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よろしくお願い致します。

はビジネスメールの呪いのようだと最近思う。

いつからビジネスメールマナーの常識として文末にこの一文が添えられるようになったのだろう。
おそらく有史以来、日本人のメールに一番使われている言葉じゃなかろうかと勝手に思っている。
日本人は文面のマナーや礼節を重んじる。
手紙でも「拝啓」と「敬具」が対で存在するように、自分が大人になる頃には「お世話になっております」と「よろしくお願い致します」がビジネスメールマナーのハッピーセットとしてすでに存在していた。

「お世話になっております」はまだわかるのだ。
だってお世話になっているから。最初のジャブの言葉としては温度もちょうどいい。
「よろしくお願い致します」はちょっとわからないときがある。
「○○ありがとうございました」や「○○の件お待ちしております」といった内容のあとに「よろしくお願い致します」がついたりする。
そこで終わった方が気持ちいいじゃんという言葉のあとにも奴は顔を出すのだ。
このメールについて総括して「よろしくお願い致します」なのだろうけど、そういう時の奴の取って付けた感は否めない。
そんな顔したお前見たくないよ!と「よろしくお願い致します」に対して言いたくなってしまう。
「よろしくお願い致します」は心から「よろしくお願い致します」という気持ちのためにあるべきなのだ。
「僕が僕であるために」言葉にも尾崎のようなマインドであってほしい。

たまにGoogle翻訳を頼りに英語でメールのやりとりをすることがあるが、英語圏のメールでよく使われている「Hi」と「Regards」などはとても簡潔かつ無駄がなく感じられる。
あれぐらい口語の延長線上にある言葉で仕事のメールができたら幾分気持ちもほぐれて楽しくなりそうな気がする。(仕事のメールが楽しくないという意味ではない。念の為。)

もしかしたらネット黎明期のメールは、もう少し見えない場所を探るような、相手を慮るような言葉で綴られていたんだろうか。
もう少し自由でもう少し突拍子もない言葉も飛び交っていたんだろうか。
勝手がわからず「こんにちは」から始めてしまったすごい偉い人のメールがあったんだろうか。

ネット黎明期のビジネスメールをいつか見てみたい。

そんなことを考えながら、私は今日もメールの文末に呪いをかけていく。


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