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オンラインでの親子ワークショップは 得意技の1つになった

全国の小中学校が休校になることが知らされたのが、2000年の2月末。4年前。あの頃から、「オンライン」が一気に市民権を得たなぁと感じる。

大人たちの打ち合わせだけではなく、子どもたちを対象としたプログラムでも、オンラインのものが一気に増えた。塾や英会話は、容易に切り替わったし、バレエやヨガのような身体を動かすものもあった。

そして、多くのオンライン講座は、コロナが落ち着くとともに、対面に戻って行った。本当は、対面が一番いいけれど、それが叶わない場合の代替手段が対面、というような認識を持っている人が多いと思う。

そんな状況になっても、私は、親子向けのオンライン講座を続けている。

なぜか? 理由はシンプル。オンラインで実施する良さがあるから。

私が実感しているオンラインの良さは、3つある。

1つ目の理由は、子どもたちにとって、安心できる場所で取り組めること。
対面の講座を実施すると、何人かに1人は「初めての場所が苦手」というお子さんがいる。もちろん、そういうお子さんは、自分のペースでじっくり場に慣れればいい。ただ、そのお子さんが、自分のペースで場に慣れて、「もう大丈夫」ってなった時には、プログラムも終盤、という場合も多い。一方、自宅と言う安心できる環境だったら、初めての場所が苦手なお子さんも、最初から最後まで参加できる。

2つ目は、気が済むまで遊んでいいこと。
対面の場合も、なるべく、気が済むまで遊ぶ環境を作りたいとは思っている。でも、その場所を使える時間が決まっていて、片付けなくちゃいけない場合もある。保護者の方に次の予定がある場合もある。
一方、自宅で実施して頂いた時は、気が済むまで遊べる。オンラインの接続を切ったあとも、同じままの状態で遊び続けることができる。その日で完結しなければ、次の日も、その次の日も、自分の気が済むまで繰り返すことができる。

3つ目は、保護者の方も、自分ごととして参加できること。
児童センターなどで、みんなで1つの場所に集まって遊ぶ時は、保護者の方は、やや受け身になることが多い。講師が材料を準備し、子どもたちを盛り上げて、一緒に楽しく盛り上げてくれるから、保護者の方は「見ていればいい」という存在になりがちだ。
でも、オンラインの場合は、自分しかいない。材料も用意するし、子どもの様子も見る。子どもの姿を見て、必要そうなモノを追加して持ってきたり、声をかけたりする。
リアルに、その場にいるのは自分なのだから、子どもが楽しめるように、あれこれ関与する。だから、オンライン講座の後、「あの時のアレ、子どもが楽しんでいたから、もう1回やろうかな」と思った時に、すぐできる。経験しているから。対面よりも、オンラインの方が、「講座の後でも、親が遊べるようになっている」という効果は高いと感じている。

そんな訳で、オンラインには、オンラインの良さがある。対面ができないから仕方なくオンライン講座をやるのではなく、目的に応じて、オンラインと対面を使い分ければいいと思う。

オンラインの魅力を伝えてきたけれど、講師としては、対面と同じことをオンラインでやるだけでは、魅力は引き出せない。

私が特に意識しているのは、子どもに声をかけ続けること。活動で使用するモノがある時には、手元にモノを用意しているよ、ということを、画面に向けて見せてもらう。そして、必ず全員に「●●ちゃんもあるね」「●●ちゃんのは大きいね」「●●ちゃんは、●色だね」などと、名前を呼んで声をかける。
工作の時には、1工程ずつ、個々に声をかける。作業中の様子も「●●描いたんだね」「●色に塗ったね」「シールいっぱい貼ったね」と逐一声をかける。オンラインだからこそ、子どもたちが「自分のことを見てもらえている」「この場に自分の居場所がある」と実感できることが、何より大切だと思っている。

子どもたちは、ずっと見ていてもらっている、と感じると、自分から、色々見せてくれるようになる。1工程ごとに全部画面に向けてくれたり、完成作品を披露してくれたりする。お気に入りのおもちゃや、飼っているペットを見せてくれることもある。オンラインであっても「ちゃんと見ていてくれる」と思ってもらえれば、子どもとの関係性は築ける。何度も実践するうちに、築けるようになった。

今は、「3~8歳のお子さんと、オンラインでの双方向のやりとりを伴う工作ワークショップが実施できる」というのは、私の得意技の1つになった。

どんな手段にも、その手段の得意分野がある。オンライン、という手段にも、単に距離を超えられるだけではなく、コミュニケーション上の利点がある。オンラインが市民権を得たことで、選択できる新しい方法が1つ増えた。だから、その時々、必要に応じて、手段を選べばいい。

選択肢が増えれば、可能性も増える。親子に何かを届ける方法が、1つ増えたと思って、もっともっと実践を重ねて、磨いていきたい。

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