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年末だから出版したことを振り返ってみる

人生の目標の一つ

退職してから回顧録を自費出版なんて絶対嫌だった。
現職中に本を出したいと、ずっと言い続けてきた。
自費出版という選択肢もあったのだが、できれば商業出版と言い続けてきた。
2021年10月にその夢が叶った

始まり

1月26日に
【原稿ご依頼】新規単行本のご執筆ご依頼
なるタイトルのメールが届く。
一気に血液が沸騰する。
雑誌への寄稿かと何度も確認したが、新規単行本とある。
添付されている企画書には

前多昌顕 編著

と書かれていた。
ここで一気に血液の温度が下がる。
まあ、そうだろう。
特になんの実績もない私に単著の話がくるはずがない。
それでも、執筆依頼をいただくのは嬉しいことだから、上司の承認を得てお受けすることにした。
返信してすぐに折り返しのメール

「先ほどのメールに編著とありましたが間違いです。単著です」

再び血液の温度が隔離されかねないレベルまで上がる。
何度も読み返したが、間違いないらしい。

オンラインでの打ち合わせ

編集者さんとzoomで打ち合わせを行う。
これまで何度か教育雑誌に記事を書かせてもらった時は、送られてきた企画書を読み、それに合わせて書いて送付するだけだった。
やっぱり単行本は違う。
企画意図を説明されて、章立ての案を見せていただいた。
ページは150枚ほど。
何もかも初めてのことだったので、何がわからないのかもわからない状態。
とりあえず、全てOKの返事だった。
締め切りは5月の連休明けとのことで3ヶ月ちょっと。
それが余裕なのかきついのかもわからず、とにかく執筆活動を開始することにした。

ノマド生活の開始

複式校の5・6年担任だったし、閉校直前だったしで、2月はほとんど原稿に手をつけられなかった。とりあえずマインドマップをかいて、書きたいものを出し尽くし、アウトライナーで整理することだけはやった。
3月になり、さらに忙しくなったが、流石に不安になってきたのでぼちぼちキーボードを叩き始める。しかし進まない。
この頃から、音声入力での執筆を開始。運転中の独り言音声入力と、風呂に防水Bluetoothスピーカーを設置しての音声入力。
帰宅後は運動しなきゃ死んじゃうし、動画も作りたいしで、なかなか執筆作業に取り組めない。
土日に作業をしようとしても、家にいると色々な家事をこなさなければならない。家族は「気にせず執筆して」と言ってくるけど、それを言葉通りに受け取るのは危険すぎる。
ということで、土日の早朝ノマド生活を開始した。
田舎に住んでいるので、徒歩圏内に早朝から営業している店なんてない。
車で30分ほどかかるマクドナルドが朝7:00営業開始。
食事は米派の私が、朝からパンを食べる生活になった。
朝マックだけで数時間粘るのは気がひけるので、途中でドリンクを追加しながら作業。
それでもマックにおっさんが居続けられるのは3時間が限界なので、10時からは場所を変えて、ノマド2次会。
2次会の場所はマックの近くのショッピングモール内にあるStarbucks。
スタバで2時間ほど作業して、昼食を挟んで図書館で3次会。
こんな生活を繰り返した。
大変だったけど、良いこともあった。
受験生の息子が一緒にノマド勉強するようになったこと。
私と同じで、自宅ではダラダラする性格なので、自分から場所を変えて勉強するようになったのだ。

大変だったこと

たくさんあるが、最も大変だったことは使える画像の枚数が限られていたこと。
これまでWebや小冊子でアプリの操作説明をしていたときは、とにかく画像をたくさん使っていた。その方がわかりやすいから。
画像が使えないとなると、必然的に文章で説明しなければならない。これが大変だった。
細かく書くとすぐに文字数オーバーになるし、簡単に書くと伝わらない。
動画だったら簡単に伝わるのになあ
と思いながら、粛々と作業をしていた。

もう一つ大変だったことは、執筆中にアプリやサービスの仕様が変わること。特にFlipgridはしょっちゅう細かい変更があるので大変だった。
機能の追加だったらわかるのだが、ボタンやリンクの位置が微妙に変わったり、表記が変わったりだったので、本当に困る。スクリーンショットを撮り直さなければならなくなのだ。

Amazon予約開始

9月になり予約が開始された。
優しい知り合いが予約してくれたおかげで
Amazonの学校教育一般関連書籍という大きなカテゴリ内のランキングで
ほんの一瞬だが1位をとることができた。

この画像は家宝として、墓まで持って行く予定。

発売

10月になり、見本が5冊届く。
PDFでデザイン案を見ていたが、実際に本になると嬉しい。
数冊書いたし、お世話になった人たちに献本。
書店での発売開始を待つ。

発売日になっても地元の書店に私の本は並んでいなかった。
まあ、青森だから遅れるんだよね、ジャンプだって発売日より遅いし
と、その日は諦めた。
しかし、次の日も、そのまた次の日も、私の本が書店に並ぶことはなかった。
Facebookでは知り合いが
届きました!
と写真を載せてくれていた。
でも、書店で見かけたという連絡は皆無。

やっぱり書店で自分の本を見たい。
そんな思いでパトロールを続けていたある日、
棚挿しになっている私の本を見つけた
すぐに店員に声をかけ、事情を説明し、写真を撮らせてもらう

たった1冊だが、そこには私の本があった。
撮影を終えて棚に戻そうとすると、優しい店員さんが、そのまま平積みにしてくれた。
翌日、また書店を訪ねてみると、私の本がなくなっていた。
棚を見ても見当たらなかったので、どうも売れたらしい。
陳腐な表現だが、嬉しかった。

その後、全国の知り合いから、書店で撮影した書影が届くようになった。

面陳
山積
面陳と平積のダブル

これから

本を出すことで、何か変化があるのではないかと期待していたが、基本的に何も変わらなかった。
相変わらず自己肯定感は低いままだし、地元での評価が変わることもなかった。
それでも、自分の目標というか夢を叶えた経験は大きい。
子供たちにも堂々と
諦めなければ夢は叶うこともある
と言える。絶対叶うとは言えないけどね。

先日、子供たちに、
次の夢は?
と聞かれたので。

売れる本を書くこと
めっちゃ売れたら早期退職して舞浜に住む

と言ったら、
え〜、やめないで
と言われた。
かわいいので、売れてもやめないことにする。
というか、この仕事、大変だけどめっちゃ面白いので辞めるわけない。


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