千葉は駅名が難しい~銚子散歩~
一度ぐるっと回ってみたいと思っていた千葉県。想像以上に広かった。今度は外房から内房を車で回ってみたいなぁと思いながらブログを書き始めている。天気も良くご飯もおいしい千葉県銚子の散歩旅へ。
2023.9.16
前日のさいたま文化センターのライブとその後の打ち上げが楽しかったことに気を良くし、浅草で朝風呂に入っていた。東京は朝から営業している昔ながらの銭湯があちこちにあり、朝から動けるときは熱い湯につかって出発するようにしている。この日は千葉・東金のライブへ行くのだが、ちょうど売っていたJRの企画乗車券「サンキュー♡ちばフリー乗車券」を手に出かける。
少し話はさかのぼる。9月8日の台風や線状降水帯の影響を受け外房線のJR誉田(ほんだ)から大網の間で土砂崩れが起こり、11日は終日運転を休止していた。小湊鉄道やいすみ鉄道は9月24日現在でも復旧活動が続いている。12日から外房線は運転を再開しているが、土気(とけ)あたりを通って賛歌された人の中には、車窓からの景色だけでも、急いで復旧されたご苦労が見えたと言っている人もいた。美しい紅葉の季節はもうすぐそこ。早い復旧を心から祈る。
さて、サンキュー♡ちば乗車券を片手に上野から電車に乗り込んだ。誰かが「旅は東京出発じゃなくて、上野がいいんだよ、上野」と話していたなと思い出す。この日は銚子に宿泊するのでそこへ荷物を置き、ぶらぶら歩きをして会場へ向かうのだが、これがまた千葉は広い。上野を9時頃でても銚子につくのは12時。急いで電車に乗る。上野から常磐線を経由して、我孫子へ。成田線で銚子へ行くのだが、成田線の車両は窓が大きく眺めの良い電車でドリンクホルダーなんかもついている旅行仕様のボックスシートだった。上野から案外早く田舎の景色になり、気が付けば田畑の広がる車窓にほっこりする。
ところで千葉の駅名は難読漢字が多く、音と漢字が合わず車内放送で駅名がわからず苦労をした。松岸(まつぎし)の手前は椎柴(しいしば)と猿田(さるた)で、次の銚子(ちょうし)くらいは序の口。酒井さん二人?とワクワクするような地名は酒々井(しすい)と読むそうだ。
ちなみに、酒々井とは親孝行の息子が「お父さんにお酒を毎日飲ませてあげたい」と思ったら、井戸から酒がわいたというなかなかな伝説を基にしているそうで、住もうかなと思ったことは特筆しておく。良いではないか、井戸から汲めども尽きぬ酒。
閑話休題。旅である。昼に銚子につくと、大きな醤油樽が出迎えてくれた。実はこの旅で一番テンションがクライマックスにあがったのはこの樽だった。銚子、そう、ヒゲタ醬油とヤマサ醬油の工場が建つ、醤油好きなら一度は訪れたい聖地なのである。というより、安住紳一郎の日曜天国のリスナーであれば、だいたい知っている有名な醤油どころであるのだ。
ここで書き起こし職人のみやーんさんのにちてん「ソヤノワール」紹介回のリンクを貼っておく。
文字からも伝わる興奮。そんなにおいしいのかと思っていたら、出会ったのである、駅で。改札のすぐ横の観光案内所で売っているのだ!す、す、すごい。これだけで銚子に来たかいがあったというものだ。そして電車好きなら目を細めて買う、銚子電鉄のぬれ煎餅。良かったね、廃線が免れてと一つ買い求めた。
銚子駅について5秒でクライマックスを迎え、1分以内に土産を買ってもう満足している。オタクとは手軽なものである。良かった、オタクで。心は満たされたものの、おなかはグーっとなっている。朝から電車に飛び乗って、これからライブ。何か美味しいものを食べようと、ホテルの受付の人に相談した。ホテルからあるいて5分くらいのところに、鰻屋がありますよと言われほくほく顔で向かう。銚子はすこし行くと九十九里浜につく海のまちだ。合わせて、銚子川という清流もある。銚子市から太平洋に流れ込むのは新潟県と群馬県の県境にある大水上山に源を発し、様々な山岳から流れる水を集めたとにかくデカいでお馴染みの大河「利根川」である。
汽水域は貝と鰻が旨いと相場決まっているのだ。たぶん、だいたい。ドキドキと暖簾をくぐり、鰻どんぶりを頼む。ふわっふわのとろりとした肉厚の鰻。キリッと醤油のきいた甘辛タレにくぅっと声も出る。今思い出してもニヤニヤする。お店の方に鰻は名物なのですか?と聞くと「この辺よりももう少し上の成田のほうに比べたら全然ですよぉ~」とニコニコ。そ、そうなんだと思いつつ、名物でなくても旨いものはあるなぁ~と感激していた。
駅に戻ると醤油ソフトクリームなるものを発見。みたらし団子の冷た~いバージョンのようで非常に美味。ヤマサ醬油の香ばしい誘惑。銚子のあぁ、しかしもう行かねば。滞在時間はおよそ1.5時間程度で東金へ向かう。
