画。
百面相な顔芸も、デフォルメ等身も、語彙力爆発な喩えの数々も、すべてがオリジナリティに溢れていて脱帽。
まさか握手会が卑弥呼の時代からあったとは…(ない)
あとファッションや小物がおしゃれで地味に勉強になる。
頭空っぽにして楽しめるのでオススメ。

「ぜんぶ壊して地獄で愛して」

優等生を演じる主人公の日常が段々と崩れていく、しかしそれは本心では望んでいたことなのかもしれない。きっかけこそあったとはいえ。
…ということでドロドロな人間関係とやや暴力的な表現が見所の新鋭。
このまま主人公は堕ちるところまでいくのか、どこかで救済されるのか…。同じ一迅社の「きたない君がいちばんかわいい」が好きな人には刺さるかも。

「フツーの恋って何?」

同性愛に関する世間の目や、そもそも「恋」ってなんだろうという思春期の悩みが描かれている。
画力が荒削りなのと、連載媒体の都合なのか一話あたりのページ数が少なくテンポが独特なのがちょっと気になるところ。
それでも上巻ラストの一コマを見ると、下巻の展開に期待せざるを得ない。

「平良深姉妹はどっちもヤんでる」

メンヘラ姉と大人気シスコンアイドルのコメディタッチな百合漫画だと思って読み始めたが、夢破れた主人公の葛藤や妹への劣等感などが噴出する2巻以降違った面白さが出てきた印象。
普段の2等身ギャグテイストも飽きが来ないのでこのまま突っ走ってほしい。新キャラにも期待。

「あめとむち」

パパ活女子が出会ったのは人妻だった!ということで、単純に自分の知らない世界の一端が知れて面白い。カショオとか。
無知故の鞭なのか、いつか飴になるのか、そもそも表裏一体なのか。
ハッピーエンドは想像できないが、こちらも続刊注視。

「陰キャギャルでもイキがりたい!」

おしゃれ!絵が!全体的にセンスが!という感じ。
”陰キャ”の定義が令和だな~という感じがしないでもないが、顔の良い女二人が適度にいちゃついてくれるのを見るだけで穏やかな気持ちになれるのでヨシ!!!
でもスニーカーは資産じゃないのでちゃんと履いてほしいな。スニーカーとスキルは磨いてナンボなので。

完結した作品

「繭、纏う」

2023年はこの作品の完結から幕を開けたと言っても差し支えないだろう。卒業する生徒の髪から制服を作るという設定が斬新で、かつ厳格な女子校での女性だけの狭い社会の中で、二人がどのように成長していくのか。
最終的には制服を脱ぎ、自分たちの世界へと足を踏み出していく爽やかな幕切れとなり、読後感も良かった。
言葉にしても陳腐なので画風が好みならばまずはこの雰囲気に酔ってほしい。

「ふたりエスケープ」

「遠くへ…ゆきたい…」漫画家と、その居候の先輩とのほのぼの百合漫画。現実逃避とはここまでやってこそじゃ!と言わんばかりのネタのオンパレードで感心しつつ、ビシッと締めるところは締めていて最後まで爽やかに読了。
遠出ではなく何気ないシーンも勿論良いが、個人的なオススメは鍵を失くして(?)家の前でシートを広げて宴会する話。

「またぞろ。」

なんと”留年”をテーマにした漫画が出るとは…しかも天下の芳文社はまんがタイムきららから。
一癖も二癖もある留年生(予備軍含む)たちそれぞれの個性が引き立ちつつ、四コマ漫画とは思えない叙情性もあり、単なるコメディに留まらない異色の作品に仕上がっている。
個人的に高校時代は毎年留年スレスレの人生だったので、彼らに感情移入する場面も多々あり。
心温まる名作になったと思う。アニメ化は厳しくてももっと話題になって欲しい作品。

「姉の親友、私の恋人。」

小説家の主人公と、その姉の元恋人の関係性だけにとどまらず、姉や周囲の人間たちも巻き込んで、他者との向き合い方、家族の絆、成長まで、気付きの多い作品になった。
動きの少ない作画のためか、やや淡々と描写が進んでしまうところもあるが、一話一話のボリュームがしっかりとあり、噛み締めて読み進めるのが良いと思う。

