見出し画像

ブラック・ジャック 【157】 『おとずれた思い出』



しぬほど泣いたので感想を書き殴ります。
(新書版掲載なし / 文庫版17巻 / 新装版12巻 / 豪華版17巻)

ピノコを畸形嚢腫として共に18年間育ったピノコの姉が飛び降り自殺を図り記憶喪失となり、わずかな記憶を頼りに行き着いたBJの家で治療される話。

ピノコの姉は、畸形嚢腫として摘出され人として生まれ変わったピノコを見て「こんな子私の姉妹じゃない」「早くあっちへやって」と蔑んだ過去がある。

にも関わらず、記憶を無くしたことでピノコのことも忘れ、懸命に看護するピノコに優しく接する。ピノコももちろん彼女が自分の姉であることに気づいていない。

大抵の人は、ピノコが自分がBJの“奥さん”であることを話すと冗談だと思ったり信じてくれないのに、ピノコの姉はそれを信じ「いい奥さんになれるわ」とまで言ってくれる。

そんな彼女にピノコはすっかり心を開き、「ピノコのおねえちゃんになって一緒に暮らしてほしい」とお願いするが、正体に気づいたBJによってピノコの姉は元の場所へ連れ戻されてしまう。

“あの時”のように、ピノコはBJの脚にしがみつきながら「あの人ほんとにおねえちゃんみたいだった」と車を見送る。

「忘れるんだピノコ…おまえにはねえさんはいない」

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*



ば………


バカ切なすぎない????


秋田書店の文庫版は当時の連載順ではないとはいえ、17巻(最終巻)の後半にこの話を持ってくるセンス…

理解(わか)ってやがる……!!

たしかにピノコの姉は『畸形嚢腫』の話のあとにも出てきてはいた。
ピノコがうっかり変な薬を飲んで白血病になった時、「もうこれっきりにして」と文句を言いながら輸血をしていたり…。(『ピノコ生きてる』)

でももう出てこないと思うじゃん…
厄介オタクなので和解ハッピーエンドなんて絶対嫌だけど、このままサラーっと終わるのかなって思うじゃん……

こんな感じで最後に出す?????

まず、ピノコとBJの関係を夫婦だと認めてくれた初めての人ってだけで涙目になりながら読んでいたのに、その正体が実の姉であり自分をかつて蔑んだ人間であることの切なさと残酷さがしんどすぎる、、、

手塚治虫の描く切なく儚いトゥルーエンドが好きだとはいえ、お願いだからピノコだけは最後まで姉だと気づかずに終わってくれ…!と祈りながら読んでいた。

『畸形嚢腫』のオマージュなのか、脚にしがみついて車を見送るという最後の一コマが全く同じだったのも秀逸だな〜と思った。

二人が本来の形で姉妹として普通に生まれ出会えていたら、こんな感じで仲睦まじい関係だったのかなとも思いつつ、その世界線ではピノコはBJに出会えなかったのかなと思うと…

(クソデカ感情)

……



*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

秋にBJ展行くので楽しみ!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?