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社員の子ども1人につき出産支援金200万円!

玩具メーカーのタカラトミーが、社員の子ども1人につき200万円の出産支援金を支給する制度を導入します、というニュースを観ました。

タカラトミーのサイトで確認したら、プレスリリースが上がっていました。下記のリンクです。PDFです。
https://ssl4.eir-parts.net/doc/7867/ir_material1/232495/00.pdf

なるほど、WEBニュースでは、200万円の出産支援金ばかりが話題となっていましたが、人事制度全般の見直しの一環であるらしい。
また、出産支援金だけではなく、業務をカバーする社員に対しても「応援手当」を支給する制度を導入する、ということです。よく考えているなぁ。

私は、普段から、ニュースについているコメントを、つい読んでしまいます。私以外の人は、このニュースを、どんな風に受け取ったんだろう、というのを知るのが結構面白いなぁと思うんですよね。

このニュースに関して言えば、基本的には好意的な意見ばかり。一方、「ん?」と思ったのが、「大企業だからできる」「玩具メーカーだから少子化回避は企業継続のために必須」などなど、こういう制度を導入できるのは、タカラトミーだから、特別だから、という言い方。
まぁ、一般的なイメージでは、そうなりますよね。

ただ、目にすることの多い会社や有名な会社=大企業、ではないんですよね。玩具業界は、その典型だと思います。定義上、大企業なのか中小企業なのかは、従業員数で決まるそうなので、タカラトミーの企業のサイトを確認したら、従業員数は単体で562人(連結2,476人)でした。製造業では、300人以上を大企業と呼ぶため、確かに大企業ということになりますが、一般的に思い浮かべるような、自動車業界や、商社や、銀行や(・・・あ、こんな風に例を挙げると、私がどの時代に就職活動したかが如実に出るな)まぁ、ともかく、多くの人が思い描く〈大企業〉とは、たぶん桁が違うと思います。玩具、とりわけ、ゲームではない一般玩具を扱っているメーカーって、そんなに規模が大きい訳ではないのです。

また、玩具メーカー=少子化で苦境、という訳でもないようです。もちろん、子どもたちのためのものを作っていることには間違いありません。でも、現在の玩具メーカーにとって、利益を持ってきてくれるのは、むしろ大人向けの商材です。カプセルトイとか、カードゲームとか、高額のコレクターズアイテムとか。大人向け商材で利益を上げて、子ども向けの商材は使命として展開している、という感じかもしれません。言い過ぎかな。

だから結局のところ、社員の出産支援金200万円は、「めぐりめぐって自社の顧客になって利益が増えるから」でも、「大企業で余裕があるからできるから」でもない。たぶん、やる気になれば、同様の施策が取れる企業は沢山あるはずです。大事なのは、これはタカラトミーが、今の従業員と、将来の従業員と、社会に向けて発したメッセージだということ。
個人的な感想として、良い発信したね、と思っています。

企業にしても、国や地方自治体にしても、制度や政策というのは、メッセージそのものですよね。
例えば、人事評価における評価項目は、〈会社はその項目を大事にしてるからね、優先度を高くして頑張ってね〉という意図を持ちます。
そんな風に思っていますので、自治体でありがちな「子ども3人目から、こんないいことがありますよー」という政策を見ると、第1子第2子は歓迎していない、という風に伝わりかねないのに、それでいいのかなぁ、と、常々感じていたんですよね。

そういう意味で、今回のメッセージは明確だと思います。出産を歓迎し、社員を支援します。応援してくれる人にも感謝します。そのことを社内外にリリースして、タカラトミーが出産を歓迎するという想いを広く伝えます、って。

正直言って、私がタカラトミーの社員だったら「ちょっと、やりすぎじゃない?」って思ったと思います。また、支援金を受け取る立場だったら、あまりの額の大きさに、むしろプレッシャーを感じてしまいそうです。でも、これは、広報費なんですよね。(どうやら経営陣を刷新したみたいだし。)そして、その広報戦略は、どうやら今のところ成功しているんじゃないかな。

マネしたり、うちも広報戦略や採用戦略として使っていこうって思ったりする企業が増えたらいいんじゃない、って思っているんです。だって、子どもって、社会全体の中で育っていくんですものね。

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