配信って意外に、こわい。

■アーティストが丸裸になる

レディ・ガガがキュレーターを務める「One World: Together At Home」を観た。
医療従事者を応援するチャリティライブイベントだ。
ライブといってもこのご時世なので、各アーティスト、或いはオピニオンリーダー(ミシェル・オバマやオプラ!エレン!)、そして司会者さえ動画での参加である。

そのせいもあるのだろうか。
音楽以上に、医療現場のドキュメンタリー部分が印象に残った。
現場でまさにライブで働く人たちの姿、声、表情は
家からの歌声を凌駕した。

もちろんアーティストは熱演だった。
でも、あれだけたくさんの“家からの配信”を観ていると
なんとなく見えてきたものもあった。

配信は、想像以上にアーティストを丸裸にするのではないだろうか。
ライブと違う角度から、その人が表れる。

たとえばライブハウスなら、店の雰囲気はもちろん
お客さんのノリや、お酒、フード、マイクの加減
それら全てがライブになる。
大きなホールなら、照明や演出の影響もあるだろう。

つまり、気の紛れるものがいっぱいある。

だけど配信は、マンツーマンなのだ。
しかも観ているこっちは、自分の生活テリトリーに居る。

だから、自分の見栄えを気にしてるなとか
媚びを売ってるな、自分に酔ってるな。
なんてのが分かるとしらけてしまう。
実力が足りないのなんて、隠しようもない。

今回のOne Worldで、たとえばジェニファー・ハドスンの「ハレルヤ」
などは歌唱力の面で悪かろうはずもないが、それ以上に真摯な感じを受けた。

ローリング・ストーンズも予想以上によかった。
演奏云々より、4人の関係性が見えたからだと思う。
微笑ましくさえあった。

何人かのベテランはそうだった。
もはや、自分をカッコヨク見せようとする必要もないからだろう。
一方で、ビッグ・ソングを選んで
今ひとつだったアーティストもいる。

今は、アーティスト応援の気持ちも含め
投げ銭や電子チケットも前向きな配信が多いようだ。
ただ今後、この状況が長く続くことが予想される中で
コンスタントに課金してもらうのは
たやすいことではないと思う。

特に小さな酒場を回ってきたような
ツアー・ミュージシャンの場合、
配信になじまないお客さんもいるだろうし
最初は苦戦するかもしれない。
ただ、思わぬファンを獲得する可能性も大きい。

誠実に、質の高い歌を届けることができるか。
結局、そこに回帰するような気がする。

それには、何も1時間のライブでなくていい。
One Worldもそうだったが、1曲、2曲でもいいのかもしれない。

■本当に必要なものは?

「You Can't Always Get What You Want」
――欲しいものが必ず手に入るわけないだろ。

One Worldで、ストーンズが取り上げた曲。
「Honky Tonk Woman」のB面でもある。
「無情の世界」という邦題がついているが
実は希望の歌だと改めて思った。

欲しいモノは必ず手に入るわけじゃない。
だけど探し続けて、ふと気づけば
ホントに必要なものは、もう手の中にあるんだよ。とそんな歌。

この一大事の中で、
いろんなウソやニセモノが露わになっていく。

求めても求めてもつかまえられない
苦しい時がどれくらい続くかわからないけど
大切なモノを
つかまえる時がくるんだ。
やっぱりな。

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