今夜も星が綺麗

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第一回じゃがいも単独 (わっしょい中村)

一度そこで見つけた事があるのであろう 自動販売機の前 ボロボロのスウェットで地べたに這いつくばって 前よりいくらか細くなった手を伸ばしている わっしょい中村、昔、人力舎に所属していた男である 手応えが無いらしく埃が舞う程に手を右往左往させている 私はそれを無言で眺める 声をかける勇気が出ないでいると 「見せもんじゃねーーぞ」 振り向き様に牙を剥く 私はそれを無言で眺める 「・・・・あ、三福さんお久しぶりです、へへへへ」 こっちに気付いた男は、あ

    • ジョン・レノン単独 おとぎばなし花里

      「交際経験の無い2人です」 もう何年も、客席に告げ続けて来た漫才冒頭の文言 その己の文言に縛られて いつからか 彼は、交際を避けて生きるようになってしまった 交際してしまうと笑ってもらえなくなる そんな訳は無いのだが 僅かでも光る商品価値にしがみつく 自分が作り上げた自分に抗う事が出来なくなってしまう 悲しい芸人の性だ そして、今日もまた、女性を知らない事を逆手にとり、皆様に笑って頂き舞台を降りる 舞台を降りた彼に声をかけるのは容易では無い 瞬く間に

      • 第一回ぼーちゃん単独(デビ)

        「誰も、僕には期待して無いですから」 あっけらかんと開き直る言葉とは裏腹に、彼の目には力を感じる 若手が出待ち対応に追われる間をすり抜けながら "戦えば負けない" 言葉にせずとも伝わる思いが、黒縁の外へ滲み出ている ネタを舞台で披露する回数は年々少なくなり、MCとして後輩の引き立て役に回ることが多くなった ライブを盛り上げた手応えは人気に直結することも無く ふと歩みを止めれば 都合良く使われるだけの日々を送っているような感覚に襲われる その度に安い酒をあおり

      第一回じゃがいも単独 (わっしょい中村)