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漫画、難しすぎるだろ

 人生で初めて漫画を描こうとしてみた。
 といってもそんなに大層なものではない。数ページの二次創作漫画。ネットによくある、らくがきの延長線みたいなやつだ。

 ここにいろいろ書いているのだが、最近本当に16bitセンセーションというアニメのことしか考えられなくなっていた。こんなにどっぷり一つの作品にハマるのは久しぶり。ずっとインターネットオタク女をやってきているけど、ここ一年はあまり心にダイレクトアタックするようなものがなかった。なのにある日突然このアニメに脳を焼かれてしまったのだ。
 それで、もうやめたとか言っていた絵を急に再開して最近はずっとこのアニメの落書きをしていた。ほぼ毎日、30分~1時間くらいかけて落書きする。気に入ったらインターネットにあげたりするけれど、基本的には誰に見せるでもなくただひっそり描いているだけ。こんなにハイテンポで絵が描けたのか、自分…と我ながらびっくりする。実際、この7月上旬だけで普段の数か月くらいの分量の絵を描いていると思うよ。
 お恥ずかしいことに私は、今まで二次創作をちゃんとやったことがなかった。小説は中学生の頃に今読み返すと黒歴史でしかないドリーム小説を書いただけ。イラストは低頻度で好きなキャラの落書きをしたり、うまくいったら年4、5回仕上げをしたり。そんなしょぼいオタクだったのが急に一つのアニメのキャラたちを大量に描くようになってしまった。
 たくさん描いた感想としては、同人誌を出す気持ちが少し分かった。
 私は同人誌を何冊か持っているけど、出すのは正直よく理解できなかった。オタクという生き物がなんであそこまで衝動でものを作れるのかわからなかったのだ。だって同人誌って漫画だとネームから作って仕事とか人によっては育児とかと闘いながら必死に作るわけでしょう。小説だとこれはもう薄い本じゃなくて厚い本だろみたいなものがたくさんある。しかもしっかり面白くて、いちオタクとして素晴らしい!買ってよかった!となるものばかりだ。だから自分が書く側に行くことはあまり想像したことがなかった。
 でも、ここのところ私は何で描いているのかもよくわからないままずっと謎の落書きを量産し続けている。もはや体が16bitセンセーションの絵を描くように改造されてるんじゃないだろうか。そう、12話でケースの中に入れられていたあの数多のクリエイターたちのように…。

16bitセンセーション、お前も見ないか?

 そんな感じで、ずっと絵を描いているとこれもうちょっと清書したら同人誌にお出ししてもいいかも…。くらいの気持ちにはなってくる。っていうか人生で一回くらいは出してみたいよね。薄い本出すの、普通にオタクの夢すぎる。

 で、ここからが本題。今日人生で初めて漫画を書こうとしてみた。今までの落書きくらいの軽いノリで。
 とりあえずネームを作ればいいことはわかる。コマ割りとセリフ、それとキャラの軽い下書きだけ先に置いておくやつだ。
 ここでまず問題が発生する。そもそもフォントがわからない。漫画家はいったい何のフォントを使っているんだ。サイズは何なんだ。あと吹き出しはどういう感じで書けばいいんだ。そんなの分かるわけがないのでなんとなくで進めていく。
 そこで気付いた。漫画って、セリフは横書きじゃなくて縦書きなのか。全然何も考えていなかった…。自分が普段漫画を読んでいるときいかに何も見ていないか痛感する。確かに考えてみればそうなのだけれど、普段縦書きを使う機会がないから勝手に思い込んでいた。
 そこからは、漫画の描き方を学ぶべくベッドの脇に置いてあった超てんちゃんアンソロジー漫画とにらめっこしながら作業を進める。コマ割りは分からないからとりあえず四コマみたいに横線を引くだけ。素人は下手に難しいことしないことがいいからね。
 キャラクターはドアップにすればいつもしている落書きとほぼ変わらないからそんな感じで進める。効果音は見よう見まねでやる。背景の描き方もトーンの付け方も何もかも分からないので適当に誤魔化す。
 そんなありとあらゆるものを省いたカスみたいな漫画でも1ページ1時間はかかる。あとイラストを描くよりもよっぽどいろいろなことを考えないといけなくて脳が疲れる。
 本当に、世の漫画家の偉大さが身に染みて分かった…。普通に考えてストーリー面白くて絵がうまくてコマ割りとか色の視線誘導も巧みで人に面白いと思わせるような漫画をたった一人で書いているの、ヤバすぎるだろ。週刊連載の漫画家とかだったらもちろんアシスタントもいるだろうけど、それでもストーリーも絵も大枠を練るのは自分だ。しかも漫画ってこんなに書くのが難しいのにめちゃくちゃ狭き門だし、値段も安いし、アニメ化されないと世間にめちゃくちゃ広まることはないし…。すごい。
 小学生の頃ですら漫画とか描いたことがなかったから本当に新鮮な経験だったな。ゴミカスみたいな数枚の二次創作漫画でも一度やってみると、これから漫画を読むとき今までと全然違う視点で読める気がする。あなたもぜひ、暇だったら漫画書いてみてはどうでしょうか。私はもうやりたくないかも…。


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