「デバヤシ・フロム・ユニバース」

偶然目にした売れない芸人が宇宙人とお笑いコンビを結成するコメディ漫画。
とにかく主人公のお笑いに賭ける熱意がすごい。生活の全てをお笑いに捧げ、しかもそれが当然であるかのように振る舞っている。
だからこそのシュールさがギャグとして昇華される構図。
だんだんスケールが大きくなっていったけど、”世界自体がお笑いのよう”になるといいな、と思わせてくれた。

「ロンリーガールに逆らえない」

正統派百合漫画。
正直読者層と自分が乖離しているような(主に年齢)感が続刊の度に増してきつつあったが、ムリに先延ばしせずにキレイにまとめた印象。
百合漫画を読み始めた当初購入した懐かしい作品だっただけに、理屈より完結を喜びたい。

「ヴァンピアーズ」

作者のファンなので何気なく読み始めたが、思いの外練られた世界観でおどろき。
シリアスな展開になった途端空気そのものがガラッと変わるのは流石の一言。
ラストの展開も個人的に一番好きな流れだったので言うことなし。
百合漫画が好きな層より、歴史やSF好きな層にこそ読んでほしい。

昨年から購読中の作品

「今日はカノジョがいないから」

浮気クズ百合を標榜するとんでもない作品。
とにかく描写がエロい!電車内で読めないのでやめて!いいぞもっとやれ!
…とはさておき、歯車が噛み合わない、ボタンの掛け違いから徐々に関係性が変わっていく群像劇として見ても一級の面白さがある作品。
誰もが悪いし、誰もが悪くない。人生って難しいわ~。
女性にこそ読んでほしい作品。

「あんじゅう」

女性二人のルームシェアの様子を眺める、ただそれだけの作品なのになぜここまで惹かれるのか?
小気味よい会話もコマ割りのテンポの良さも全てが好み。何よりふたりとも顔が良い。(暴論)
日常あるあるネタもあり、あっという間に読み終わる不思議な作品。いつまでも続いてほしい。

「安達としまむら」

アニメも原作も置いておいて、このコミカライズのみ追っているが、5巻はとにかく圧倒された。
個人的にはしまむらが何を考えているのか分からずモヤモヤしたり、安達にはもっと自信を持て!と言いたくもなり。
このあとどのように二人の関係が変わっていくのだろう…。
刊行ペースがじれったいが常に続刊を期待している作品。

「付き合ってあげてもいいかな」

完結と同時に自分のマスターピースになることが確定事項となりつつある作品。
もう11巻まで刊行し、いよいよ大学生活も終わりに近づく中、それぞれの新たな恋人関係にも変化が出てきたところ。
この作品は、ポップな画風でいて性的な描写や肉体のつながりといったテーマを避けずにしっかりと描写していくところがとても良いと思う。
肉体の繋がりがなくとも特別な関係になれるというのは幻想なんだろうかなぁ…。

「雨夜の月」

聴覚に障がいをテーマにした作品で、所々重めな描写もある一方、全体としては前向きなメッセージ性が込められた作品。
一番の魅力はポジティブな主人公の性格と、それを受けて周囲のキャラクターが徐々に明るくなっていく過程にある。
特別な能力や個性が無くとも、一つの出逢いが全てを変える、そういうお話があっても良いと思う。

「アネモネは熱を帯びる」

正統派百合漫画。
近刊では主人公たちが置いてけぼりなのが気がかりではあるが、画風以上にガーリーな世界観と恋に真剣に向き合う登場人物が眩しい。
そろそろ物語も佳境に差し掛かりそうだが、はたして。

「毎月庭つき大家つき」

引越し先の大家はかつて推しだった元アイドルという掴みも今は昔、すっかり馴染んだ同棲生活が成熟していく中で、新たな関係が芽生える予兆もあり、もう少し先が続きそうな気配。
ミヤコの性格が好き、顔も好き。
ホッとしたいときに読みたい作品。

「踊り場にスカートが鳴る」

正統派百合。
やや作画が不安定かな?と最初は心配もしたが段々と落ち着きつつあり。
舞台設定が独特なので、画風も含めた雰囲気が好きなら一読の価値があると思う。
何事も言葉にするのが大切なんだなと改めて思う。この作品に限った話ではないけれど。