東金駅からわりと厳しめの坂道を上り、ハニキャンを買い逃がし、へへへと笑って友達と合流すると、「君、なぜ…ここに…」というゴスマニに会う。「もう、なんだか来たくなって朝チケット買いました!!」とのこと。私はまだ2回しか賛歌していないのに、このタイプの人間が3人目であることを記しておく。このペースだと千秋楽までにかなりの数になるだろう。酒井雄二が散髪したというツイートを見て、夜行バスに飛び乗って当日券を買った猛者もいる。本当に襟足がキリッとしていて、良かったよね…あの髪型。それはバスに乗って致し方無い。サカイストの性とも言えよう。
ライブの感想は別にまとめるとし、終演後は銚子へ戻る。夜遅く飛び込んだ居酒屋は、お魚もお肉も美味しかったが、なぜかレバーの厚焼きが美味しくてあれ、もう一回食べたい…。特に名物というわけではなさそうなのに、美味しいものがある銚子市。厚揚げの味噌は西京味噌のように甘いものではなく、塩のキリッときいた味噌だった。そして、焼きおにぎり。表面に塗ってあるだけでなく、醤油ご飯を握って焼いてあった。これが香ばしくて塩っぱくて、疲れた体にしみるように旨かった。
2023.9.17
天気が良いと飛び起き、レンタカーを借りて日本のとっぱずれの灯台を目指す。日本で最初に日が昇る犬吠岬へ向かった。この日も風が吹けば涼しいが、暑い。『Summer Breeze』が合うねぇなんて言いながら、車を運転した。銚子市は「銚子ジオパーク」と呼ばれ、自然や景観の見どころが集まっている。地質公園や礫岩が見られる黒生(くろはえ)海岸などがあり、土好き(言い方)にはたまらない土地でもある。名物のキャベツに適した土はどっしりと黒茶色で関西の水田ばかりを見ている自分にとっては、違う土地へ来たなぁと地面ばかり見て歩く始末だった。埼玉に行ったときも土の色が全然違うことにひっそり感動していた。
白い犬吠埼灯台にはさまざまな工夫が凝らしてあり、遠くから目立つから「白」というだけでなく、レンガのゆがみを抑えるための塗料でもあるそうで、灯台を作るために煉瓦を焼くところからかなり苦労したことなどを知る。
日本は木造建築が得意だが、地震も多く、レンガ積みの建物ができたのは最近のこと。明治7年に建てられた灯台は重要文化財に指定されている。光の強さは1,1000,000カンデラで、光の届く距離は19.5海里(約36キロメートル)。直線距離でいうと、東京駅からビカビカーッと照らして、八王子手前まで。大阪駅からなら須磨海浜公園あたりまで届く。
灯台のふもとには「犬吠テラステラス」というカフェやお土産モノを扱うマルシェがあり、少しそこで休憩。銚子の名物メロンを使ったメロンソーダをいただき海岸へ。国指定の天然記念物を見学に降りる。銚子半島の南側は崖の縞々が美しく、約300万年前まだ関東が海だったころの名残が感じられる。
日本の東の端っこということは、大陸からはがれて日本ができたころの名残もあり、約2500万年前から1500万年前の日本海まだ無いころの記憶が土地に刻まれている。このあたりには黒生瓦(くろはえがわら)と呼ばれる、黒い瓦や砥石になる銚子石などの産地としても知られている。
煉瓦は明治ごろの話なのでまだ最近だと思えるが、さすがに泥岩で瓦も作るぜと言われると途方もない年月に目がくらむようだった。
帰りは海鮮でも食べようと、黒生海岸の方面へ。ぼんやりとマグマが固まってできた、黒い岩とのんびりと同じ方向を見て風を浴びている水鳥を眺めていた。旬の魚は当たり前においしく、なぜか海老が甘くて二度見した。銚子は名物以外も美味しい…。
レンタカーを返し、東京方面へ向かう電車に乗り込む。佐倉駅で横浜方面へ向かう電車に乗り換えれば、そこから東京までは1本で到着。
佐倉駅で乗り換えを待ちながら夕日を眺める。
ふと見上げると、難読漢字の駅名表だ。
MCでも話題になっていた駅名をいくつも通り、東京方面へとことこと帰る。
今回はチーバ君で言うと、後頭部と首あたりしかうろうろできなかったが、養老渓谷やマザー牧場あたりにも行ってみたい。そういえば君津にも行ったことがあるがあさり飯など名物を食べてないなぁと思ったりしている。
東京からディズニーランドは近いけど、その向こうにはまだまだ広がる千葉。
日帰りで東京までシュッと帰ることはできるけど、ちょっと泊まってみるのも楽しかった。
次はどこに行こうかしら。魅力を堪能しにまた訪れたい。
また、どこか違うところでゴスペラーズにライブをしてもらわなくっちゃね。
それでは次は奈良へ。さて、早起きできるかしら。
今日はこの辺で、おしまい。
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