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美濃焼とは? ②種類

美濃焼」と言われて、皆さんはどのような器を想像されるでしょうか。緑色の釉薬がかかった大皿?白っぽい湯飲み?はたまた黒い茶碗でしょうか。
今挙げた物はどれも美濃焼の特徴。今回は“いわゆる美濃焼”の種類についてご紹介します。


大きく4つに分類される美濃焼

美濃焼は「黄瀬戸」「瀬戸黒」「志野」「織部」の4つに分類されます。それぞれ特徴があり、更に細かく分類されることもあります。
なかでもよく取り上げられるのが「織部」。織部の“プロデューサー”とされる古田織部は、それまで千利休が教えてきた「わび茶」の“静かな美”と異なり、中国や南蛮の文化と「わび」が融合した“奔放な美”を表現した器を愛用しました。華やかな茶の湯ブームと共に日本中に一大旋風を巻き起こしたのが「織部」です。
では、4つの特徴をそれぞれ見ていきます。



1.黄瀬戸

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その名の通り、温かみのある黄色に焼いたものが「黄瀬戸」。鉄分の多い絵具で絵付けをし、草花模様の装飾が施されていることが多いです。
瀬戸から陶工が流入して始まった美濃焼は、長らくの間「瀬戸焼」だと思われていました。黄瀬戸・瀬戸黒に「瀬戸」の文字が含まれているのは、その名残です。

2.瀬戸黒

艶々とした黒色が特徴の「瀬戸黒」。鉄釉をかけた器を、焼成中に窯から出して急冷すると真っ黒になるのだそう。筒型の茶碗が多いのが特徴です。筒型というのは、茶碗の側面が内側に反ったような形を指します。
手にしたときの感覚など、個人的には瀬戸黒が美濃焼の中で一番のお気に入りです。



3.志野

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日本で最初の白い焼き物(写真左、右は織部)。日本で最初に絵付けをされた焼き物だとも言われています。表面に無数の穴があいているのが特徴で、柚子肌と呼ばれています。茶の湯の世界では、志野の茶碗は和物(日本の陶磁器)の最高峰だとされています。




4.織部

千利休亡き後、茶の湯界でリーダー的存在だった古田織部が茶席で好んで使ったことからその名前がついたとされる「織部」。一説には、古田織部が焼き物や釉薬をプロデュースしていたとも言われています。幾何学文様などのユニークな絵付けを施し、緑の釉薬がかかっているのが特徴です。「へうげもの(=ひょうきんなもの)を好み、あえて飲み口を歪ませたり、器のヒビも自然美だと評価されたりしています。


それぞれ特徴的で、全く違う焼き物のように思いますが、どれも美濃焼です。
美濃焼に触れる際には、是非こうした特徴を思い出してくださいね。



参考文献:
『NHK美の壺 織部焼』
『知識ゼロからのやきもの入門』
『手に持って、行こう ダーリンの手仕事にっぽん』



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