SOR環境pickレート終了時点の話
2pickSOR環境8期後半戦が終了した。まだレート杯やJCGといったアディショナル後の環境研究・発揮の場は残っているが、大きく一区切りがついたタイミングであると思う。
前期に引き続きレートに取り組み、個人としてはある程度納得のいく結果が得られた。ただどうにもレート翌日の今の心境は晴れやかなものではない。
理由ははっきりしている。今期のpick環境が複雑すぎたせいだ。
環境初期のチャレンジマスター獲得の段階でそれは察していた。
当時のアリーナは今期最強のアーキタイプであるラービショップが4・5勝帯で跋扈し、それに対抗できるようないかれた水準のデッキが組めなければ、まず5勝はできなかった。それはデッキ構築の段階でデッキの限界が実際の勝利に直結することを意味していた。
生半可な85点のデッキでは完璧なプレイをしようともまず勝ちきれなかった。金虹・N枠の質が向上し、よりゲームを左右するようになり、銅銀もまたインフレの結果、先手が先に高PPをプレイできるアドバンテージで先行したまま押し切るゲームが増えた。
アリーナは苦行だった。自身のプレイが活きることはほぼなかった。せいぜいそれが感じられたのはリリース初日くらいで、気づけばプレイヤーである自身がコントロールできるものはミスをしないことだけだった。そしてそれは後で振り返っても5勝することに大して役に立ったとは思えないものだった。
試行錯誤を重ね、ミスを減らし、運が向いたとき、勝利を逃さないこと。これはこの手のゲームのおきまりのようなもので今さらプレイヤーのできる努力の意義を否定しようというつもりはない。
ただ取り組んだ努力や時間の量に対して、あまりにも今期は得られる成果は遠く、それらに見合った成果を得られるのだろうか、という予感を、環境初期、チャレマスを獲得した時点で私は感じていた。今期pickに取り組むには相応の覚悟がいる。他人に勧められるものではないぞ、と。
しばらくして8期前半戦が始まった。レート環境はアリーナに比べれば天国だった。ビショップ一強のアリーナとは違い、今期は多くのリーダーが使用に耐えうるものだった。ゲームが始まった時点でウィッチか、ロイヤルか、といった前期から比べれば試行錯誤の幅も大きく、これは今期の魅力的な点だと思っている。
レートはBO1の一本勝負である以上クラスごとの出力はならされ、異常なデッキ達を前提に戦う苦行とは異なり、やりがいがあるものだった。
が。
レートをこなしていくうちに今期のpick環境、その全貌がはっきり見えるようになっていった。インフレした金虹・N枠によるケア不能の噛み合い、先行アドバンテージの明らかな高さ、戦えるリーダーが多いが故の各リーダー別のカード・先手後手別のゲームプランの把握・研究の必要性…
最初期のアリーナから私は遊んできたが断言できる。今期の2pickは過去一で複雑な環境だった。一強、二強が続いてきた2pick環境において今期はトップクラスに対抗できるクラスが十分にあった。これは先に述べた通りこの環境最大の魅力であるいっぽうで、最大の障壁となった。
はやい話が実力を得る過程が滅茶苦茶きびしい上で、その実力が反映されるかはかなり運に左右される環境だった。十分な時間・研究を割ければいつもどおりある程度の結果が得られるのだが…
オーバーに例えれば、これまでのpickレートに取り組む難易度が中高の期末テスト程度だったとすれば、今期のpickレートは私大二次試験である。これまでとはわけが違う。
これはpickを取り組むプレイヤー内に分断を生みだした。元からこの環境に取り組めるだけの実力を持ち合わせている層、比較的運よく短い回数でブレをつかみ高レートを手に入れた層、時間的問題で研究量・試行量が間に合わなかった層、そもそも今期に取り組むには実力が及ばなかった層etc…
これらすべてのレートに取り組んだプレイヤーがこの環境の複雑さ・運に翻弄され、普段のレート以上に共通の経験を得ることが困難であったと感じる。チームに所属し、ある程度共通の成果・見解を求める者にとって、これは厄介なものだといわざるを得ない。いずれのプレイヤーも覚悟をもってレートに臨んでいるのだから気にすることではない、と言えるのかもしれないが…
これが今私が感じている晴れない思いである。人によってはSOR環境はいつもどおりの2pick環境であったろうし、結果が棚ぼた・あるいは伴えず、とブレた環境であったろうし、中にはトラウマで思い出したくない、無視したい環境であったと思う。
普段から個々の実力によって得られる体験は異なるものであるが、今期はそれがより鮮明に、そしてより実力(リソース)を求められる環境であった。
普段ならW最強!Nm最強!と雑な共通認識で連帯感が得られたが今期の複雑さはそこに留まるものではなかった。実力的・時間的問題はつねにつきまとう問題であるがゆえに、今期を特殊なケースとして完全に無視・あるいは煙たいものとしてまとめることには抵抗がある。(一応取り組んでいくらか成果をだしたつもりでもあるし
来期以降の2pick環境が同様の複雑さをもつかはわからない。しかしSOR2pick環境という、独自のpick環境に取り組んだこの経験が、個人の経験を越えてより活かされるにはどうすればいいのか、私はまだ答えを見つけられない。
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