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めだかの「ごんごろ」に教えてもらったこと。

うちにはメダカがわりとたくさんいる。夫がお魚ずきで釣るのも育てるのも好きでメダカと金魚とベタを飼っている。

メダカは気づいたら次々買ってきたりして去年ぐらいからは子どもがたくさん生まれてくれるようになって増えてきた。今では大人用のメダカ鉢が2つ、子ども用が1つ、赤ちゃん用が1つある。せっかく生まれてきた赤ちゃんメダカがみんな大きくなれるように毎日水を少しずつ変えたり、卵が産み付けられた水草はすぐに赤ちゃん用に移して大人メダカに食べられないようにしたり、ちょこちょことお世話している。夫が主にお世話をしているのだけど、水を変えたり餌をやったり夫の指示の元、私もお世話している。

毎日毎日見ていると、メダカにもいろいろな個性があるなと思う。うちではいろんな種類を分けずに飼っているのでいろいろなタイプのメダカが生まれてくる。ミユキメダカとかスーパーブラックとか楊貴妃とか市場価値の高いメダカもホームセンターで一般的に売られているヒメダカも全部一緒。時々、「珍しい種類のメダカだけ分けて飼わないんですか?」と聞かれるけど、いろいろな種類が混ざって泳いでいる方が楽しそうだし、いろいろ混ざって子どもが生まれると目まで黒い黒パンダメダカが生まれたり、背中だけ透き通っているメダカが生まれたり、いろいろ楽しいと思っている。

そんな中で去年生まれたミユキメダカとダルマメダカの子どもと思われる透き通っていて背中のところが青く光っているけど体はちょっと丸いメダカがいた。丸くてごんごろしているので「ごんごろ」と名前をつけた。「ごんごろ」は生まれつき背中が曲がっていて大きくなれるのか心配だった。でも今年の春頃からぐんぐん大きくなって元気に泳いでいた。

5月頃、ごんごろのお腹が少し丸くなっているようだなと思っていると卵が見えた。「ごんごろはメスだったんだ!お母さんになるんだ!」大きくなれるか心配だった「ごんごろ」がお母さんになるなんて。他のメダカたちもみんな大きくなっていてお母さんメダカになってたくさん卵を産んでくれていたので、みんなすごいなとは思っていたけど、曲がっている背中を苦にもせず楽しそうに泳いでいる「ごんごろ」がお母さんになるのは、やはりとてもすごいことだと思った。

「ごんごろ」は背中が曲がっている分、他のメダカより短くてすっとターンできる。他のメダカがすいすいっと泳いでいるところをすっとターンして餌を食べる。特に赤虫が好きなようで結構大きな赤虫をすっとターンしてくわえにくる。大きすぎて口に入らず、口からはみ出したまま泳いでいてはみ出しているところを他のメダカにとられたりもしていた。大きすぎてくわえることすらできない大物もあきらめず何度もかじってはターンしてやっと口の中に入れて、それでもすぐには食べきれず何度も口から出してはかじって、くわえながら泳いでようやく全部食べ終わるということもあった。

小さいのによく食べるなと感心していたら「お母さん」になっていたんだ!もうすぐ生むのかなとしばらく見ていたら、ホテイアオイの株元にさっと体当たりしていく。1度、2度、3度。体当たりしていたところに卵が3つ。

「ごんごろが卵を産んだ!」

たまたま夫と私と2人とも見ていた時に。卵を産み付けるところを目撃したのは初めてだった。あんな風に懸命に体当たりして産み付けるんだ・・・

その後も「ごんごろ」はたくさん餌を食べ元気に泳いでいた。卵も何度も見かけたので何回も産んでいたのだと思う。息子にも「ごんごろ」を紹介すると「へ~。かわいいな。」と言っていた。

長い梅雨が明けかけた頃、気温が上がってきてメダカたちの動きが鈍くなった。メダカは5月頃の気候が一番調子がいいみたいであまりにも暑すぎると弱ってしまうようで、雨が上がったら日除けのヨシズが必要かなと思っていた。「ごんごろ」もやっぱり少し弱っているようでいつものようにターンせず、ボーッと浮いているようだった。でも餌は食べていたので「なんとか大丈夫かな。」と思っていた。

その2日後、朝餌をあげに行った夫が「ごんごろが死んじゃった。」と。見に行くと横になって浮いていた。透き通っていてすごくきれいだった。ボールに浮かべて、夫が「ごんごろにお花をあげる」とキンギョモのお花と水草を一緒に浮かべてあげていた。2人でじっと「ごんごろ」を見ていた。

「こんなに背中曲がってたんやね。」「なのにいつも元気そうで楽しそうに泳いでたよね。」「あんなにいっぱい卵も生んで。」「ほんとにえらいなぁ。」

生まれた時からたまたま背中が曲がってて、でも「ごんごろ」はきっとそんなこと気にもせずただただ大きくなってお母さんになって、最期は疲れて「こてっ」と死んだんだろうなと思う。いつも楽しそうに泳いでいるように見えた。きっと楽しく泳いでいたんだろうと思う。

私たちも「ごんごろ」のように毎日楽しく過ごして、最期は疲れて「こてっ」と死ぬことができたらいいなと思った。いろいろ悩んだり、煩わしいことがあったり、自分ではどうしようもできないことがあったりする毎日だけど、今、私たちは生きている。生きている間は楽しく生きていきたい。自分らしい楽しさで。

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