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ひとめぼれしたお皿を購入した日
作家さんの個展でお皿を購入した。
昨年、カフェに置いてあった個展のご案内でたまたま知った方。
1度目にふらりと行ったその個展では千歳緑という深い緑色のお茶碗にひとめぼれしたのだった。
深い緑色のところに盛りつけられた栗ごはんが思い浮かび、購入を決めた。
今年もまた、昨年とは違う素敵な空間で個展が開催されるとのお知らせをいただき、和菓子にちょうどよいお皿かポトフにあう深さのある器が欲しいな、とぼんやり思いながら向かった。
会場に入って、すぐに目にとまったそのお皿は手のひら2枚を広げたよりも大きな円形で、少し深さがある形をしている。
深い緑、鮮やかな緑、いくつかの緑色が混ざり合うなかに白、落ち着いた金色も見える。
どうしよう、久しぶりのひとめぼれだ。
かっこいい。こんなお皿が家にあったらいいな
真っ赤なトマトを使った料理を盛りつけてみたい
普段使いの佇まいではない
ひとめぼれにお金をかけすぎではないか
買いたい私とちょっと勢いにのりすぎではないかとけん制する私が瞬時に現れた
偶然できた色のうねりがあるその器について、作家ご本人ならではのお話を伺うことができた。
粘土生地の混ざり合い、ハケで塗られた釉薬が焼いている間に溶けてつくる模様は作っている人も、おぉ、こうなるのか!という楽しみがあるという。
できあがりとまったく違う釉薬の色の焼く前の写真も見せて頂いた。
立派なそのお皿を購入するにはまだ早いと思った私は、あれこれ見て、まったく別の作風のお皿を2枚、買うことに決めた。
大きさは手を広げたくらいの大きさで、和菓子にも、ちょっとだけ野菜のおかずを盛りつけるにもちょうどよさそうだ。
昨年から使っているお茶碗と色の相性もよい。
これは普段使いできそうだし、お財布も大丈夫。
購入を決めた器が梱包される間、またあの1枚を眺めていた。
色がまざりあったところをみて、しばらくうっとりできるし、全体をみると力づよくてかっこいい。
今日は一緒に帰れないから、これを目に焼きつけておこうと思っていた。
ところが、私はしゃべり始めてしまった。
2枚あるお皿の色の混ざり具合、模様が違って、私はこちらの、ここのマーブルになっているところが好きなんです。
使いこなせるかわからないけれど、でもやっぱりこれ、かっこいいですね。
そこで返ってきた言葉、
使いこなせるかなではなくて、「使う」のですよ。
使うと決めて購入して、その器があることで作る料理が変わるかもしれないですよ。使ってもらうことが一番うれしいですから、と。
そうですよね。覚悟を決めて動くこと、必要ですよね。と心の中で思いつつ頷く。
さらに、会話は続いた。
とても気に入ったけれど、いつもより大きいこのお皿を使うイメージがなかなか湧かなかったので、同じ作り方で違う形や大きさのものを作る予定があるか、「わからない」という答えを予想しながらも尋ねてみた。
予想通り、「まだ決まっていない」という答えとともに、もう一言。
この言葉でこのお皿がさらにかっこよく見えるようになってしまった。
自分の模倣になるとワクワクしないですから。
最近の自分に足りないものを言い当てられたようで、深くうなづいた。
このお皿と過ごしたら、この会話を忘れずにいられるかもしれない。
やってみよう。ということで、かなり思い切ってお皿を購入した。
個展会場には1時間くらいいたみたい。
大事なお皿をもっているのに弾むように歩きたくなる帰り道だった。
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