見出し画像

助産師として抱えているモヤモヤ

今日は、自分の今のキャリアについてモヤモヤしていることを、この場を借りて棚卸したいと思います。

私の持つ資格と過去の働き方に対して思うこと

さて、私は名前の通り「助産師」の免許を持っています。
細かい話をすると、助産師をするためには看護師免許も必要なので、看護師免許も持っています。
そして、ついでに保健師の免許も持っています。

助産師として、病院で働いたのは新卒からの5年間で、その後は縁あって一般企業で働いています。

「助産師です(やってました)。」と言うと、
「えー!そうなの?!素敵なお仕事ね!!」
「何で辞めちゃったの?勿体無い!」
「手に職じゃないの〜!もう病院に戻らないの?」
とよく言われます。

そんな仕事を、なーぜ辞めてしまったのか...。

そこには、日本の医療界の闇(勝手に言ってるだけ)があります。

他業種の方でも、何となく"医療職って大変そうだなぁ"というイメージはあると思います。
実際、働いている人は命に向き合っているので、もちろん大変なことは覚悟の上で、医療の現場で働くことを選択しています。

しかし、それを上回る大変さも多く、私は"人を助けたいと言う気持ちの搾取"だと思っています。
医療職者、特に病院勤めの方の場合は大半の人が
"人助けをしたい"
"命を救いたい"
"誰かの為に何かしたい"
という気持ちを持っています。

実際働いている人や管理職は、誰も私のように言うことはないと思いますが、この”人のために精神”が回り回って”(人のためなら何でも)やるのが当たり前精神”に変わってしまっている、何なら自分のプライベートを犠牲にしてでもやるべきことと置き換わってしまっているのが、医療界のよくない所だと思います。

病院時代は、勤務時間外に病棟で使用するマニュアルや勉強会資料を作成する時間を確保するのが当たり前でしたし、夜勤明けだったとしてもその日の夕方開催される病棟勉強会・カンファレンス等に出席するのも当たり前でした。
何か新しい・稀な症例のOPなどがあると、全く出勤日ではないのに出勤してスクラブを着用し、普通の勤務者と変わらない姿で見学したり、見学してると「あれやって、これ手伝って。」が生じて、いつの間にか働いていたり…。

もちろんこれらには、全く時間外勤務等はつきません。全て、自己研鑽という素晴らしい言葉で片付けられます。

大学生のアルバイト時代、スターバックスで働いてSSVもしていた私としては、衝撃の働き方でした。

こんな毎日が続く上に、女社会の中で色々と仕事と関係ない人間関係にまで労力を割く日々。そこに、本業である看護でもハイリスクのママや赤ちゃんと濃密に接する中で、精神的にこちら側が辛くなることもある。
素敵な先輩や頑張り屋の同期・後輩が、どんどん辞めていくのも無理はありません。

私も最初はこの環境を変えたくて、1年目の教育担当師長との面談時に「将来のキャリアはどうしたい?」と聞かれて、「マネジメントに関わってもっと働きやすい、プライベートと両立しやすく、精神衛生上も問題のない職場を作りたい。」と話しました。
「具体的に、産科病棟はどんなことに困っているの?何が原因だと思う?」と聞かれたので、私から見た病棟の現状や課題等もお話しして、何かサポートしてくれるのかとも思いましたが、結局は「そうねぇ、助産師さんのことはよくわからなくて、私じゃ口出しできないから…。」と言われてしまいました。
この時の気持ちを正直に言うと、「あ~、この病院終わってんな。」です。
問題を認知していて、1年目の私でも改善が必要と感じることでさえ、マネジメント側に立つ人間がハナから改善に向けて動く気がないのです。

そんなこんなで、私も素敵な先輩・後輩・患者さんに支えられながら頑張ってきましたが、もっと普通の働き方をしたい・プライベートも大事にしたいと思い、転職をしました。


現在の助産師としての私

さて、医療職の転職と聞くと、「病院変えただけでしょ?」と思う方も多いかもしれません。私の場合は、縁あってとある一般企業に転職しました。
しかも、何にも関係ない業種ではなく、「助産師募集」をしていた企業なので、これまでの経験や知識も活かせるところです。

新しい職場に就職してもう5年目となりましたが、こちらでは病院で助産師をしているのでは決して経験できない「普通の会社員」としてのスキル・マナーを身に着け、素敵な上司に恵まれて様々なことにチャレンジさせていただいています。

待遇も申し分なく、勤怠管理もしっかりしていて、俗にいう「ホワイトな会社」です。
もちろん、仕事に必要な勉強は勤務時間内にOKです。

ここまで聞くと、「理想通りの会社じゃん!よかったね!」「変な人間関係もなくて、残業もなくて、ありがたいね!」と思うでしょう。
私も転職後すぐはそう思っていました。

