翠川蚊が選ぶ2022年の映画ベスト10
実はわたしは映画が好きなので、今年公開の映画ベスト10を考えてみました。川柳とはあんまり関係ありません。あしからず。
10位 『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』
監督: ウェス・アンダーソン
偶然性を丹念に排除していくと、映画はカラクリ装置に接近するんですね、という。可愛さに騙されそうになるけれど(そして積極的に騙されるという見方ももちろんあるんだけれど)、むしろ生理的な危険を感じる映画です。
9位 『私ときどきレッサーパンダ』
監督: ドミー・シー
ピクサーはいま(また)すごいところに行こうとしている、と、まんまと思わされてしまった。
8位 『カモン カモン』
監督: マイク・ミルズ
この映画は文字情報だけでは決して描けない、人間の「とある部分」を掬い取っているような気がする。映画を観る意味に立ち帰らせてくれた傑作です。
7位 『THE FIRST SLAM DUNK』
監督: 井上雄彦
サービス精神の出し入れ(?)のうまさというのか、引くべきところで引いて、盛り上げるべきところで盛り上げてるのがほんとすごい。サラッとやってるけど、実はいちばん難しいことですよ。
6位 『マイスモールランド』
監督: 川和田恵真
アクチュアルな問題を描く気概と、エンタメとして面白くする親切さのバランスが素晴らしい。ああ…どっちも「歩みよる」ことなんだ。
5位 『ペルシャン・レッスン 戦場の教室』
監督: ヴァディム・パールマン
あらすじだけで勝ってるみたいな映画なのに、そういうわかりやすいおもしろ(Twitterでバズるようなおもしろ)をはるかに越えていく、その圧倒的な骨太さ、ですね。
4位 『さかなのこ』
監督: 沖田修一
よくて泣いた。感動したからとか、悲しかったからとかではなくて、よくて。あまりに。
3位 『秘密の森の、その向こう』
監督: セリーヌ・シアマ
『燃ゆる女の肖像』が閉じた球体のように完璧な映画だとしたら、今作はむしろ抜けがよくてひらいた映画ですね。この映画の、そのひらいた部分、ずっと大切にしたいと思いました。
2位 『NOPE/ノープ』
監督: ジョーダン・ピール
ジョーダン・ピールはずっとアメリカ史を引き受けようとしているけど、今作は完全に過積載というか、いくらなんでもやり過ぎでしょうってレベルに達していて、でもそれを力技でやりおおせてしまっている。超ヘンで超スキです。
1位 『MEMORIA メモリア』
監督: アピチャッポン・ウィーラセタクン
鑑賞中、ずっと息を呑んでいたので。
ちなみに旧作ベストはこんな感じです。
《翠川蚊が選ぶ今年観た旧作ベスト5》
1位 『彼方からの手紙』(2008)
監督: 瀬田なつき
2位 『アダプテーション』(2002)
監督: スパイク・ジョーンズ
3位 『トムボーイ』(2011)
監督: セリーヌ・シアマ
4位 『ダゲール街の人々』(1975)
監督: アニエス・ヴァルダ
5位 『レディ・イヴ』(1941)
監督: プレストン・スタージェス
『リコリス・ピザ』とか『RRR』とか『トップガン』とか『TITANE/チタン』とかも良かったです。
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