君はいますぐMECHANICAで西暦5029年の水星の日常を過ごせ
サイバーパンク。
そう、サイバーパンクだ。2020年はサイバーパンクの年であるというのはポーランドのCD Projekt REDのやつらがサイバーパンク2077を今年出すことからも明らかだ。
そんな中、もともとCP2077が出るはずだったこの4月におそろしいサイバーパンク・ゲームが飛び込んできた。それがLoser/sのMECHANICA――うさぎと水星のバラッド――だ。
残念ながらここでストアページなどのリンクを張ることはできない。DLsiteで探せ。
なぜならMECHANICAは18歳未満はプレイしてはいけないPC用エッチゲームだからだ。noteの規約てきにえっちいサイトへのリンクを張ると怒られが発生するっぽいので、残念ながらそのへんはぼかしつつ書いていくことになるが、正直なところえっちいところ含めて完成度が高いゲームなのでえっちい方面についてはちらほらトゥイッターで書くと思う。
2020/09/04追記
めちゃくちゃいいMVが公開されたのでみんな見ろ。
あとついでに9/23まで30%OFFなのでみんな買え。
西暦5029年の日常
タイトルにも書いてしまったが、MECHANICAは現在から遥か未来、西暦5029年の水星にある退廃的な都市ギロチンシティで、ある日主人公が福引でうさみみメイドロボメカニカを手に入れたところから物語は始まる。
主人公の職業はちゃんと食っていけていなそうな音楽家(自宅はかろうじてあるもののベッドすらない)で、ギロチンシティの住人たちのふわっとしたリクエストにこたえて曲を演奏(これはちょっとしたミニゲームになっている)したり、メカニカとえっちなことをして日々を自堕落に過ごすこともできる。
そんな中、物語序盤に突然宇宙が崩壊しまうことが判明して主人公とメカニカはその犯人を見つけてぶん殴るために奔走する……というのがMECHANICAのメインストーリーだが、この手のゲームにありがちな時間制限というのはとくになく、ひたすらメカニカといちゃいちゃしていたら時間切れでゲームオーバーみたいなのはないのでまずは好き勝手に動き回ってみるのがいいんじゃないかと思う。
そしてギロチンシティの住人たちがこれがまた一癖も二癖もあってとてもいい。複数の人物が合成してひとつになってしまったやつ、知性に目覚めてしまったがために人権が発生して水族館から追い出されて自分の力で生きる羽目になったペンギン、信仰を失った旧支配者、なんか土に引きこもっているやつ、人類種の保存のために遺伝子をいじって人為的につくられた種族であるサキュバスのJK……
こういうやつらと触れ合いながら日常を過ごしていくのがMECHANICAだ。
まったく関係なさそうなキャラの話を進めていたら意外な人物との繋がりが判明したり、こいつ未来に生きてんな(未来の話だからな)という感じの話が聞けたり、どいつもこいつも魅力的なやつらばかりでつい世界を救うのそっちのけで住人の話を聞きたくなってしまうほどだ。
ちなみに演奏は主人公のパワーを消費して全12曲のなかからリクエストにあった曲を演奏するというかたちなのだが、失敗すると当然そのパワー消費は無駄になってしまう。が、ここで光るのがパワーの回復方法だ。
パワーはえっちなことをすることで回復する。つまり「演奏に失敗しちゃったからメカニカといちゃついてやる気回復」というムーブが自然に発生するようになっていて実にうまい。
なお、演奏時に残りパワー以上の消費をする曲を演奏しようとしたときだけはゲームオーバーになってしまうので、そこだけは気を付けたほうがいい。
ちなみにこのゲームはギャンブルで金稼ぎもできるのだが、その際こちらが賭けるのはパワーだ。もうお分かりだろう、ギャンブルでボロ負けして女の子に慰めてもらうとかいうクズムーブもできる。かんぺきだ。
魅力的なSF設定
MECHANICAを語る上で外せないのはやはりよく練られたSF設定だろう。
ただでさえ51世紀の水星というだけでワクワクする舞台設定なのに、人類が生存するために空を覆う天蓋、"人間"という語が指す意味の変化、何をしても多幸感を得られるデバイス、地球はどういう状態なのかなど、ゲームを進めるうえで直接的にはそれほど関係なかったり全く関係ない話がそこかしこに散りばめられているが、ゲーム進行に無関係な設定であってもキャラや世界がしっかりそれらに根付いていることが節々から伝わるテキストの妙が素晴らしい。こういうのが作品の説得力を増すんだよな。
個人的に特にすきなやつはアバターまわりだ。
これは光学的に見た目を好き勝手に変える技術で、この時代の人間はほとんどがなんらかのアバターで見た目を変えているとか、アバターを作るアバター・アーティストが職業として成立しているなど、いまのバ美肉とかいった流行の未来形という感じでめちゃくちゃよい。作中で明言されていた覚えはないけれど、アバターにあわせて声とかもいじってる人は絶対いる。いないはずがない。
