見出し画像

位置情報データでマーケティングと地域振興

水鳥川いると申します。
アプリゲームの位置情報データを扱う機会があったので、位置情報データをどうやってマーケティング施策に落とし込むか考えたことをまとめました。


位置情報データを扱う目的

位置情報データを扱う場合、目的によって収集すべきデータが変わってきます。目的がはっきりしていないと、位置情報データを可視化するだけで満足して終わってしまいます。
データが可視化されたときに、どんなアクションを起こすか、試せるかが重要になってきます。

ここでは大きく2つの目的にわけて考察していきます。

①マーケティング

商業施設や店舗で、来店者数や来店頻度、滞在時間、行動パターンなどを把握し、効果的なマーケティング施策の実施や改善を行います。

例えば、ある飲食チェーンが新しく店舗を出店する場所を決めるために、商圏分析を行います。

まず、商圏の設定を行います。例えば、ある地点から半径1km以内に住んでいる人々を対象に商圏を設定します。その後、デモグラフィックデータを用いて、商圏内の人口、世帯数、年齢層、職業、所得水準などを把握します。

さらに、移動データを用いて、商圏内にどれだけの人が通勤や通学で移動しているか、どのようなルートを通って移動しているかなどの情報も把握することができます。また、店舗の出店予定地周辺の競合店舗や、その地域で人気のある店舗の情報も調査することができます。

これらのデータをもとに、商圏内の需要の見込みや、競合店舗との差別化点、販促活動の方法や予算の設定などを決定し、店舗の出店場所や営業戦略を立てることができます。


②地域振興、観光行動分析

地域全体の位置情報を分析して、その地域の人々がどのような活動をしているかを把握し、地域振興のための施策を実施します。

例えば、公園やイベント会場周辺の位置情報データを分析することで、その地域を訪れる人々の属性や来場時間帯、滞在時間、行動傾向などを把握することができます。この情報を基に、イベントの開催時期や内容を決定することができます。たとえば、ある地域で夏になると多くの家族連れが訪れる傾向がある場合、夏休み期間中にファミリーオリエンテーションのイベントを開催することで、多くの人々が参加することが期待できます。

また、イベント会場周辺には飲食店やお土産屋などの周辺施設があります。位置情報データを分析することで、どのような店舗が来場者に需要があるかを把握することができます。この情報を基に、周辺施設の改善計画を立てることができます。たとえば、多くの来場者がファミリー向けの店舗を利用している場合、周辺にさらにファミリー向けの店舗を誘致することで、地域の活性化につながるかもしれません。

また、来訪者の旅程分析や滞在時間、観光ルートなどを把握し、観光客誘致や観光地の改善策の策定に活用します。

交通量調査や災害対策も、こちらに当てはまります。


位置情報データの収集

目的によって位置情報データの収集方法が変わります。

ドコモなどの通信キャリア、ZENRINやNavitimeのような地図アプリ、LINEやNauNau、snapchatのようなSNSアプリ、ポケモンGOやドラクエウォークのようなゲームアプリ、スマホを開発しているGoogleやApple、政府主導のRESUSやestatのような政府主導のもの、データ収集している会社からデータを購入して分析する会社など、さまざまあります。

https://www.zenrin-datacom.net/solution/blog/bigdata-comparison

https://v-resas.go.jp/


データを選択するときに重要なのが、目的から逆算することです。



飲食店の出店場所でも、駅周辺、市街地、ロードサイドなどの立地条件によって変わってきます。

例えば、駅周辺に出店する場合は、通勤・通学客や観光客の利用が見込めるため、その人々の嗜好や需要を把握するために、周辺の様々な施設やイベントの情報を収集し、それらの情報を基にマーケティング施策を展開することが重要です。

一方、ロードサイドに出店する場合は、車で移動するドライバーや同乗者が対象になるため、ドライバーの移動パターンや停車時間、周辺のスポット情報などを収集し、それらの情報を基に看板や広告などの宣伝戦略を考えることが必要です。


地域振興、観光行動分析を行うためには、どこから来ているのか、どのような年代構成なのかの可視化が必要です。
また、観光はインバウンドが2023年以降増えると予測されているため、海外のデータも重要になってきます。

クロスロケーションズ社のように、データ可視化までパッケージになって販売している会社もあります。


位置情報データの可視化&考察

データを入手出来たら、可視化をしていきます。
ほとんどのサービスは可視化するツールがありますが、位置情報データだけある場合、Tableauで可視化することができます。

Tableau50mメッシュ

こちらは位置情報アプリのデータをTableauに読み込ませて、50mごとに人の数を色で可視化したものになります。

Tableauであれば、利用者が自分で時間や曜日ごとに表示することもできますし、性別や年代などの属性データがあれば属性ごとに可視化が可能です。

位置情報のデータだけでなく、ユーザー属性や過去のトランザクションデータといった異なるデータを組み合わせてサービスを提供しないと、新たなビジネスを創出するのは難しいです。

その位置情報と付随したデータや、すでに企業内に存在するデータを組み合わせ、複合的なデータ活用を実現してこそ、新たな価値創出と差別化が実現可能となります。

たとえば他社のバス会社や鉄道会社の運行履歴を組み合わせて活用することで、振替輸送の迅速化や重複路線の共同運行による路線の効率化など、さらなる付加価値の創出が可能です。

それら組み合わされたデータを、ユーザー自らが様々な軸で検索、分析可能なデータ分析基盤を提供すること位置情報を基とした"空間検索"も重要です。
例えば、半径500メートル以内にいるユーザーのリストアップや、あるビルから近い順に100人のサービス利用者をリストアップする、といった検索でです。

施策を実施してPDCAを回す

分析結果を元に、具体的な施策を実施し、その成果を評価することが重要です。具体的には、PDCAサイクル(計画、実行、評価、改善)を回して、効果的な施策を継続的に改善していくことが求められます。

例えば、地域振興のために行った施策の一つが、公園周辺に飲食店を誘致することだったとします。計画段階では、公園を訪れる人々が飲食店を求めていることが分析結果から明らかになりました。そこで、公園周辺に飲食店を誘致することを決定し、実行段階に移ります。

飲食店が出店した後は、評価を行います。具体的には、飲食店の来店者数や顧客の属性などを分析し、施策の成果を評価します。もし、来店者数が増えた場合は成功と評価し、次の施策につなげていくことができます。一方で、来店者数が伸び悩んだ場合は、改善策を検討し、改善を図っていくことが求められます。

このように、PDCAサイクルを回して、継続的に施策を改善していくことで、より効果的な地域振興が実現できます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?