しかし、仕事に慣れてきた3年目頃から、「私の助産師免許は、一体どこに活かされているんだろう??」と考え込むことが増えました。
直接お母さんや赤ちゃんに接してケアをすることもなし、相談を受けたり指導を行うこともなし。
そんな生活に、物足りなさを感じていました。

助産師としてどう生きるか考える

物足りなさを感じながらも、ぬるま湯でぬめ~っと過ごす毎日でしたが、出産をしたことが契機となり、私の助産師キャリアについて考え始めました。

私自身は、知識だけはある母親だったので、今まで教科書で習って、実際のお母さん赤ちゃんに行っていたケアを追体験しているような感覚で、育児自体は大変なこともありますが発見も多いワクワクするものでした。

しかし、同時に約半年育休を取得した夫は、てんやわんや!
「子育てをちゃんとしたいし、子どもの成長は一瞬だろうから自分で見届けたい。」と意気込んで育休を取り、生まれる前からたくさん予習して臨んだ新生児からの育児でしたが、、、
「子どもの泣き声にイライラしてしまう。仕方ないことって頭では分かってるし、可愛い我が子に対してイライラしてしまう自分が情けない。」と、まるで産後すぐのママ達のようなことを言うのです。

これは、一大事だと感じました。
同時に、こんなどうしようもない気持ちを、世のママ達の多くは産後すぐの体も心も非常事態の頃から一人で抱えているのか、と改めて思い知りました。

このどうしようもない気持ち、夫はきっと私が(多分)良き相棒で、一緒にずーっと子育てに対応して(戦って)きたから、吐露できたんだと思います。
専門職であることも少しあるかな?と思いますが、何度も何度もしつこく私が聞いて、やっと話してくれた彼の気持ちでした。


そんなに誰にでも話せない気持ちを、世のママはふらっと来た新生児訪問の担当者に気軽に話せるでしょうか?

一緒に戦ってくれていないパートナーに、理解してもらえるでしょうか?
いや、理解を求めようとするでしょうか?

ここに対して、助産師として何かできないかなぁと、育休中の今ずーっと考えています。


私がアプローチしたい子育ての課題

まだまだ粗削りなところが多々ありますが、私がどうにかして変えたい子育ての課題は以下の2つです。

①妊娠前から産後まで、ママや家族とずーっと走り続ける伴走者がいないこと
②男性の育休取得が、形骸化していること


①について
先述の通り、妊娠前は不妊治療でも受けていない限り医療従事者とつながる機会はなく、妊娠中から出産・産後1か月くらいまでは出産する病院の医師・看護師・助産師、その後は新生児訪問に来る担当者や健診の担当者など、接する医療従事者や施設がコロコロ変わります。
そのため、人によって話すことが変わったり、きちんとこれまでの状況を把握できていないこともあり、ママや家族に寄り添った切れ目のないケアは難しい状況です。
ココに、何か切り込む必要があると感じています。

②について
最近、産後パパ育休という新しい制度ができたり、男性の育休取得率を公表する制度ができたりと、男性の育休取得を制度上は奨励していますね。
しかし、実際は制度に対して雇用側が追いついておらず、未だに取得を渋られたり、取得するならキャリアを諦めるよう暗に言われるケースもあると、様々な特集記事・番組でも耳にします。また、育休取得率の公表は取得期間に限らないため、実際に長期取得をする人は少ないと思います。
あと、せっかく育休を取得しても、家事育児に参画しない男性もいると聞きますね。
これらのことに関して、男性個人に対して何かアプローチしても難しいと思うので、育児休業を取得する場合のオペレーションのモデルケースを雇用側と一緒に考えたり、育児の指導を今までのママありきではない形で男性に対して行う必要があると感じます(もしかしたら家事の指導も?)。実技的なものもですが、マインドやモチベーション的なところまで切り込めたらいいなと。


私がこれから積み重ねようと思うこと

この課題に関して、今の私ではすぐには何一つ太刀打ちできません。
できることと言えば、近所のおばちゃんとして話を聞くくらいですかね。。。

私にはまだまだ解決につなげる武器がありませんので、まずは色々なインプットをしていこうと思います。
資格を取ったり、同じように課題を感じている助産師や他業種の方とコネクションを持ったり、いざ何か動き出すときにノンストップで形にできるよう基本的な経営等の知識をつけたり、ママや赤ちゃんをケアする技術を身に着けたり、、、。

あとは、自分のプライベート・家族のことも含めて、キャリアを考えていきたいと思います。
今の仕事と「やりたい」気持ちにどのように折り合いをつけるのか、家族計画はどうするのか、どこに住むのか、などなど考えることが山積みです。

とにかく今は、ミルフィーユのように、考えたり身に着けたことをどんどん積み重ねて、層を厚くしていこうと思います。

以上、とても長くなりましたが、私が考えていることの記録です。
もし読んでくれた方がいらっしゃったら、長々お付き合いいただきありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?