「ケイヤクシマイ」

行きつけのファミレス店員JKに一目惚れした主人公がひょんなことから彼女と契約上の疑似姉妹関係に…というコメディチックなスタートから、今や実の姉の影や元カノとの関係性やらで色々と感情が渋滞しつつある。
正直ここまで面白くなるとは思わなかった。ダークホース。
主人公の掘り下げがもう少し自省的に描写されると感情移入がしやすくなるかもしれない。
何より登場人物全員良い!!!顔が!!!(大声)
私の推しはみーちゃんです。

「波よ聞いてくれ」

気がついたらドラマにアニメにと引っ張りだこになった本作だが、読めば読むほど”これって一般受けする作品か…?”と心配になる。
主人公のキャラ設定が最高で最強。これ以上はないでしょうという要素の盛り合わせ。
突拍子のない展開に説得力をもたせるのはミナレがいてこそ。
台詞回しも個人的なツボを完璧に押さえていて感動するレベル。
作者のやりたいようにいけるところまで突っ走ってほしい。

「海が走るエンドロール」

これも各所で話題になった作品。
夫と死別した主人公が映画制作に出会い、徐々にその魅力に惹かれていく様子を丁寧に描いている。
映画に向き合うということ、何を思って作るのか、自らの人生をどこまで写し込むのか。
”不安は時間を浪費する”という単語が胸に残った。

短編集・読切

「夏とレモンとオーバーレイ」

pixivコミックで偶然知った、声優見習いな主人公と一見恵まれた環境にいるOLとのひと夏を綴った作品。
正直読了直後はあまり印象に残らなかったが、改めて読むと、現状に割り切れなかったり、周囲の圧力に自分を殺してきた二人がネットで出会い、絆を深め、殻を割っていくまでが丁寧かつテンポよく描かれていて、思った以上に楽しめた。
フィクションだからこその愉しみ、救いがあるよなぁ。
夏が来るたびに読み返したい。

「私の中でいちばんに光る、貴方」

様々なカップルの一コマを集めた短編集。
作品によっては10ページ程度しかないものもあるが、二人の登場人物に徹底的にフォーカスし他の要素を廃することで、読者の集中力を一気に引き込んでいく作品が多かったかな。
「私のエトワール」が後日談含め一番好き。

「夏、ユートピアノ」

まったくの偶然で手に取った2作品収録の短編集だが、なかなかどうしてどちらも面白かった。
未熟だが活発な調律師と、寡黙で不器用なピアニストが、遠方でのリサイタルを通じて打ち解けていく様。
宝塚への夢破れ進路に悩む主人公が、新たに宝塚を目指す中学生と出会い、指導する過程で自分の人生に向き合っていく様。
どちらも淡々と、それでいて内面に寄り添った描写がされていて、生涯忘れられない作品となった。

「あーしとわたし。 ギャル×百合アンソロジー」

当代随一の百合漫画の描き手が結集した、ハイクオリティなアンソロジー。
百合漫画に興味はあるけどまったくの初心者という人はとりあえずこれを手にとって読んでみると一つはお好みの作品があると思う。
個人的にはかいばしら氏をこれで知ったので大変な収穫だった。

その他読んだ作品一覧

「スーパースターを唄って。」
「よふかしのうた」
「ぼっち・ざ・ろっく!」
「おとなになっても」
「フツーと化け物」
「わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?)」
「ジャック・ジャンク・ジャンヌ」
「本日の卜部さん」
「夢でフラれてはじまる百合」
「先生、今月どうですか」
「冷たくて 柔らか」
「私の女神が今日も推せる」
「たそがれにまにあえば」
「オタクに優しいギャルはいない!?」
「ご主人様には吸わせません!」
「のあ先輩はともだち。」
「映しちゃダメな顔」


…こう書き出すと結構読んでるな。電子だとじゃんじゃんポチってしまう。
あと女性の描く漫画のほうが好きなことが多いな…なんでだろう。ジャンルが偏っていることもあると思うけど。
自分の人生が行き詰まっているからこそ、その答えを漫画に求めている一年になったような気がする。「愛」とか「恋」とか極論「好き」とかなんなんだ…。


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