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長島愛生園の見学と、ついでにちょっと旅行

「小島の春」という本を読みました。

国立らい療養所長島愛生園(現国立療養所長島愛生園)の女医である小川正子が、高知や中国地方、瀬戸内海の島々の集落に住むハンセン病患者に対して、療養所で治療するように説得してまわった記録です。
私のハンセン病についての知識は、聖書でイエスがハンセン病患者に対して「よろしい、清くなれ」と言って治癒する場面に限られます。たまたま「小島の春」を読んでハンセン病について興味を持ったのですが、ちょうど長嶋愛生園では見学ツアーを企画していることを知って応募してみました。

特効薬ができたために今の日本にはハンセン病患者はいません。しかし、愛生園にはかつてハンセン病に罹患した際の後遺症が残った方々が今でも暮らしています。平均年齢は88歳。かつて国策としてハンセン病患者が隔離されたため、一般の人々にハンセン病に感染する危険性が過剰に受け止められ、彼らが激しい差別を受けることととなりました。「小島の春」では小川正子が患者の隔離を精力的に行ったことが美談として書かれていましたが、必ずしもそうとも言い切れないのだと認識しました。

愛生園には、収容者がかつての親戚から受け取った「手紙の往来も含めて一切の連絡を断ちたい」という絶縁状などが展示されています。最近の新型コロナ騒動での感染者に対する差別的な行いに対して、入所者の方々が「ハンセン病差別のころと何も変わっていない」とおっしゃっていた、という話が印象的でした。

収容所跡。島に隔離された入所者はここで最初に、現金などを取り上げられたそうです

はるばると岡山県まできたので、ついでに岡山県を少し旅行しました。山陽本線笠岡駅近くに宿を取り、翌朝に笠岡港から船で笠岡諸島の六島に向かいます。

連絡船から見る日の出

六島は水仙が群生していることで有名なのですが、残念ながら時期が早すぎたようで水仙は咲いていませんでした…。もう一つの六島名物と言えば灯台です。港から灯台までは歩いて15分くらい。道案内があるので迷うことはなさそうです。朝日に照らされた灯台はとてもきれいでした。

やけに目がきれいな猫が親切にご案内
灯台は高台にあって、瀬戸内海の島々がよく見えました

六島を盛り上げようと地元の方が活動しているようで、いろんなところでQRコードを使ってYouTubeチャンネルが紹介されていました。動画見ると人がいっぱい盛り上がっていて楽しそうです。残念ながら常時こんなにたくさん人がいるわけではないのですが、展望台や遊び場などが整備されていて意外と観光するスポットがたくさんある島でした。

再度船に乗り、今度は大飛島へ。こちらは一周4kmの舗装路が島を一周しているので歩きやすいです。アップダウンはなかなかなものでしたが、海を望む景色の良いポイントがいくつもあってとてもよかったです。
帰りの船を待つ間、切符売りの方からいろんなお話を伺いました。大飛島名物の椿の木がだんだん寿命を迎えつつあること、新たに椿を植え替えることができずにいること、対岸(福山)にJFEの大きな工場がよく見えることなど…。離島の例にもれず過疎化が激しいそうで、いつの日かこうやって旅行することもできなくなるのかと思うと少し寂しいです。

大飛島の恋人岬からは、先ほど訪問した六島がよく見えました

翌朝は、岡山県南部にある王子ヶ岳を訪れました。車でも山頂まで行けるのですが、今回は王子マリンパークあたりから徒歩1時間くらいのハイキングで頂上へ。景色がよいとは聞いていたものの、想像以上の眺望です。遊歩道には見晴らしの良い場所がいくつもあるのですが、どこも甲乙つけがたい絶景。近所にあったら通い詰めてしまいそうな、素晴らしい場所です。

天気が悪かったのですが、それでもなおこの景色

中国地方は結構いろいろ旅行したつもりだったのですが、思い返すと岡山の宇野とか児島とかはあまり来たことがありませんでした。また時間を取って再訪したいです。

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