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突然、胃がんを告げられた20年前のmidori-yaのはじまりのはじまり

私たちがどうしてmidori-yaをはじめようと思ったのか・・・

そもそものはじまりは、結婚して1年も経たない2月頃の出来事からでした。同じ会社に勤めていた私たちは、結婚後夫はそのまま会社勤め、私は退職してパートで別の会社に勤め始めていました。パートの仕事も結構、忙しくて毎日残業。夫も帰ってくるのは夜遅くでしたが、休みの日は2人でベランダガーデニングやなぜか見よう見まねで始めたリース作りを楽しんでいました。今、思えばその頃の楽しかった経験から現在の「花のmidori-ya」へとつながっているのだなと思います。当時は、お花屋さんになるなんて思ってもいなかったのですが。

京都生まれの夫が、「会社は大阪でも住むのは京都がいいな。」と言うので初めの数ヵ月は、京都御所のすぐ近くに。その後、畑付きのハイツに引っ越しました。(庭付きを探していたら畑付きが見つかったのです!)ベランダではお花をたくさん育てて、畑では畑好きの夫の指導のもと、野菜を育て始めていました。夫は、なぜか大学生の頃に自分で貸し農園を借りて野菜を育てていたというぐらいの畑好き。畑が借りられない時でもプランターで野菜を育てたりしてたそうです。

今、振り返ると仕事も忙しかったのによくあんなに畑とかベランダガーデニングとかもしてたなぁーと思いますが、ふたりとも好きなことだったので日頃の疲れも忘れて楽しめていたのだと思います。そんな感じで日々、忙しく過ごしていたある日のことでした。

パートの仕事から帰った私は、留守番電話が入っているのに気づきました。夫は、まだ帰ってきていないので一人で用件を確認しました。

電話は、畑付きのハイツのすぐ近くの個人病院からでした。そう言えばこの前、夫がこの病院に行った時に「胃カメラのすごく上手な大病院の内科部長の先生が月に1回、来てくれるからぜひ胃カメラしたらいい。」と熱心に勧められて、最近検査してないし一応やることにしたと言って胃カメラをしたんだった。忙しくてその後、行ってなかったと思うけど、なんやろ~?

「○○病院ですけど、この前の検査の結果がよくなかったのですぐに来てください。できるだけ早く。」となんだか乱暴な口調でメッセージが入っていました。「検査の結果がよくなかった?」何それ?検査の結果がよくなかったって、留守電に入れる?非常識じゃない?何このストレートな言い方?ちょっとおかしくない?この病院、大丈夫?

夫から、病院の先生がちょっとメッシュとか入れてて医者っぽくなかったと聞いていたことも思い出してきて、ますます「何?この病院?よくないってどういう意味?」と夫が帰ってくるまで不信感を募らせていました。帰ってきた夫に留守電を聞いてもらうと、夫も「よくなかったって、普通、留守電にこんなメッセージ入れるかな?検査の結果、聞きに来ないから早く聞きに来させようとして言ってるんちゃうかな。」と。そうやんね。きっと、そうやわ。それにしても、そんなおどすようなメッセージ入れるのどうかと思うよね。

仕事が忙しくてなかなか休みが取れず、検査の結果を聞きに行く時間がなかったのですが、なんとか休みを取って病院に行ったのでした。帰ってきた夫は、「なんか胃ガンやとか言われた。早期やから、切除したらきっと大丈夫やから一刻も早く手術しないとあかんって。とりあえず、明日胃カメラをしてくれた大病院の内科部長のところに直接行くようにやって。その先生から説明してくれるらしい。」留守番電話に不信感を持っていた私たちは、胃ガンだと告げられても突然のことに半信半疑でした。第一、ガンの告知ってもっと微妙なもので告知するかどうかの相談とか普通はあるんじゃないのか・・・?と思ったり、でも検査自体は専門の先生が胃カメラしたものを検査会社に出しているわけだから正確だろうし、何より一度行っただけの病院の先生がわざわざ嘘をつく必要はないし。そう考えると、やはり現実として受け入れるしかないし、その病院に行って説明を聞くしかなさそうだなということになりました。一応、夫が昔の友人で現在内科ではないけれどお医者さんになっている人などにも連絡をとって、こんな風に言われたと説明すると、「その説明自体は重く受け止めた方がいいと思う。大きな病院も信用できる病院だしそこの内科部長の検査やったらそんな適当なことはないと思う。早く行くのが一番いいと思うよ。」とアドバイスされ、段々本当に胃ガンなのか、それなら早く病院に行くのが一番だし、それしかないし・・・と実感してきました。

検査をしてくれた大病院の内科部長のところに話を聞きに行くと、「たまたま検査してたまたま見つかるなんて奇跡みたいもんですよ。特にあなたのガンは進行の早いタイプのガンだから、すぐに検査入院してなるべく早く手術しなければいけません。」と言われたそうです。「仕事が忙しくてなかなかすぐに休みも取れないのですが、すぐにってどれぐらいすぐですか?」と聞くと、「明日、入院してください。それから2週間はいろいろ検査しないといけないので手術は早くても2週間後ですね。」「明日?明日って急に言われても、仕事も立て込んでて。」「すぐ入院して、検査して手術しなければ進行が早いタイプなんだから命にかかわるんだから。入院の手続きは聞いてください。」と有無を言わさぬ態度の先生だったそうです。

それから私たち自身が、半信半疑なのに両方の会社に連絡したり(私もパート先をその日は休まないといけなかったので)、両方の親に連絡したり、入院の準備の買い物をしたり・・・よく思い出せない程、大変だったような気がします。いろんな用事を済ませながら、ずっと「きっと大丈夫。早く見つかったんだから、元気になる。ガン細胞は免疫をあげると弱るみたいだから、笑った方がいいよ。ニコニコ菌でニコニコやっつけられるから。(と不安でいっぱいの夫に無理矢理ニコニコ顔で接近してニコニコさせようとしたり)・・・

大変でした。入院の準備とか会社への連絡とかそういうことは、ほんとに大したことではなくて、やっぱり一番大変だったのは、不安が不安を呼んでどんどん不安を増殖させている夫への対応でした。少しでも気持ちが軽くなりそうな方に持っていこうと、楽しい話題を探したり、ともかく今は考えてても解決しないから、検査してはっきりとさせて元気になるようにしていくしかないと何度も話したり、やっと少し楽しそうになったと思ったら・・・また不安でいっぱいに後戻りして、ともかくよくなることを何でもやっていこうって話をして、またやっと少し楽しそうになって・・・の繰り返しでした。

そうして夫の突然の大病院への入院の日がやってきました。



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