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次女が脳腫瘍になった⑥手術の日

前日の夜も消灯してから、寝て起きたら手術だから怖いと泣いていた次女。

朝は電気が付く6時前に起きて、保育園の先生からの応援動画を、じっと観ていた。
何を考えていたのかな。繰り返し繰り返し観ていたのを覚えています。

全身麻酔なので朝食はもちろん取れずでしたが、特に食べたくて泣くような事もなく、8時少し前に病室を出る予定だったので、7時半には下着は脱いでT字帯をまわしのように巻き、普段上はキャミソールを着せているのが、病衣の下は何も着ないでとの事で、寒そうだなと思いつつ、2人でとにかくT字帯の出来栄えに笑ったり、恥ずかしがったりと、すぐ起こることからちょっと目を背けて、その時を楽しんでいました。
でも2人とも心の深いところでは錘があるような重さを感じていたと思います。

7時45分に、担当看護師さんがお迎えに来てくれ、看護師さんと手を繋ぎ歩く次女。
その後ろに私が歩いて。手術室まで向かいます。
手術室は多分何室もあって、通された場所はかなり物々しい。看護師さんも手術室担当の方達だから、優しく声をかけてくれたけど、次女はその雰囲気にびびってしまい、足にぎゅーっと力を入れて立ち止まる。
「やだやだ!行かない!」
私はぎゅっと次女を支えてしゃがみ「今逃げたらずっと家には帰れない。ここで頑張って必ず家に帰ろう!」そんな事を伝えて、、、悩んだ次女は渋々手術台に寝そべったんです。

もう、この時の次女の切り替えと頑張りは一生忘れないと思いました。

麻酔科の先生が挨拶してくれ、麻酔の味を次女に聞いて「みかん味だねー、少し吸ってみて」
「やだーー!おいしくない!!」って言ったかと思うと、すーっと麻酔が効いて眠ってしまった。
それまで、手を握っていたんです。でも離さなければいけなくて、後ろ髪ひかれつつ、そこにいた皆さんに宜しくお願いします。と伝えて手術室を出ました。

手術は麻酔をしてから、1時間は何処から攻めていくかを話し合って9時頃から開頭、6時間くらいの予定だけど夜になるかもしれないと伝えられていました。

主人は朝、自宅にいる子達を見送ってからこちらに向かうので着くのは昼くらい。
それまでは1人でいました。自分の朝ご飯は院内コンビニに行ってみたけど何となく気が向かず、でもスタバに行ってドリンクは買った。

病室向かいのお母さんが、落ち着かないだろうと気を遣ってくれ、Switchのあつ森で欲しいものあげるよ!と誘ってくれた。次女もやっていたけど、進めるのが苦手で私がフォローしている話をしていたのだ。
その優しさが嬉しくて、主人が来るまでの時間のうち、少しだけ気が紛れたのがとても印象深い出来事でした。

主人が着いて、お昼は2人とも食べてとしているうちに、戻ってきたら個室に入るので部屋移動の荷物整理をする事になり、落ち着いたらまたこの病室に戻れると聞いて安心しつつ、荷物を2人で移動していました。

夕方、その荷物移動の最中に「終わったようなので手術室まで迎えに行ってください」と言われて、2人で早足で向かう。が、手術室には居らず(笑)
また急いで病棟に戻ったらすれ違っていた事が判明。手術室からCTを取って病棟に戻ってきたらしい。
病室の前で運ばれて来た次女を覗き込むと弱々しい声で「ママ〜」と。

声がでてる!

もう涙が出そうになって我慢しながら「ここにいるよ〜」って手を握って。すぐ横にいた脳外科の執刀医(最初から今も脳外科の主治医)が「お母さん、成功したよ!無事に終わったからね」と言ってくれたことで涙腺が崩壊。

次女は看護師さんにお任せして、私達はIC室にて、手術の話を聞くことに。

脳外科の主治医、小児科の主治医、担当看護師さんとお話しを伺った。

・手術は成功した。
・開頭前の診断の通り、速報診断では良性腫瘍
 *この時は良性腫瘍と聞いて安心したものの、後に「低悪性度」という分類だと知るのはもう少し先になります
・ただ、病理検査にだして病名は確定することになる
・病名がはっきりしたら、化学療法が始まる予定
・頭は普段よく動かさない(お腹とかの様にずっと動かない)場所なので、開頭しても痛みはそんなに酷くないと思う。動かないのは良く無いので早めに起き上がる、食べれるようになったら食べる、動くをお願いしたいと。

先生の話が終わった後の次女

この時の事は、とにかく良性だった、良かった、次女頑張った。声が出た。

そのままの次女で帰ってこないかもしれないリスクもある事が分かっていたので、不安だったけど、良かった、という気持ちだけだった。

麻酔が覚めてきて、何度も水を飲みたいと言うので、唇に少しだけ乗せてあげたりした。
主人はこの日は近くのホテルを取っていたので面会時間ギリギリまで居てくれました。

夜通し、度々声を掛けられたけど、眠くても対応できた。ありがとう。
このまま帰ってきてくれて。頑張ってくれて。

その気持ちを沢山沢山伝えたいと、心から思いながら次女を眺めていた。

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