最初にも書いたし、公式のうたい文句にもサイバーパンクとある通り、本作は遠い未来のSFなお話だが、ディストピア的な管理社会ではない。
人類の知識のデータベース化が進んで、そこから知識をインストールしたり肉体強化とかすれば子供でも働けるとかだいぶ黒い話もありつつ、この世界に住む人たちはみんな自由に生きていて、むちゃくちゃで、ふざけていて、ばらばらで、ずんぐりむっくりな世界だが、それが本当に愛おしい。
あと、特に深い意味はないがポータルとポータル2をやれ。
音楽のパワー
もうひとつ印象的なのは音楽だ。
同人/フリーゲームではフリー音楽が使われていることが多いが、本作も例にもれず多くの曲がフリーのものだ。
しかしその数がやばい。なんと全154曲だ(bgmフォルダとmoviesフォルダにあったファイル数より)。それにもかかわらず、どれもがまるでこのゲームのために作られたかのように感じる選曲だったのは本当にすごいと思う。
また、これだけ曲があるとエロロープレとかフリゲーとかを嗜んでいるひとならば本作とは関係なくどこかで聴いたことのある曲が本作でも流れてくると思うが、それすらも計算されていたことに気づいたときは思わず叫びそうになってしまった。
あと、曲を演奏するとフィールドBGMがその曲に変わる要素が地味だけれどすき。
空気をつくるアートワーク
ここまでのスクリーンショットでも伝わっているといいが、本作はアートワークも抜群にいい。
印象的なイベントシーンで出てくる一枚絵には引き込まれるし、ギロチンシティの退廃的な空気をとてもよく出している背景もめちゃくちゃいい。
背景の雰囲気というのは全体の印象にかなり大きく寄与すると思っているので、こういうところに力を入れているタイトルはそれだけでやってよかったという気分になるくらいだ。
そして、場面転換で挟まれるカットインもかわいいし、そのうえいったい何枚あるのかわからないのでカットイン一覧機能とかアップデートで追加してくださいお願いします。
ぐいぐい読ませるシナリオ
最初のほうでもちらっと書いたが、本作のメインストーリーは宇宙の崩壊を阻止するための犯人捜しだ。
主人公とメカニカは誰がどうやってなんのために宇宙を崩壊させようとしているのかを探るためにギロチンシティの住人たちの話から導いていくことになるが、後半になるとパズルのピースが組みあがっていくようにどんどん真相が明らかになっていき、途中からはもうとにかく続きを読みたいと思わせてくれるテキストの力がすごい。
キャラクターまわりのところでも書いたが、意外な人物のつながりや、百合に敗北するショタとか、SF的ガジェットをうまく利用した物語が本当にうまくてギロチンシティに住みたくなってくるのでほんとすき。
そして、物語終盤の鍵となるものについて実は序盤に答えがそのまま書いてあったり、伏線の張り方も実に巧妙なので、1周クリアしたあとの2周目プレイはとてもおすすめしたい。
過去作との関連について
ストアページにうさみみシリーズとついているように、2020/05/07まで無料クーポンがついてくるうさみみボウケンタンと本作はかなり関係がある。
というか、本作を制作しているサークルLoser/sの過去作全部関係ある。
なので『強盗、娼婦のヒモになる』『Sessions!!~真実嫌いの探偵は~』『シリアルキラーは振り向かない』『Sessions!!~少女を監禁する事情~』『うさみみボウケンタン外伝』も摂取してからのほうがいいっちゃいいが、ぶっちゃけ本作からプレイしても問題ない。
そうやってプレイするためのハードル上げてもなんもいいことないしな。
というか僕が一番最初にプレイしたのもMECHANICAだ。
本作クリア後に過去作をこの一週間で全部摂取して2周目でボロボロ涙を流しながら奇声をあげてから今この記事を書いている。
実際のところ、うさみみボウケンタンはわりと直接的にストーリーに関連するものの、それ以外の作品はこまで直接的には関連しないし、過去作を摂取していなくてもちゃんと1本の独立した話として楽しめるので、全部やってからじゃないと……という強迫観念は捨てて大丈夫だ。それに主人公視点で考えると未プレイの状態のほうがいいんじゃないかなみたいなのはちょっとあるしな。
MECHANICAをプレイして過去作も気になるならそちらもプレイしてから2周目で「お前、お前ーーーーッ!!」と叫ぶくらいでちょうどいいんじゃないかと思う。
最後に
あんまりえっちいところについて書けなかったのでこんなところに押し込む形になって申し訳ないが、えっちいのは横に置いておくとしてもメカニカがめちゃくちゃかわいいので、かわいい女の子との関係性をすすめていくゲームとしても非常におすすめしたい。
最後に、えっちシーンについて一言だけ言わせてほしい。
(画像は『Sessions!!~真実嫌いの探偵は~』より)
なお、この記事はMECHANICAのある重大な要素について意図的に省いて書いている。