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学んだことを生かす とは どういうことか

「デザインを学んでいる知り合いがいてね。その子の就職の相談を受けたんだけど。おもちゃメーカーに興味がある、って言っているの。でも、どれくらいデザインができるのかな?」と質問されたのです。

その質問に対する答えは、私の勤めていた会社の、私の部署では、実際に手を動かしてデザインをするのは社外の人だったよ、です。

実際、デザインもできない、設計図も引けない、何なら、企画書のドラえもんの絵も描けない(そのあと練習して描けるようになったけど!)文系の私に、企画開発が務まったのは、実際の業務は「進行管理」が多かったからなんですよね。

デザインは、デザイン会社のプロに依頼をしていました。
だから、手を動かして作業することを、「デザインする」だと思っているのだったら、メーカーよりも、そのメーカーと取引しているデザイン会社に就職する方がいいのかもしれません。

でもね、ちょっと待って。だからって、メーカーに行ったらデザインを学んだことが生かせないかと言えば、そうではないと思うんです。
実際に手を動かして、版下を仕上げてくれるのはデザイナーさんだけれど、その人に依頼をしなくちゃいけない。レイアウトや色指定、キャラクターの使い方など。その時に、デザインを専門的に分かっていると、伝わりやすい指示ができるんじゃないかな。
何か想定通りにいかないことがあったり、デザイナーさんのラフを頂いて、もう少し変えたいな、と思った時に、どう修正したらいいのかも、考えられる。
あとは、「デザインで何ができるか」を知っていることで、何か新しい提案ができるかもしれません。その提案は、ロゴマークとか、POPのような目に見えるところかもしれないし、社内連絡用のフォーマットかもしれない。きっと多岐にわたるはず。

だから、「デザインを学んだことを生かす」というのは、実際に手を動かす仕事につくかどうか、だけではなく、そこで学んだことをどう生かすか、だと思うんですよね。

これは「デザイン」に限らないですよね。
学んだことを生かす、と言うのは、学んだ技術をそのまま実践する、ってことじゃない場合が多い。技術を学ぶためのモノの見方や考え方を、別のことにも応用して考えられる、ってことじゃないかな。

それは、学校で学んだこともそうだし、会社で学んだこともそう。私が新人1年目で学んだ「事務用品の発注の仕方」とか「郵便計器の使い方」は、その後生かされることはないけれど、目に見えないけれど必要な仕事があることは、身に染みて知っている。そういうことだと思うんです。

だから、学んだことを生かす、というのは、学びによって、自分の視点や視野が違うよ、ということで、充分に生かされているよね、と思うのです。それは同時に、自分の「学び」を一般化・抽象化することにつながるのかもしれませんね。

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