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関西電力は高浜原発再稼働のため高浜町議の会社を救済

高浜町議の会社を救済するため倉庫を高値で賃借

2023年10月14日号の週刊現代に『関電と原発マネー封印された「報告書」の中身』(取材・文 宮下直之)という記事が掲載されました。この記事にあるように、2022年4月20日、関西電力(以下関電)発表のコンプライアンス委員会(以下コンプラ委)の調査報告書(以下報告書)の内容は、ほとんど報道されませんでした。
週刊現代は関電コンプラ委が「調査報告書」を作成する際に使用した内部資料を入手し、生々しいやりとりを再現、いまだにこの元議員の会社の倉庫を関電が借り続けている事実を明らかにしました。
報告書では、A高浜町議員(当時)のA社として名前が伏せられいて、週刊現代の記事ではY議員のO社となっています。報告書に出てくる毎日新聞の2012年2月23日夕刊の記事「関電子会社 賃料2倍倉庫借りる 原発推進派町議から」では、議員は山本富夫高浜町議会議員(当時)で、議員の会社はOHC福井と報じられています。会社の事業に失敗し、多額の借金を抱えた山本議員は、高浜町幹部に相談、高浜町幹部が関電に救済を要請。閉鎖した工場を倉庫として関電の子会社である関電プラントが相場の2倍の賃料で借りているという記事でした。(*6にこの記事前半部分を貼り付けています)週刊現代の記事によれば、この高浜町幹部とは今井理一高浜町長だったようです。

相場の3倍以上で借りて議員の会社を救済

関電コンプラ委の報告書では、この倉庫を関電プラントが相場をはるかに超える賃料で借りることになった詳しい経緯や細かい金額を明らかにしています。相場は年に1600万円だったのに、2008年度以降は5520万円(倉庫管理業務450万円、倉庫賃借料5070万円)の契約を結んでいます。毎日新聞の記事の見出しでは相場の2倍とありましたが、実際は3倍を超える不当な高値賃借でした。八木誠原子力事業副本部長らが、この不当に高値の貸借契約を結んだ経緯をすべて承知していたことも報告書は明らかにしています。

新聞記者や国税局へ虚偽回答

毎日新聞の記者が関電に取材したのは、2012年1月でした。これに対し関電は「関係会社が行ったもので承知していないが、関係会社においては適切な取引先を選定し、適正な金額で契約していると考えている」と回答しました。これは原子力事業本部幹部と担当者ですり合わせた明らかな虚偽の回答でした。
 また2012年2月の毎日新聞の報道をうけて、2013年1月から大阪国税局が調査に入りました。その際、原子力事業本部などの幹部が、倉庫賃借契約当時の担当者からメールで事業の経緯を聞き取りました。

<<幹部への状況説明>>

*    A倉庫の山本議員から高浜町幹部に(支援の)お願いがあった。
*    価格は「金額ありきで何案か作成」され、原子力事業本部の幹部その他原子力事業本部役職員と山本氏で交渉が続けられた。倉庫を借りることで支援するという決定がされ、森詳介社長、森本浩志原子力事業本部長、八木誠原子力事業副本部長、その他幹部にも伝えられた。
*    元高浜町助役の森山氏にも説明、了承された。

<<国税への虚偽の説明>>

*美浜倉庫の取得価格に基づいて価格を決定
*賃料は原子力資材を保管する特殊性を考慮
*10年程度は借りるであろうということで、10年の償却期間を設定    
と国税局に虚偽の説明をした。

わずかに下げたものの相場に比べて3倍高い賃料を支払い続けた

国税局はこの説明を聞き「今回はこの倉庫を調査からはずすが、次回調査までにこの価格が更改されていなければ調査する」と注意喚起しました。これを受けて、関電経理室の担当者は原子力事業本部副本部長に賃料を見直すように伝え、関電プラントは、山本議員と減額交渉、2013年7月から、5070万円の賃料を4800万円へとほんの少しだけ減額、相場に比べて3倍高い賃料を支払い続けました。コンプラ委報告書によれば、倉庫の契約開始から10年となる2017年には不当に高い家賃契約を解消するため、2016年11月、原子力事業本部の原子力発電部門の保守管理グループは地域共生グループとTV会議を行いました。国税局に「10年の償却期間でこの価格設定になっている」と説明したのに、辻褄を合わせるためでした。
山本議員に対して、2017年度で賃貸借支払い期間が終了すること、2018、2019年度の予算には織り込んでないこと、支払いを継続するなら予算立てが必要であることを確認し、豊松原子力事業本部長が、右城地域共生本部長に取りまとめを指示しました。

