人は欠けているところに魅力がある
人は欠けているところが、魅力的だなぁと気づいたのです。
最初のきっかけは、「どんな記事が読まれるか」というような話をしていた時。優秀な人の成功談とか、頑張り屋さんの努力物語とか、運のいい人の自慢話とか・・・うまくいっている話は、人はあまり読みたいと思いません。妬ましいとか、そういうことではなく、シンプルに面白くないんだと思うんです。
一方、苦手なことの話、失敗した話、運が悪い日の話、ついついさぼっちゃう話、・・・人が惹きつけられるのは、そういう話だなぁと思うんです。これも、人の失敗を笑う、とか、そういう裏黒さではなく、なんかこういう完璧じゃないところに、その人の魅力を感じるんだよなぁ、と思ったのです。
ちなみに、それを覚えているのは、私みたいな〈ええかっこしい〉は、自分がうまくいかなかった話をすることが苦手だからです。私の書くものって、なんとなく繕った感じになって、魅力がないんだろうなぁと気づいたんですよね。←気づいたからと言って、すぐに変えられないのが、ムズカシイところですけれど。
そう言われてみれば、メディアなどで活躍を知るような「すごい人」の、小さな〈できないこと〉や〈苦手なこと〉を垣間見ると、その人の魅力がぐっと高まると感じることは多いです。「すごい人」から「人間味があって惹かれる人」へと、変わる。変わるというよりも、深みが増すという感じがします。
『ぼくをさがしに』という絵本があります。
『おおきな木』という作品で有名な、シェル・シルヴァスタインが描く、大人のための絵本。丸が欠けた形をしている「ぼく」が、ぼくのかけら=欠けている部分を埋める相手を探すという物語です。
この物語は、色々に解釈ができますが、最近の私は、「ぼく」は欠けたままだから、「ぼく」なんだな、と思っています。そして、欠けていることが、彼にとっての魅力なのだろうと。
人と人とが惹かれ合うのって、弱いところ・できないところ・だめなところなんじゃないかな。
そう言えば吉田兼好さんも「病気しないやつは、友達にしないほうがいい」と言っていました。若い頃は、言っている意味が分からなかったけれど、今なら共感します。自分の弱さ(肉体的にも精神的にも)に直面する経験したことのない人は、薄っぺらくなりがちなんじゃないかな。
だからこそ、自分に言い訳したり、気づかないふりをするんじゃなく、自分の弱さにちゃんと向き合えるようになっていきたい、と思うんですよね。
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