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「批難されない」だけの行動では 何も変わらない

エスカレーターの「片側空け」は危ないんですよ、と言われ、鉄道各社ではキャンペーンも実施していました。

子どもの頃は、こんなにかっちりと「片側空け」が定着していた記憶はないです。それなりに物事の判断力がつく年齢になってから、「片側空け」を知り、急ぐ人にもそうじゃない人にも配慮した乗り方なのね、と妙に納得したことを覚えています。

「片側空け」は実は危険なんですよ、と言う話は、良く分かります。
・そもそもエスカレーターは歩いてのぼりおりするものではないこと。
・立つ側を決めてしまうと、身体の不自由な方にとって、危険や不便な場合もあること。
・立つ人の横を、急いですり抜けることは危なく、事故も多いこと。
などが主な理由でしょうか。

私は、長年、「危険な乗り方」をしていた立場です。
特に子どもが小さい頃は、いつも走っていました。一番の猛ダッシュは、保育園のお迎えに間に合うように、急いで帰宅する時。駅のエスカレーターをすごい勢いで駆け上がったり、駆け下りたりしていたと思います。すみません。
危険だと分かってから、もう、走りません。静かに立ってる。いそいでる時は、階段を駆け上がって、ぜぃぜぃ言ってます。

私と同じ感じの人、多いんじゃないでしょうか。「今までは、空いていない方を高速で上り下りしていたけれど、実は危険だと知ったから、これからはエスカレーターは止まって乗るよ」って。

その結果、何が起きているか。
「片側空け」だけが残り、片方の列は誰も歩いていない、という状況を見ることが、とても多いと思いませんか?

びっしり2列に乗る時に比べて、さばける人数は半分です。
片側に立って乗り、片側は歩いていた時代は、歩く人も切れ間なく続いていきましたので、その頃に比べてもやっぱり半分以下。

どうせ歩かないんだったら、2列で立てばいいのに。たぶん、良く知らない人から「じゃまなんですけど」って批難されることを恐れて、今まで「歩く側」だった方には立ちたくないんだろうな。でも、「歩くのは危険」というのは理解しているので、歩かない。

片側だけにびっしりと人が立ち、片側は空いているのに誰も使わないエスカレーターの姿は、滑稽だな、と思う。
でも、ちょっと、分かる。

誰かの迷惑になることは、したくない。
誰かから批難されることも、したくない。
でも自分から行動を起こして何かを変えようとするほどの余裕も元気もない。
だから、今までと変わらない、一番無難な振る舞いをするのが確実、というところだろうか。

その発想は、平和だけれど、何も変わらないんだよね。
そして、明らかな不利益はなさそうだけれど、輸送率が本来のポテンシャルの2分の1になっているから、長い目で見れば、もったいない。ホームの混雑がなかなか解消されていないときもある。

勇気を持って、誰か1人、「歩く側だった方」に立てば、変わるかもしれないのに。

自分が批難されても、イヤな眼で見られてもいいから、行動を起こすことで、身の回りのことは良い方に変化していくんだと思う。
良い方に変化していくための、小さな勇気を持てる人でありたいな、と思う。

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