私を変えた出会い - 6. キミ、絶対に音楽家でしょう?!とステージ上から叫ばれて
2008年の2月のその日、現実だとは思えないことが起きていた。まだ駆け出しのジャズミュージシャンだった私の目の前には世界的バリトン・サックス奏者のゲイリー・スマルヤンがいて、彼は私を質問攻めにしている。場所はニューヨークのヴィレッジ地区にあるVillage Vanguard(ヴィレッジ・ヴァンガード)。世界中のジャズファンが一度は行ってみたいと憧れる、ジャズの歴史が作られた殿堂のジャズクラブだ。
禁酒法時代には隠れ酒場だった室内は薄暗く、簡素だけれど趣のある照明が壁一面に貼