死亡・相続ワンストップとマイナンバー
2023/10/17の朝日新聞(多事奏論)に載っていたこちらの記事。
記者が、親が亡くなったときのさまざまな手続きがいかに大変だったか、そしてそこからタテ割り行政を生活者視点で見直すことを指摘している。
記者も記事中で言っているように、今は「年150万人が亡くなる大相続時代」であり、このような大変な手続きを経験しなければならない人は何百万人もいる。「死亡・相続ワンストップ」の話は国でも以前から出ている話なのに一向に改善されないのはなぜなのだろう。
記事中にはマイナンバーカードの話がちらっと出てくるが、この「ワンストップ」はマイナンバーカードの役割ではなくマイナンバーの役割である。マイナンバーは社会保障のためには使ってよいことになっている。いや、使ってよいどころか、使わなければならない。ここがマイナンバーの本来の活用場所だからである。
記者はあちこちに出向いて、たくさんの書類に何度も同じようなことを書かされたわけだが、国のデジタル・ガバメント実行計画では、一回書いたことは何度も書かせないという「ワンス・オンリー」が謳われている。しかし、この「ワンス」さえ限りなくゼロに近づけるべきだと私は思う。
記事中には「国と自治体が連携した丁寧な案内が必要」と書かれている。だが、本来なら国民による手続き自体が不要なはずである。死亡届のあり方すら見直すべきだ。なぜそんなものを届け出る必要があるのか。医師が死亡を確認しているのだから、医師が「マイナンバー123456789012の者は死亡」と伝えればよいことである。あとは情提ネットで関係機関が共有すればよい。
国のデジタル・ガバメント実行計画の初版が発表されてからもう五年も経つ。にもかかわらず、コネクテッド・ワンストップは遅々として進んでいない。死亡・相続ワンストップだけではなく、介護ワンストップや引越しワンストップも進んでいない。
コネクテッド・ワンストップのためにマイナンバーカードを活用するのは悪いことではないが、先ずはマイナンバーの活用が先である。マイナンバーカードは国民の手続きを今までよりほんのちょっと便利にするものである。求められているのはそのような小さな便利ではなく、マイナンバーを使った根本的な改革である。
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