高浜原発1.2号の再稼働の了解を

今回の週刊現代の記事の冒頭で、2017年9月4日、関電が倉庫賃料を相場程度の1620万円に減額することを山本議員に申し入れた際の生々しいやり取りが報じられています。
関電は「A町議への説明口上文」なるものをつくり、丁寧な対応をしながらも、国税への説明である償却期間「10年」を超えて市場価格を上回る賃料で契約を継続することは社内的にコンプライアンス違反となると申し入れました。
でも、山本議員は抵抗します。(以下コンプラ委員会の報告書)から抜粋「賃料が1/3になれば会社が倒産して議員活動は続けられない。自分が **(高浜町議会の役職)の時に議会で1、2号の了解を取るようにしたいと考えている」
老朽原発高浜1、2号の再稼働承認を交換条件として持ち出された関電は倉庫の家賃に変わる新たな救済策を考えました。

今度は土砂処分と運搬の仕事で利益確保

新たな救済策とは、土砂処分と運搬の利益で山本議員の会社を救済することでした。山本議員の関係会社が、ゼネコンから高値で仕事を受注、実際に仕事をする会社に相場の価格で丸投げ、山本議員の関係会社は何もしないで、処分土砂1立法メートル当たり1020円の利益を確保するというスキームをつくりあげました。このスキームをつくった後、倉庫の家賃を相場程度に減額、今回の週刊現代の記事によれば、今も関電はこの倉庫を借りているそうです。
このことは原子力事業本部長(豊松)、事業本部長代理(森中)及び副事業本部長(鈴木)も認識していた可能性が高いとコンプラ委の報告書にはあります。
(この土砂処分の丸投げスキームは同じ報告書にある「土砂処分問題」で、元高浜町助役森山栄治氏=巨額不正マネー受領事件の中心人物=の関係会社の吉田開発との間で行われたものと同じやり方です)https://note.com/mie629/n/n6337347dc88d

原発再稼働の意見書を提案、町議会で採択

高浜町議会は全国の原発立地市町村のなかでもいち早く、福島原発事故からわずか半年後の2011年の9月議会に、原発の堅持、再稼働、核燃料サイクル政策の堅持などを求める意見書を提案、渡辺孝町議を除く全ての町議の賛成で採択しました。この意見書の提案者は粟野議員で、山本議員と横田議員、廣瀬議員が賛成者でした。
「赤旗」(2012年2月23日)によると、粟野議員と横田議員の会社もそれぞれ3年間で3億8393万円と6363万円の原発関連工事を関電から受注していました。

汚い金が回らないと動かない原発

2018年11月6日の毎日新聞には、山本議員が会長をつとめる「関西電力原子力発電所立地町議会連絡協議会」が関電に原発40年運転延長の住民への説明を要請した様子が報道されています。山本議員から要請書を受け取っている関電社員は報告書に何度も名前が出てくる地域共生本部長右城氏です。お互い全ての事情を分かった上でやらせの要請。関電と立地町議会との関係はこんなに腐っていたのかと、また不正マネーが還流しないと動かないのが原発なのだと痛感しました。

関電がまともな会社になるには脱原発しかない!!

*1 肩書きはすべて当時

*2 2022年4月20日 関西電力コンプライアンス委員会報告書
https://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2022/0420_1j.html

*3 関電元幹部らを倉庫賃料を元町議に相場より3・5億円高く払った疑いで告発しましたが、不起訴になり、検察審査会で審査中でしたが、10月28日不起訴相当の議決が出ました。残念です!

*4 株主代表訴訟も提訴されています。第1回口頭弁論は12月8日(木)15時半から 大阪地裁 

*5 告発、裁判についての詳細は「関電の原発マネー不正還流を告発する会」のHPをご覧ください

*6 毎日新聞の2012年2月23日夕刊の記事「関電子会社 賃料2倍倉庫借りる 原発推進派町議から」はネットでの検索ができなくなっています。
以下、記事の前半部分です。
==関西電力高浜原発(4基)の地元、福井県高浜町の山本富夫町議(53)が社長を務める同町の不動産賃貸会社「OHC福井」が、事業に失敗して使途がなくなった工場建物を関電の子会社に倉庫として賃貸し、10年度までの4年間で1億数千万円を受け取っていたことが分かった。町幹部らが関電に働きかけて契約が実現し、不動産業者らによると、賃料は周辺相場の約2倍だという。
 山本町議は昨年9月、原発再稼働などを求める意見書の町議会提案に協力しており、“原発マネー”の恩恵を受ける地元議員が原発事業を後押しする構図がまた新たに明らかになった。
 意見書は、粟野明雄副議長(62)が「提案者」、山本町議ら3人が「賛成者」となり議会に提出され、福島第1原発事故後、全国で初めて可決された。これまで、粟野副議長経営の会社が関電の原発関連工事を5年間で133件(計約7億円)、受注していたことが判明している。==

*7 週刊現代 ネットで公開された記事
【内部資料入手】高浜原発再稼働のウラで地元有力町議に総額5億円ものカネが…!関電が封印した「報告書」の衝撃内容

【内部資料入手】動いたカネは5億円!高浜原発再稼働のウラで……関西電力と地元有力町議のドロドロすぎる関係


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