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舌に残った淡さ(蛇にピアス)

14歳の夏「蛇にピアス」という小説に出会った
たまたま立ち寄った本屋で題名に惹かれ軽い気持ちで購入した121ページの薄く重いストーリー

"現実味のない世の中で何かを探し求めた
             私の人生の断片"

家の近くの海賊公園で時間を忘れ夢中で読んだ
門限を過ぎ母の機嫌が少し悪かったのを覚えている
14歳の私には想像でしか分かりようのない言葉がたくさん詰め込まれていた
表紙が黄ばみ角が丸くなるまで何度も読み潰した
当時の友達Nちゃんも1日で読み終え「私のまだ知らない世界だった。なんかドクドクしたよ教えてくれてありがとう」と言った
今はどこで何をしているのか分からない存在になってしまったNちゃん
1人孤独な学生生活で私の中の何かを救おうとしてくれていた気がして嬉しかった
翌年映画化された。もちろん何度も見た
親に隠れて何度も見た

専門学生の頃隣の子が蛇にピアスを見たという話をしていて盗み聞きした
「内容は分からなかったけど私はアマ派だなあ」
となんとも薄っぺらい言葉を放った
無性にNちゃんに会いたくなった
元気にしているだろうか
同じ気持ちを共にできる存在にまた出会いたいと
席を立った
私の居場所はここじゃない

22歳の夏、変わらないルイへの憧れと
もしかしたらアマに出会えるかもしれないと
舌ピアスを開けた
長年絡まっていた心の糸がスッと解け痛みさえも心地よかった

気づけば穴は塞がってしまったが
あの頃の痛み、何度も飲み込んだ銀の玉はまだ私の一部として残っている
また開けたいと衝動に駆られる頃年

また私の舌に川が流れる日は来るのだろうか

アマ派シバ派で語り明かした14歳の夏夜を思い出した

"スプリットタンって知ってる?"

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