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【2019参院選】【候補者全部まとめ】立候補した370人をいろんな角度で分析してみた。

はじめに

 「候補者男女均等法」という法律があるのをご存知ですか?
 2018年の5月。今から約1年前に成立したこの法律は、選挙において候補者の性別をなるべく均等にするよう、各政党に求めるものです(1)。罰則規定はないものの、世界的に見ても女性の議員数が少ない日本において、その割合を高める1つのきっかけとなるかもしれません。
 そして今回の参院選が、この法律が施行されて以来初めての国政選挙となります。

 この記事では、男女比に限らず、今回立候補する370人の候補者を様々な面から分析していきます。立候補者の属性という観点から、日本の政治の現実を、覗いてみてください。

※政党略称についての説明は記事最後の脚注をご覧ください。

1. 性別

 ではせっかくなので、候補者達を性別の面から見ていきましょう。

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 上のグラフは、今回の候補者の性別比を党派別に分析したものです。
 全候補者数に占める女性候補者の割合は28.1%で、これは憲政史上最高です(2)。
 女性が半数以上を占めるのは社民党と共産党だけ、国政政党ではほかには、立憲民主党が女性候補者を40%以上擁立しています。
 その他の国政政党は、国民・維新がともに女性が30%以上を占め、野党は全て平均以上の女性候補者を擁立していますが、与党である自民・公明はともに20%以下と、目標には程遠く、全体平均と比べても割合は落ちます。男性の現職議員が多く、なかなか女性の新人が割り込む隙がないのが理由の1つだと考えられます(3)。
 次に、絶対数で確認してみましょう。

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 先ほど確認した割合のグラフでは、最も女性候補者率が高かったのは社民党でしたが、絶対数を見ると、最も多くの女性候補者を擁立しているのは共産党だとわかります。


 次は、現職・元職・新人で候補者を分けて分析したグラフです。前々回の参院選で当選し、今回も立候補するのが現職、かつて参院議員をしたことがある候補が元職、参院議員経験がない候補が新人です。

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 女性候補者の割合は3種類の中だと新人が一番高いのがわかります。とはいえ、それでも30%強。女性の政治参画の試みは道半ばです。


2.年代別

次は年齢に注目して、候補者を分析してみました。
 
 まずは、各党の候補者の平均年齢を算出してグラフにしました。

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 最も平均年齢が低いのがN国党の46.3歳、高いのが労働者党の69.7歳です。この間には、実に20歳以上の差があります。国政政党では、公明党が最も低く、社民党が最も高くなっています。

 この差はどのような年代構成から生まれているのでしょうか。
 次のグラフは、立候補者全体及び党派別候補者を年代で色分けしたものです。各党を見比べてみてください。

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グラフの最後には、現在の日本国民の年代別構成を載せました。
政治家は、日本全体の声を代表して仕事をします。あなたは、この年代別構成の差を良しとしますか?


3.政党と候補者

 候補者の属性分析からは少し離れるかもしれませんが、次は政党に注目して候補者を見てみましょう。
 改選議員の党派別割合と、立候補者の割合を並べてみました。

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 改選議席では、自民党が圧倒的に多いことがわかります。候補者の党派別割合を見ても自民党は1位ですが、改選議席に占める割合に比べると小さくなっています。
 ここからも、候補者の多さや選挙の厳しさを読み取ることが出来ます。

 次に、この2つの円グラフを解体し、並べてみました。

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 注目すべきはN国党の候補者数です。数では共産を抜き、立憲に迫る3位につけています。立憲・共産はともに改選議席を大幅に上回る候補者を擁立し、議席を伸ばそうとしているのが伺えます。
 加えて、自民党の圧倒的な候補者数の多さが伺えます。今回改選となるのは、124の議席ですが、半数ライン62人を超える候補者を擁立しているのは、自民党のみです。単独過半数の議席を実現可能なのは、今回は自民党だけであることがわかります。


4.まとめ

 いかがでしたか?
 女性の政治参加や若い世代の参画がどのような状況になっているか、視覚的に掴んでいただけたのではないかと思います。投票の際には、自分の政策立場と一致する候補者を選ぶことも重要ですが、参院選全体でどのような候補者が選ばれるのか、大きな視点ももっておくことで、より幅広い視野で投票先の検討ができるのではないでしょうか。

 私たちが投票する今回の選挙後に、この比率が当選議員についてはどうなるのか、投開票日を楽しみにしましょう!



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*政党略称についてー下記の通りの略称を使用しました。
自民:自由民主党 公明:公明党 立憲:立憲民主党 国民:国民民主党 共産:日本共産党 維新:日本維新の会 社民:社会民主党 れ新:れいわ新選組 幸福:幸福実現党 N国:NHKから国民を守る党 オリ:オリーブの木 安楽:安楽死制度を考える会 労働:労働の解放をめざす労働者党
※無所属に、東京から出馬している諸派公認候補1名を算入しています。
*人口データは総務省統計局の人口推計・平成31年1月確報値よりhttps://www.stat.go.jp/data/jinsui/2.html#monthly
(1)日本経済新聞「女性議員増法が成立 各党に候補者擁立促す」(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30567730W8A510C1EAF000/)2018年5月16日(2)NHK「参院選立候補者 女性の割合28.1% 過去最高」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190704/k10011982641000.html)2019年7月4日(3)共同通信「自公、女性用率の数値目標見送り」(https://this.kiji.is/476329613278659681)2019年3月7日

#JAPANCHOICE #参院選 #候補者 #候補者比較

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